無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

甘夏蜜柑

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魔導書士、狼を退治する

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「さて、と。狼はどこにいますかね」
 村の外に来た我々は、狼を探して森をさまよっていた。
「奴らは夕方から夜にかけてが最も活発なの。今は昼過ぎだから、あまり出てこないかもしれませんね」
「うん、確かに、それらしい気配は感じませんね」
 私は顎に手をやってふむと考えた。
 土地、土地、この依頼が終わったら、土地が手に入る…。
「ルル、依頼内容の確認ですが、要は狼退治、という認識で良かったですかね」
「ええ、そうです。狼以外の魔獣もちらほら出ますけど、被害のメインは狼によるものなんです」
「なるほど、それなら」
 当初は、森を調査して、狼が暴れだした原因を突き止めて対処するつもりでしたが、土地、土地…。
「よし、少し力業になりますが、サクッと終わらせましょう」
 私はリュックから魔導書を2冊取り出した。
「何をする気だ、ニコライ?まさか森ごと焼き払おうっていうんじゃないだろうな?」
「ええ!それは困ります!」
「そんな非常識なことしませんよ!まあ、見ていてください」
 私は紫色の魔導書『カーマの誘惑』を開いた。
「いきますよ。「狼誘導インダクション・ウルフ!」」
 開いたページから紫色の霧が広がり、森全体を包み出した。
「インダクション…、魔獣寄せの魔法って、おびき出して一網打尽にするつもりか」
「その通りです」
「しかし、規模が大きすぎないか!関係ない魔獣まで寄ってきて、手に負えなくなるぞ」
「ああ、大丈夫ですよ。狼だけに対象を絞りましたので」
「はあ⁉またそんな器用なことを…」
 話している間に、周囲に魔獣の気配を感じるようになってきた。レイラさんがルルをかばうように剣を構える。
「…囲まれてるな。来るぞ!」
 囲んでいた狼が一斉にこちらにとびかかってきた。
「ぬおおおぉ!」
 レイラさんが切り込んでいく。私は用意したもう1冊の黒い魔導書『プルートの決断』を開いた。
「冥王に選ばれし者は闇に帰れ、『狼の死ウルフ・デス!』」
 魔導書から黒い光がカッと広がり、辺り一面を覆いつくした。
「ん、なんだ、と」
 光が収まると、そこには狼たちの死体が転がっていた。
「ニコライ、今度はどんな魔法を使ったんだ」
「選択した対象だけを殺す魔法ですね。いやー、後始末が大変なのであまり使いたくはなかったんですけど、これで依頼は達成ですかねぇ」
 などと言っていると、レイラさんがはぁとため息をついた。
「即死魔法1つでも、相当高位な聖職者にしか扱えないと聞くが…。まあもういいか。とにかく、これだけ大きい狼の群れだから、ボスがいるはずだ。その死体が確認できれば依頼は達成だろう。後片付けは、まあ、村の人に手伝ってもらうことにしよう」
 そうして、あきれ顔のレイラさんと、すごいすごいとほめてくれるルルと一緒に狼のボスの死体を探すことにした。
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