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2.闇の聖霊との邂逅
聖霊山「スフェラ神山」
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俺はリリアの言葉に肯定の意を示したが、当のリリアは不思議そうに小首を傾げてこちらを見ている。
そんな表情もまた、可憐な彼女にはぴったりで……赤面しちまう。
「あ―――……うっほん。……レベルを上げるには、一定の経験が必要なんだ。そしてその経験を積む為には、それなりに時間が必要だろう。弱い者がレベルを上げる為の時間は然程でもないが、俺やリリアに四天王の面々がレベルを上げようと思うと、一体どれだけ時間が掛るか……」
つまりは、そういう事だな。
魔界に来て戦い続けの俺でも、未だレベルは98で止まっている。
99になるにはどれほどの時間が掛るのか見当もつかず、更に100以上があるのかどうかも分からない。
99で頭打ちならば、俺の強さもそこまでって事だ。
そして肝心要、すでに十分な強さを持っているリリアや四天王は、これからレベルを得る事が出来るのかって話だ。
もしも恩恵を受けれればこれ程心強い話は無いし、無理ならば仕方がない。
……その真偽をハッキリさせる為にも。
「だから俺は、聖霊ヴィス様にお会いしようと思うんだが……何か方法を知らないか?」
俺はここで漸く、話の本題を切り出したんだ。
魔族にレベルを付与出来るか否か? それを知るのは誰でもない、聖霊様ご本人だからな。
俺の提言に、リリアは暫し俯き考え込んだ後。
「……ある。聖霊様にこちらからお会いする術は、確かにある」
顔を上げたリリアの口にした答えに、俺は思わず心の中で拳を握り締め歓喜していた。
何せ人界の方じゃあ、聖霊様にこちらから問い掛ける方法なんて無いからなぁ……。
いや、もしかすればあるかも知れないんだが、それを聖霊アレティは俺に教えていないんだからな……ったく。
「……そうか。なら、俺がこれから会いに……」
「しかし……」
俺はリリアに、これから聖霊ヴィス様に会いに行くことを告げようとしたんだが、その言葉は彼女の呟きによって止められてしまった。
深刻な表情の彼女を見れば、そのまま話を続ける事が出来なかった。
そして俺は、リリアの紡ぐ次の言葉を待ち構えたんだ。
「彼の地は中々に険しく強力な魔物が多数生息している。私でも、聖霊様に会いに行くのは一苦労なのだ。如何に勇者と言えども、辿り着くのには一筋縄ではいくまい……。それに……」
重々しく話す彼女の話を聞き、俺は思わず喉を鳴らしていた。
この魔王リリアがこれほどの難色を示す様な場所なのだ。
俺1人では、もしかすると辿り着けないかも知れないな。
「……それに?」
しかも彼女の話はそれだけでは終わらず、更にまだ続きがあると言うのだ。
俺が思わず声音を低くして問い掛けるのも仕方がないだろう?
「聖霊様を呼び出すには、秘匿された儀式が必要なのだ。それを持ち合わせていない勇者では、恐らく聖霊ヴィス様と対面する事すら適うまい」
聖霊様を呼び出すには、何か特殊な秘術が必要だと言うのだ。
これは本格的に手詰まりだと言って良いだろうな。俺一人でどうにかなる話じゃあない。
「……どうすれば良い?」
単純に、誰かその儀式を行える者が同行してくれれば解決する話なんだが、そんな険しく危ない場所に帯同出来る人物なんてそうはいないだろう。
俺は本格的に悩みウンウンと唸っていたんだが。
「……そこで提案なんだが」
そんな俺に、魔王リリアは解決策を提示すべく話を切り出したんだ。
何でこんな事になっているんだ?
