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学園編
65 お嬢様の実技
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私は皆の後ろをついていき、広く開かれた演習場らしき場所に着く。
そして、ここにいる生徒はそれが当たり前のように、用意したであろう武器を、なんで持っているのかわからない大きな鞄から取り出していた。
どう見ても武器よね?
剣や槍。弓矢……殴ってはいけなさそうな物まで一体何が始まるというの?
「皆さん、準備は整いましたか? 一番は、ロキュシュアートさん。お願いします」
「あいよ」
自分の背丈よりも二倍近くもある大きな槍を構えていた。
掛け声とともに、気が付かなかったけど。奥には的となる人形があった。
それを目掛け、猛攻な攻撃を繰り出している。
それまでという掛け声で、攻撃は終わり辺りはどよめいている。
「それでは……」
演習って……武器を使った演習?
ルビーさん、私聞いてないよ? 練習も何もなかったよね?
どうしよう……仮に武器があっても、思い出すのはあの情けない姿。
「それでは、イクミさん。どうぞ」
「は、はい……」
「武器はどうされました? もしかして忘れたのですか?」
「い、いえ……使ったこと、ないので……すみません」
「ふぅ……分かりました。では、次の方」
なんかため息をつかれたのだけど。
知っていたら……用意はするかもだけど、私はまともに使えないし。
「あいつ何しに来たんだ?」
「さあな、バカが考えることはわからん」
「見た目通りなんだから、何でいるんだ?」
私だって知らないわよ。
というか、なんで私みたいな女の子まで武術をやると言うんだよ……いやいや、持ってるわー。
持ってましたよ。剣や弓、槍なんかもまー分かる。自分よりも大きい斧ってどういうことなの?
そんな物を、女の子が持ってて良いものなの?
ここにいる男子相手に、新しい扉でも開けさせるつもり?
「次!」
さて、私なんでここにいるのでしょうか?
先生は演習って言ってたよね?
学園に入るのだから、当然試験はあるよね?
だとするのならこれは入学試験だ。きっとそうだ。
そうか。私のことをよく知っているルビーのことだから、私が学園に受かるなんて当然考えないよね。
だけど、父が通うように言うものだからあえて王都に仕方なく移動したってわけね。
うんうん。それだと、いつまで滞在するかは私の気分次第にもなるから、お金も当然必要だよね。ごめんね皆、本当に苦労ばかり掛けて。
明日からは、皆と一緒にブラブラしたり出来るから待っててね。
「お疲れさまでした。魔法演習場へと移動します。こちらに着いてきてください」
はいはーい。行きますよー。
魔法なんて奴隷魔法しか使ったこと無いのでつっかえませーん。
「あの先生」
「なんでしょうか?」
「魔法の技量のためのテストですよね?」
「そうですよ。イクミさんは魔法士だったのですね。大丈夫ですよ、そう簡単に壊れたりしませんから」
「いえいえ、そうではなくて。私魔法を使えません」
「はい?」
「ですから。魔法は使えないのです。魔力量も凡人の半分すらありません」
「そ、そうですか……」
私はあれからというもの、剣術はも魔法さえも練習なんて一度もない。
その必要もなかったしね。学園に行けとは言われたけど、入学できなかったらそんな話は無効よね。教えてこなかった父上様が悪い。
しかし、それが今ここに来て功を奏している。
自堕落生活バンザーイ。
「……分かりました。午後からは座学のテストがありますが……」
「それなら受けられます。大丈夫です」
「はぁ、わかりました」
話が聞こえていたのか、周りからは白い目で見られている。出来ないものは出来ない。
私は、もう落ちることが確定しているから何も気にする必要がない。
ルビー達もなんで私を、敢えて可愛くした理由も、今になってようやく分かったよ。
たった一回しか着ることのない制服なんだし、見栄えぐらい良くはしたいよね。
「お前は一体何なんだ? 武器は良いとしても、魔法すら覚えていないだと? ふざけているのか?」
「いえ、別にふざけている訳ではないのですが。私もこのようなテストがあるとは、聞いてもいませんでしたし。しかし、私の態度で気分を害されたのでしたら謝罪いたします。この度は誠に申し訳ありませんでした」
「ちっ……」
「なによあれ……」
そうだよね。皆この日に頑張ってきたのよね。それなのに、こんな落ちこぼれがいたら嫌だよね。
本当に申し訳ない。心から謝ってはいるが、明日からの生活が今から楽しみでしょうがない。
「皆さん落ち着いてください。イクミさんは演習が終わるまで離れて待機していてください。良いですね?」
「分かりました」
魔法演習も無事突破ね。武器の時もそうだけど、皆は相当な訓練をしているのね。屋敷にいた時も、皆訓練でよくやっていたっけ。
魔法を見ることはなかったけど、どんな魔法を皆は使うのだろう?
