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迎え人(紡side)
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掃除用具室に入ってからどれだけの時間が経ったのか
体感的には既に一時間経ってそうだが、抑制剤の効果がまだ続いていることから長くても数十分とかその辺だと思われる
スマホがあれば奏に連絡が出来るんだが、どうやらトイレに忘れてきたらしい
ちなみにバックごと忘れてしまったのでハンカチ等もきっとトイレだ。ハハハ、笑えねェ...
相変わらず元気な下半身に呆れつつもこんな場所で抜く気も起きず、ただただ抑制剤の効力がきれないことを祈るのみ
「奏は今...何してるかな...」
あいつの事だからしばらく戻ってこないと電話をかけてきそうだな
でも電話には誰も出ないから焦ってトイレに行って、残された俺の持ち物を見て探し回りそうだ
実際小さい頃、俺が公園での隠れんぼで鬼になり、みんなを探しているうちに隣接している森の中で迷子になった事がある
その時奏は、俺が落としていったハンカチを見つけて何かあったのかと走り回ったそうだ
その結果、茂みの中で丸まっていた俺を奏が見つけて、家まで手を繋いで帰ったという自分の中でも黒歴史に含まれる出来事となった
まぁそんな事もあって、あいつは俺の事を必死に探し回ってくれる良い奴だ
でもまさか掃除用具室に入ってるとは思わないだろうな...
俺が多少潔癖だということも知ってるだろうし、よっぽどの事がない限り俺自身も入ろうとは思わない
そのよっぽどの事が起きてしまったんだが...きっと奏は分からないだろうな...
後どれだけここにいればいいのかと考えていると、ふとトイレであったあいつの事を思い出した
そういえばあいつ...どうしてるんだろう
あそこのトイレにいるんなら今日のパーティの参加者だろうけど、あんな人いたっけ?
もし参加者だったら申し訳ないことしたなァ...
きっとあいつも俺のヒートに当てられただけだろうし、もしかしたらいい人かもしれない...個人的には納得は出来ないが
まず何でこんな急にヒートになるんだ。予定ではもっと先のはずなのに...!!
ヒートさえなければこんな事にはならなかったのに...アルファがトイレに入ってきた瞬間ヒートが起こるとかタイミング悪すぎる
そりゃあいつもトイレに入った瞬間にヒートに当てられたら身構える時間もなく本能のままに動いてしまうだろう
つまり俺にも非があるという事で...いつか謝罪が出来ればいいんだがあいつの事は容姿しか知らないからな...名前さえ分からない
こんな状況でどうやって謝罪をするんだか...
どうしようも無いこの状況に目の前に置いてあるモップを意味もなく見つめていると、足音が二人分聞こえてきた
もしかしたら清掃員の人か!?
どこかに隠れようと辺りを見渡していると、扉の向こうで二人が何かを話し合った後、一人分の足音が遠ざかっていった
帰った?もう一人に掃除を押し付けたのかな?
隠れる場所をある程度探したが特に見つからなかった為、この扉が内開きという事もありその扉の裏になるべく小さくなるようにしゃがんだ
そうしているうちにも足音は近づいてきて扉の前で止まると、ノックをしてきた
...ん?掃除用具室の扉をノック?
「紡、いるのか?」
その声に言葉よりも早く扉を開けて抱きついた
「ウワッ、って紡!?どうした?」
本物だ、奏だ
冷静だと自分では思っていたが存外違ったらしく、奏が近くにいるというだけで力が抜ける
「おーい、紡ぅ?」
「何で...ここにいるって?」
抱きついたまま体制は変えずに疑問をなげかける
「荒川さん...お前の忘れ物を届けてくれた人が案内してくれたんだよ」
何でその人は俺の場所を知っているのかとか、荒川さんって奏の知り合いなのかとか聞きたい事は山ほどあるが、それよりも安心した反動か、体がだるくなってきた
「それでその荒川さんから頼み事があるんだけど「奏...」ん?どうした?」
「......キモチワルイ」
「......はぁ!?ちょ、耐えろ!!」
「ムリ、ヤバイ、キテル」
「トイレまで走るから!!すぐに着くから頑張れ!!」
「走ると揺れで...ウッ」
「紡ーーーーー!!!」
これを機に、抑制剤の副作用は恐ろしいなと再認識しました
体感的には既に一時間経ってそうだが、抑制剤の効果がまだ続いていることから長くても数十分とかその辺だと思われる
スマホがあれば奏に連絡が出来るんだが、どうやらトイレに忘れてきたらしい
ちなみにバックごと忘れてしまったのでハンカチ等もきっとトイレだ。ハハハ、笑えねェ...