いや確かに、こうする事が一番の解決方法だろう。
でも、もっと他に手段はあったはずだ。
「きょ……今日は天気が良くてその……良かったな」
ここは、聖霊が住まうと言う聖霊山「スフェラ神山」。
山肌には岩が剥き出しとなっており、緑の類は一切伺えない岩山だ。
木々も立ち枯れており、一見すればとても聖霊様が住んでいる様な山には見えない。
周囲には一層濃い魔素が立ち込めており、強力な魔物の気配がそこかしこから感じられた。
そんな所に、俺は魔王リリアと共に訪れていたんだ。
これ程危険を孕んでいると感じられる場所ならば、同行者が魔王と言う事は随分と心強い。
だから彼女がここに居ること自体は、決して不思議な話じゃあないだろう。
しかし……その魔王リリアの格好がその……余りにも……異質なんだ。
彼女が選んだ服装は、薄い黄色を基調とした薄手のワンピースだ。
魔王と言う事を除けば、彼女は美しく可憐であるからその恰好はとても似合っている。
ひざ下までのスカートをフワリとはためかせて、笑顔でこちらへ振り向くその姿はとても愛くるしい。
しかし……この場所にはとても似つかわしくない。
それに、同行する俺の格好も今の彼女とは比すればアンバランスだ。
俺は、当たり前のようにフル装備出来ている。
流石に勇者の装備一式ではないが、それでも魔界で戦うには最高の武器防具を用意したつもりだ。
腰に差しているのは「雷光剣」。
人界でも屈指の攻撃力を持ち、斬りつけた相手に電撃の追加効果を与える高い殺傷力を持つ片手剣だ。
利き手とは逆の腕には「魔法の盾」を装備している。
総合的な防御力は「光の盾」に及ばないが、特に魔法攻撃や特殊攻撃に高い防御能力を発揮してくれる。
そして身に付けている鎧は「獅子公の鎧」だ。
人の手による作品では恐らく世界最高の鎧だろう、物理や魔法、特殊攻撃に高い防御力を示してくれる。
この胸に刻まれている獅子のレリーフも気に入っている1つだ。
俺の格好は、この山を攻略すると言う点では申し分ない……と思う。
でも今のリリアの隣に立つには、どうにもちぐはぐと言って良かったんだ。
確かに、リリアも腰に帯剣している。
今回彼女が持ってきたのは、以前魔王城で対峙した時に手にしていた強力な「魔王の剣」ではなく、煌びやかな装飾が施された柄と鞘を持つ細剣だった。
今の彼女の姿に武具は無粋なんだろうが、それでもそこまで違和感を覚える様な武器じゃあない。
異質と言うなら、その隣に立つ武骨な格好をした俺の方なんだろうなぁ。
……いや、こんな禍々しい山に爽やかなワンピースで訪れている彼女の方だろうか?
「ど……どうしたのだ、勇者? 私とではその……楽しくはないのか?」
若干引き気味だった俺に、魔王リリアは少し眉尻を下げて問い掛けて来た。
こんな顔をされれば、冗談でも否定なんて出来ない。
「い……いや、そんな事は無いぞ。ただ……」
俺が即座に否定したからか、彼女の表情はパァっと明るくなった。
それでも俺は、これを聞かずにはいられなかったんだ。
「この山に来るにはその……その恰好は軽装過ぎやしないか?」
「そ……そうか? 似合っていない……かな?」
どうも俺の問い掛けを何か勘違いしているのか、リリアは自分の姿を見ながら俺の前でクルリと回って見せた。
似合っているかどうかで言えば、そりゃあもう似合っている。
たぶん街中で出会ったなら、目を奪われていた事に間違いなんて無いだろう。
いや……ここがこんなオドロオドロしい場所じゃあなく美しい草原なら、それほど違和感なんて覚えなかったはずだ。
「いや。とても似合ってるんだが、その……」
だから俺はそのまま素直に感想を言ったんだが、今の彼女は俺の台詞を全て言わせてくれるテンションじゃあ無かった。
