嵌められ勇者のRedo LifeⅡ

綾部 響

文字の大きさ
5 / 75
2.課せられる使命

休息の一コマ

しおりを挟む
 依頼でやって来た「アルサーニの街」だが、俺たちはここで数日の休息を取る事にした。このアルサーニの街は、実は温泉地として有名でもあるのだ。
 せっかくこんな街に来たんだから、少しのんびりしようと考えてもおかしくないよな?
 まぁこの街は「始まりの街 ジャスティア」の北に位置し、僅か2日で来れる距離ではあるんだが。それでも、やっぱり「せっかく」なんだろう。

「あっ! 名物の「オンセンマンジュウ」だって! あれ、食べようよ!」

「……ええなぁ。……美味しそう」

 マリーシェとサリシュのはしゃぎようを見れば、そう思わせるのに十分だ。
 今俺たちは、完全に観光客となってこの街を堪能していたのだった。

 アルサーニの街はいまでこそ温泉地として賑わってるが、古の戦乱の時代には療養所として機能していたらしい。いわゆる「病院」だな。
 温泉には傷や疲労を回復させる効力がある事を考えれば、それも当然だろうなぁ。
 それが今では、保養所として観光の名勝となっている。

「……ふむ。木刀とは懐かしいな。練習用に1本買っておくか」

 そして楽しんでいるのはマリーシェ達だけではないようで、カミーラも店を覗いて土産物を吟味していた。
 もっとも、楽しみ方は人それぞれの様で。

「……あれ? セリルはどこに行ったんだ?」

「……向こうで……女性に声を掛けていたな」

 俺の疑問に、バーバラが呆れた様に答えてくれた。
 なるほど、ここには保養として訪れる令嬢も少なくないからな。セリルが喜ぶ状況でもあるんだろう。
 俺たちは冒険者として、日々戦いや移動を繰り返している。それが生業だとしても、疲れが全く残らないと言う訳では無いんだ。
 ましてや、まだまだ駆け出しの冒険者だ。何かにつけて初めての事が多く、心身ともに疲れていて当然だろう。
 まぁ、俺は流石に〝2回目〟ともあってそれほど疲れてはいないし、ここもそれほど珍しくは無いんだが。

「アレクッ! この「オンセンタマゴ」って美味しそうよ? 1つ食べない?」

「……カミーラとバーバラも、1個食べへん?」

 あっちこっちの店を覗いてはキャッキャと楽しんでいるマリーシェとサリシュが、そう俺たちに問うて来た。
「オンセンタマゴ」ってのは、源泉でゆで上げた卵な訳だが、何故かこれが美味いんだよなぁ。

「ああ、いただこう」

「……『オンセンタマゴ』?」

 俺はオンセンタマゴの事を知っている。以前にこの街には随分とお世話になったからな。
 駆け出し冒険者が最初に目指す街が、ここアルサーニだと言って良いかもしれない。
 距離としてもクエストをとっても、ある程度経験を積んだ駆け出しが次に進むには最適だからな。
 カミーラがオンセンタマゴを知っているのも、まぁ頷ける話だ。
 彼女が来たっていう「東国 倭の国」では、温泉がそこかしこに沸いている。オンセンタマゴがあっても不思議じゃあないからな。
 一説ではこのオンセンタマゴも、東国から伝わったって話もあるぐらいだ。だから、バーバラの反応は至極当然だと言って良いだろう。

「あいっててて……」

 俺たちが仲良くオンセンタマゴを食べていると、赤くなった頬を押さえながらセリルが戻って来た。

「……どうしたんだ?」

 何となく事情は想像出来たんだが、無視すると言うのも可哀そうだ。俺は、彼にそう問い掛けたんだが。

「いやぁ……。向こうで知り合った女性と良い仲になりそうだったんだけどな……。突然彼女が俺の頬を叩いて『そんなつもりじゃなかった!』ってな。……なんだってんだ」

 頭の上に疑問符を浮かべたセリルが、そんな愚痴を零してきたんだ。
 それで俺は……いや、その場の全員が何となく背景を理解した。女性陣からは、目を半眼にした軽蔑の眼差しが注がれている。