相変わらず元気な下半身に呆れつつもこんな場所で抜く気も起きず、ただただ抑制剤の効力がきれないことを祈るのみ
「奏は今...何してるかな...」
あいつの事だからしばらく戻ってこないと電話をかけてきそうだな
でも電話には誰も出ないから焦ってトイレに行って、残された俺の持ち物を見て探し回りそうだ
実際小さい頃、俺が公園での隠れんぼで鬼になり、みんなを探しているうちに隣接している森の中で迷子になった事がある
その時奏は、俺が落としていったハンカチを見つけて何かあったのかと走り回ったそうだ
その結果、茂みの中で丸まっていた俺を奏が見つけて、家まで手を繋いで帰ったという自分の中でも黒歴史に含まれる出来事となった
まぁそんな事もあって、あいつは俺の事を必死に探し回ってくれる良い奴だ
でもまさか掃除用具室に入ってるとは思わないだろうな...
俺が多少潔癖だということも知ってるだろうし、よっぽどの事がない限り俺自身も入ろうとは思わない
そのよっぽどの事が起きてしまったんだが...きっと奏は分からないだろうな...
後どれだけここにいればいいのかと考えていると、ふとトイレであったあいつの事を思い出した
そういえばあいつ...どうしてるんだろう
あそこのトイレにいるんなら今日のパーティの参加者だろうけど、あんな人いたっけ?
もし参加者だったら申し訳ないことしたなァ...
きっとあいつも俺のヒートに当てられただけだろうし、もしかしたらいい人かもしれない...個人的には納得は出来ないが
まず何でこんな急にヒートになるんだ。予定ではもっと先のはずなのに...!!
ヒートさえなければこんな事にはならなかったのに...アルファがトイレに入ってきた瞬間ヒートが起こるとかタイミング悪すぎる
そりゃあいつもトイレに入った瞬間にヒートに当てられたら身構える時間もなく本能のままに動いてしまうだろう
つまり俺にも非があるという事で...いつか謝罪が出来ればいいんだがあいつの事は容姿しか知らないからな...名前さえ分からない
こんな状況でどうやって謝罪をするんだか...
どうしようも無いこの状況に目の前に置いてあるモップを意味もなく見つめていると、足音が二人分聞こえてきた
もしかしたら清掃員の人か!?
どこかに隠れようと辺りを見渡していると、扉の向こうで二人が何かを話し合った後、一人分の足音が遠ざかっていった
帰った?もう一人に掃除を押し付けたのかな?
隠れる場所をある程度探したが特に見つからなかった為、この扉が内開きという事もありその扉の裏になるべく小さくなるようにしゃがんだ
そうしているうちにも足音は近づいてきて扉の前で止まると、ノックをしてきた
...ん?掃除用具室の扉をノック?
「紡、いるのか?」
その声に言葉よりも早く扉を開けて抱きついた
「ウワッ、って紡!?どうした?」
本物だ、奏だ
冷静だと自分では思っていたが存外違ったらしく、奏が近くにいるというだけで力が抜ける
「おーい、紡ぅ?」
「何で...ここにいるって?」
抱きついたまま体制は変えずに疑問をなげかける
「荒川さん...お前の忘れ物を届けてくれた人が案内してくれたんだよ」
何でその人は俺の場所を知っているのかとか、荒川さんって奏の知り合いなのかとか聞きたい事は山ほどあるが、それよりも安心した反動か、体がだるくなってきた
「それでその荒川さんから頼み事があるんだけど「奏...」ん?どうした?」
「......キモチワルイ」
「......はぁ!?ちょ、耐えろ!!」
「ムリ、ヤバイ、キテル」
「トイレまで走るから!!すぐに着くから頑張れ!!」
「走ると揺れで...ウッ」
「紡ーーーーー!!!」
これを機に、抑制剤の副作用は恐ろしいなと再認識しました
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