「そ……そうか!? 似合っているか!?」
途端に子供のような笑みを浮かべて喜ぶリリアを見れば、もうこれ以上彼女の衣装についてとやかく言うのも無粋……と言うか無駄だと理解した。
とにかく、今回の目的は聖霊様に会う事なんだ。
リリアの格好がどうかなんてのは、この際はもう問うまいと考えを止める事にしたんだ。
そんな表情もまた、可憐な彼女にはぴったりで……赤面しちまう。
「あ―――……うっほん。……レベルを上げるには、一定の経験が必要なんだ。そしてその経験を積む為には、それなりに時間が必要だろう。弱い者がレベルを上げる為の時間は然程でもないが、俺やリリアに四天王の面々がレベルを上げようと思うと、一体どれだけ時間が掛るか……」
つまりは、そういう事だな。
魔界に来て戦い続けの俺でも、未だレベルは98で止まっている。
99になるにはどれほどの時間が掛るのか見当もつかず、更に100以上があるのかどうかも分からない。
99で頭打ちならば、俺の強さもそこまでって事だ。
そして肝心要、すでに十分な強さを持っているリリアや四天王は、これからレベルを得る事が出来るのかって話だ。
もしも恩恵を受けれればこれ程心強い話は無いし、無理ならば仕方がない。
……その真偽をハッキリさせる為にも。
「だから俺は、聖霊ヴィス様にお会いしようと思うんだが……何か方法を知らないか?」
俺はここで漸く、話の本題を切り出したんだ。
魔族にレベルを付与出来るか否か? それを知るのは誰でもない、聖霊様ご本人だからな。
俺の提言に、リリアは暫し俯き考え込んだ後。
「……ある。聖霊様にこちらからお会いする術は、確かにある」
顔を上げたリリアの口にした答えに、俺は思わず心の中で拳を握り締め歓喜していた。
何せ人界の方じゃあ、聖霊様にこちらから問い掛ける方法なんて無いからなぁ……。
いや、もしかすればあるかも知れないんだが、それを聖霊アレティは俺に教えていないんだからな……ったく。
「……そうか。なら、俺がこれから会いに……」
「しかし……」
俺はリリアに、これから聖霊ヴィス様に会いに行くことを告げようとしたんだが、その言葉は彼女の呟きによって止められてしまった。
深刻な表情の彼女を見れば、そのまま話を続ける事が出来なかった。
そして俺は、リリアの紡ぐ次の言葉を待ち構えたんだ。
「彼の地は中々に険しく強力な魔物が多数生息している。私でも、聖霊様に会いに行くのは一苦労なのだ。如何に勇者と言えども、辿り着くのには一筋縄ではいくまい……。それに……」
重々しく話す彼女の話を聞き、俺は思わず喉を鳴らしていた。
この魔王リリアがこれほどの難色を示す様な場所なのだ。
俺1人では、もしかすると辿り着けないかも知れないな。
「……それに?」
しかも彼女の話はそれだけでは終わらず、更にまだ続きがあると言うのだ。
俺が思わず声音を低くして問い掛けるのも仕方がないだろう?
「聖霊様を呼び出すには、秘匿された儀式が必要なのだ。それを持ち合わせていない勇者では、恐らく聖霊ヴィス様と対面する事すら適うまい」
聖霊様を呼び出すには、何か特殊な秘術が必要だと言うのだ。
これは本格的に手詰まりだと言って良いだろうな。俺一人でどうにかなる話じゃあない。
「……どうすれば良い?」
単純に、誰かその儀式を行える者が同行してくれれば解決する話なんだが、そんな険しく危ない場所に帯同出来る人物なんてそうはいないだろう。
俺は本格的に悩みウンウンと唸っていたんだが。
「……そこで提案なんだが」
そんな俺に、魔王リリアは解決策を提示すべく話を切り出したんだ。
何でこんな事になっているんだ?
