無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話

甘夏蜜柑

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魔導書士、勧誘する

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「すごい…」
 そこは、まさに本の山だった。
 壁一面の本棚。
 高い天井まで伸びる本棚。
 部屋の奥は見えないが、どこまでも本棚が続いていると思われる。
 並んでいる本も、アカデミーにあったようなでたらめな本ではない。
 古めかしくも、そこに刻まれた文字は確かな知識であることは本の佇まいから容易に見て取れる。
 古代の英知を訪ねに来るのを静かに待っているようだ。
「なぜ、これほどの本を、こんなに…」
「まあ、なんじゃ、人間の魔術を衰退するために、世界中の本をこそこそと集めていくうちにな、好きになってしまってな」
 棚に並んだ本の背をそっと撫でる。
「せめて何冊か持っていけば、王都での辛い生活の慰めになるじゃろうて」
「…いえ、そういうわけにはいきません」
「どういうことじゃ?」
「何冊とは言わず、すべて持っていきましょう!そして…」
 私は魔王に手を差し出す。
「私の図書館で働きませんか?」
「な、なんじゃと!?」

 そして私は、魔王を連れて転送魔法で王都に戻ってきた。
 魔王を働かせることは当然のように皆から反対されたが、彼女の知識と蔵書は魔術の復興に役に立つということ、図書館で働くことで私自身が監視ができるということで、何とか王からも認められた。

 それから半年が過ぎた。
「いやー、だいぶ夢の図書館に近づいたと思いませんか、レイラさん」
「そうだな。最初から無茶苦茶な奴だなとは思っていたが、まさかこんなものまで作ってしまうとはな」
 私とレイラさんは今、巨大な図書館の前に建っている。
 魔王が図書館で働くようになってからは、怒涛の日々だった。
 世界を救ったということで王様から頂いた褒美をもとに、図書館を大幅に拡張。
 そこに魔王の蔵書をごっそり移し、魔王にはそこの管理と研究を依頼。
 王都のアカデミーは廃止となり、こちらの図書館に併設する形で新しいアカデミーが建設された。学長はあの骨董商だ。
 現在の魔術に対する理解は誤っているということが大っぴらにされたから、魔術の復興と発展のために、数多くの人々がやってきて、日夜議論を戦わせ、この半年だけで見ても世界の学問の水準は大いに高まったと言える。
 そして、人々の知的好奇心で自由に膨れ上がった図書館で私は、館長として日夜忙しく働いている。
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