「良い仲ってお前……。それは、お前がそう考えていただけじゃあないのか?」

 実際の現場を見た訳じゃあ無いから断言も出来ないが、俺は想像した情景を思い描いてセリルにそう問い質した。

「う―――ん……。そんな事は無いと思うんだけどなぁ。確かに、お互い合意していたと思ったんだけど……。ったく、訳が分からねぇ」

 なまじ顔が良いだけに、これだけ欲望に忠実で空気の読めないのもまぁ残念だよなぁ。
 ……しかも。

「そんな事はともかく、サリシュちゃぁん。ちょっと2人で、あっちの方に散策行かない?」

「……遠慮しとくわ」

「んもぅ、照れちゃって。じゃあ、カミーラちゃんはどう?」

「……私も、遠慮しておく」

 全く懲りたところがなく、更には節操が無いんだからなぁ……。ほんと、残念な奴だ。




 昨晩は、この街に着いたのが夕刻だった事もあって、街の入り口にあった酒舗で宿を取った。まぁ、クエスト完了の打ち上げもあったしな。
 でもこの街には、一般的な宿とは違い観光客や上流階級の人間が止まる「温泉宿」なるものがあるんだ。
 昔は俺も止まった事があるけど、当然の事ながらマリーシェ達は未経験だ。
 クエスト報酬が上乗せされていた事もあって、俺たちは今回の宿を「温泉宿場 美景屋みかげや」にする事にしたんだ。
 わざわざ俺たちがこんな宿に泊まる事にしたのは。

「うわぁ―――! すっごい美味しい!」

「……うん、めっちゃ美味いな」

「ほぅ……。船盛とは久しぶりだな」

 珍しい珍味が味わえるのが最大の理由だな。
 宿の主が東国の魅力に取りつかれている様で、そこかしこに倭の国の文化が取り入れてある。
 この食事もそうだし、何よりもこの建物自体が異国情緒あふれているんだ。

「ほえぇ……。魚を生で食うとこんなに旨いのな。初めての食感だな」

 そしてこの「サシミ」ってやつには、みんな舌鼓を打っていた様だ。

「……美味しいわね。……アレクは……食べたことがあるようだけど」

「ま……まぁな」

 バーバラが、食事に感心しながらも俺にそんな話を持ち掛けてきた。
 ったく。家に引きこもってコミュニケーションが稀薄だった癖に、妙に観察眼が鋭いなぁ、バーバラは。

 実際、俺は前回の冒険でここに来てるし、何よりも倭の国にだって行った事があるんだ。今更建物や食事を見ても、驚くような事じゃないからな。

「……なぁなぁ、アレクゥ」

 次々に出される食事……「ナベ」やら「スシ」などを食べつつ、倭の国の地酒「ニホンシュ」なるものを堪能していると、ほろ酔いになったセリルがすり寄って来た。
 こいつが俺にこんな話の仕方をする時は、大抵碌な事じゃあないんだけどなぁ。

「ここには『露天』っていう浴場があるんだろ? じゃあ、後で行って見ようぜ?」

 ふむ。提案としては、至極普通のものなんだがなぁ。こいつの場合、これで終わらないから質が悪いんだ。

「……入るだけなら良いけどな。お前……他に何か考えてないか?」

 わざと疑うような眼差しを作って、俺はそれをセリルに向けた。
 本当だったら厭わしく思う様な俺の視線も、今のコイツには全く効いていない。

「んなの、分かってんだろぅ? わざわざ屋外に風呂があるんだろ? なら、やる事は一つだよなぁ? ……なぁ?」

 ニヤニヤしながらセリルは、俺に何やら同意を求めて来たんだ。
 そして、ここまで言われればこいつが何を計画しているのか、嫌でも分かるってもんだ。

「……お前、ほんっとうに懲りないなぁ。もしも見つかったら、逆さ吊りじゃあ済まないぞ?」

 セリルは俺に、女性用風呂場に覗きに行こうと持ち掛けてるんだ。
 まぁ、健全な若者ならばそんな下心も分からないでもない。……もっともこいつは、こんななんだがな。
 そしてだからこそこの計画は、んだがなぁ……。