いや確かに、こうする事が一番の解決方法だろう。
でも、もっと他に手段はあったはずだ。
「きょ……今日は天気が良くてその……良かったな」
ここは、聖霊が住まうと言う聖霊山「スフェラ神山」。
山肌には岩が剥き出しとなっており、緑の類は一切伺えない岩山だ。
木々も立ち枯れており、一見すればとても聖霊様が住んでいる様な山には見えない。
周囲には一層濃い魔素が立ち込めており、強力な魔物の気配がそこかしこから感じられた。
そんな所に、俺は魔王リリアと共に訪れていたんだ。
これ程危険を孕んでいると感じられる場所ならば、同行者が魔王と言う事は随分と心強い。
だから彼女がここに居ること自体は、決して不思議な話じゃあないだろう。
しかし……その魔王リリアの格好がその……余りにも……異質なんだ。
彼女が選んだ服装は、薄い黄色を基調とした薄手のワンピースだ。
魔王と言う事を除けば、彼女は美しく可憐であるからその恰好はとても似合っている。
ひざ下までのスカートをフワリとはためかせて、笑顔でこちらへ振り向くその姿はとても愛くるしい。
しかし……この場所にはとても似つかわしくない。
それに、同行する俺の格好も今の彼女とは比すればアンバランスだ。
俺は、当たり前のようにフル装備出来ている。
流石に勇者の装備一式ではないが、それでも魔界で戦うには最高の武器防具を用意したつもりだ。
腰に差しているのは「雷光剣」。
人界でも屈指の攻撃力を持ち、斬りつけた相手に電撃の追加効果を与える高い殺傷力を持つ片手剣だ。
利き手とは逆の腕には「魔法の盾」を装備している。
総合的な防御力は「光の盾」に及ばないが、特に魔法攻撃や特殊攻撃に高い防御能力を発揮してくれる。
そして身に付けている鎧は「獅子公の鎧」だ。
人の手による作品では恐らく世界最高の鎧だろう、物理や魔法、特殊攻撃に高い防御力を示してくれる。
この胸に刻まれている獅子のレリーフも気に入っている1つだ。
俺の格好は、この山を攻略すると言う点では申し分ない……と思う。
でも今のリリアの隣に立つには、どうにもちぐはぐと言って良かったんだ。
確かに、リリアも腰に帯剣している。
今回彼女が持ってきたのは、以前魔王城で対峙した時に手にしていた強力な「魔王の剣」ではなく、煌びやかな装飾が施された柄と鞘を持つ細剣だった。
今の彼女の姿に武具は無粋なんだろうが、それでもそこまで違和感を覚える様な武器じゃあない。
異質と言うなら、その隣に立つ武骨な格好をした俺の方なんだろうなぁ。
……いや、こんな禍々しい山に爽やかなワンピースで訪れている彼女の方だろうか?
「ど……どうしたのだ、勇者? 私とではその……楽しくはないのか?」
若干引き気味だった俺に、魔王リリアは少し眉尻を下げて問い掛けて来た。
こんな顔をされれば、冗談でも否定なんて出来ない。
「い……いや、そんな事は無いぞ。ただ……」
俺が即座に否定したからか、彼女の表情はパァっと明るくなった。
それでも俺は、これを聞かずにはいられなかったんだ。
「この山に来るにはその……その恰好は軽装過ぎやしないか?」
「そ……そうか? 似合っていない……かな?」
どうも俺の問い掛けを何か勘違いしているのか、リリアは自分の姿を見ながら俺の前でクルリと回って見せた。
似合っているかどうかで言えば、そりゃあもう似合っている。
たぶん街中で出会ったなら、目を奪われていた事に間違いなんて無いだろう。
いや……ここがこんなオドロオドロしい場所じゃあなく美しい草原なら、それほど違和感なんて覚えなかったはずだ。
「いや。とても似合ってるんだが、その……」
だから俺はそのまま素直に感想を言ったんだが、今の彼女は俺の台詞を全て言わせてくれるテンションじゃあ無かった。
「そ……そうか!? 似合っているか!?」
途端に子供のような笑みを浮かべて喜ぶリリアを見れば、もうこれ以上彼女の衣装についてとやかく言うのも無粋……と言うか無駄だと理解した。
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