「なぁに、コッソリ忍び寄ればバレやしないって! なっ? 行こうぜ、なっ?」

 でもこいつは、そんなこと気にしちゃいないしめげてもいない。ある意味で、かなりの心臓の持ち主と精神的にタフな奴だ。

 そして俺は結局、こいつの計画に同行させられる羽目になったんだ。




 食事を終えた俺たちは、早速この宿の名物でもある「露天風呂」に向かったんだ。女性陣も勿論、俺たちに同行している。

「……はぁ。綺麗な景色を眺めながら屋外でお風呂に浸かるなんて、東方の人は本当に風情があるわねぇ……」

 マリーシェが景色に目をやりながら、ご満悦な表情で感想を述べている姿が想像出来る。

「……ほんま、めっちゃ開放感あるなぁ。……空気も美味しいし」

 サリシュも、この露天風呂は気に入ったようだ。

「ああ……。本当に今日は、良い気分転換になったよ」

 故郷を思い出しているのか、カミーラの言葉はどこか感慨深く。

「……すごく……気持ちいいわね」

 バーバラも、その声音はどこか上ずっている。まぁ、表情自体は普段と大差ない事は簡単に想像出来るんだが。

「おいおい、アレクゥ! 隣はきっと、天国だぜぇ!」

 薄い壁を隔てて、男湯と女湯は分けられている。だから、隣の会話もこちらには筒抜けな訳で。
 だからこそ、セリルの欲情は留まる所を知らないんだがなぁ。……浴場だけに。

「……作戦決行だ!」

 我慢ならないって感じで、セリルが動き出した。
 正面の石垣を乗り越えて一端外に出て、回り込んだ女湯に臨む。
 石垣の向こうは崖になっているんだが、急ではあるが斜面なので上手く行けば落ちる事は無いだろう。

「……なぁ、止めとかないか? 多分、失敗するぞ?」

 俺は警告……と言うよりも、預言めいた口調でそう彼に告げたんだが。

「なんだよアレク、まだそんな事言ってるのか? ……ほら、女湯はもう目の前だぜ」

 声を潜めて、セリルが前方を注視する。確かに、目の前の石垣から顔を出せば女湯はすぐそこだ。
 血気に逸るセリルを横目に、俺はため息をついて
 ……まぁ、死ぬ事は無いだろう。

「……よし。……行くぞ」

 だらしない顔を浮かべて、セリルがゆっくりと顔を出した……んだが。

「……あんたの考えてる事なんか、お見通しなのよ」

 セリルにとっては予想に反して、俺にとっては予想通りなんだが、彼が顔を出したその先には、バスタオルを体に巻いた女性陣が陣取っていた。
 その手には、全員桶を持っている。

「な……なんだよぉ! 前を隠しているなんて、そんなの詐欺……あぢゃぁっ!」

 驚くよりも不平を口にしたセリルは、全てを言い切る前に悲鳴を上げて崖を転がり落ちていった。
 どうやらマリーシェ達は、セリルに源泉から汲んだ熱湯を浴びせかけた様だ。
 ……いや、やり過ぎだろう、これ。

「アァ―――レェ―――クゥ―――?」

 そして彼女たちは、姿を現さなかった俺の存在もしっかりと把握しているみたいだった。
 ……怖ぇ! 女性陣、怖ぇ!

「は……はい!」

 返事をする俺の声は、どこか裏返っていた。……無論、恐怖でだ。

「セリルの事、宜しく頼むわね。まぁ……死んでたらそれでも良いけど」

「アレク。そなたは覗かなかったという事で、今回は不問とします」

「ん―――……。でもウチは、アレクやったらまぁ……」

「ちょっと、サリシュ。あんた、何言って……」

「……天国の後に……地獄」

 俺の視界に入らないところで、女性陣がそんな会話を交わしていた。いや、マジで怖ぇって! 天国は兎も角、地獄ってなんだよ。
 そんな事を言い合いながら、マリーシェ達の声が遠ざかって行く。それを確認して、俺はゆっくりと崖下へ下っていったんだ。

 しかし……こんなことで回復薬ポーションを使う羽目になるとは……なぁ。……はぁ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...