「皆さんお疲れさまでした。それでは、ここで解散をして二時までに、先程の教室へとお集まりください……」
いやー、楽しい時間だった。魔法というのは見ているだけで面白い。
身体能力あげたり、攻撃に特化して魔法の数々。
詠唱というのは無いみたいだけど……奴隷魔法は奴隷紋に魔力を注ぎ命令をしたことはあるけど。
炎や水といった、ああいう魔法はどうやって使うのだろう……そもそも教えられても居ないことなので、全くわからない。
そして、ここにいる生徒はそれが当たり前のように、用意したであろう武器を、なんで持っているのかわからない大きな鞄から取り出していた。
どう見ても武器よね?
剣や槍。弓矢……殴ってはいけなさそうな物まで一体何が始まるというの?
「皆さん、準備は整いましたか? 一番は、ロキュシュアートさん。お願いします」
「あいよ」
自分の背丈よりも二倍近くもある大きな槍を構えていた。
掛け声とともに、気が付かなかったけど。奥には的となる人形があった。
それを目掛け、猛攻な攻撃を繰り出している。
それまでという掛け声で、攻撃は終わり辺りはどよめいている。
「それでは……」
演習って……武器を使った演習?
ルビーさん、私聞いてないよ? 練習も何もなかったよね?
どうしよう……仮に武器があっても、思い出すのはあの情けない姿。
「それでは、イクミさん。どうぞ」
「は、はい……」
「武器はどうされました? もしかして忘れたのですか?」
「い、いえ……使ったこと、ないので……すみません」
「ふぅ……分かりました。では、次の方」
なんかため息をつかれたのだけど。
知っていたら……用意はするかもだけど、私はまともに使えないし。
「あいつ何しに来たんだ?」
「さあな、バカが考えることはわからん」
「見た目通りなんだから、何でいるんだ?」
私だって知らないわよ。
というか、なんで私みたいな女の子まで武術をやると言うんだよ……いやいや、持ってるわー。
持ってましたよ。剣や弓、槍なんかもまー分かる。自分よりも大きい斧ってどういうことなの?
そんな物を、女の子が持ってて良いものなの?
ここにいる男子相手に、新しい扉でも開けさせるつもり?
「次!」
さて、私なんでここにいるのでしょうか?
先生は演習って言ってたよね?
学園に入るのだから、当然試験はあるよね?
だとするのならこれは入学試験だ。きっとそうだ。
そうか。私のことをよく知っているルビーのことだから、私が学園に受かるなんて当然考えないよね。
だけど、父が通うように言うものだからあえて王都に仕方なく移動したってわけね。
うんうん。それだと、いつまで滞在するかは私の気分次第にもなるから、お金も当然必要だよね。ごめんね皆、本当に苦労ばかり掛けて。
明日からは、皆と一緒にブラブラしたり出来るから待っててね。
「お疲れさまでした。魔法演習場へと移動します。こちらに着いてきてください」
はいはーい。行きますよー。
魔法なんて奴隷魔法しか使ったこと無いのでつっかえませーん。
「あの先生」
「なんでしょうか?」
「魔法の技量のためのテストですよね?」
「そうですよ。イクミさんは魔法士だったのですね。大丈夫ですよ、そう簡単に壊れたりしませんから」
「いえいえ、そうではなくて。私魔法を使えません」
「はい?」
「ですから。魔法は使えないのです。魔力量も凡人の半分すらありません」
「そ、そうですか……」
私はあれからというもの、剣術はも魔法さえも練習なんて一度もない。
その必要もなかったしね。学園に行けとは言われたけど、入学できなかったらそんな話は無効よね。教えてこなかった父上様が悪い。
しかし、それが今ここに来て功を奏している。
自堕落生活バンザーイ。
「……分かりました。午後からは座学のテストがありますが……」
「それなら受けられます。大丈夫です」
「はぁ、わかりました」
話が聞こえていたのか、周りからは白い目で見られている。出来ないものは出来ない。
私は、もう落ちることが確定しているから何も気にする必要がない。
ルビー達もなんで私を、敢えて可愛くした理由も、今になってようやく分かったよ。
たった一回しか着ることのない制服なんだし、見栄えぐらい良くはしたいよね。
「お前は一体何なんだ? 武器は良いとしても、魔法すら覚えていないだと? ふざけているのか?」
「いえ、別にふざけている訳ではないのですが。私もこのようなテストがあるとは、聞いてもいませんでしたし。しかし、私の態度で気分を害されたのでしたら謝罪いたします。この度は誠に申し訳ありませんでした」
「ちっ……」
「なによあれ……」
そうだよね。皆この日に頑張ってきたのよね。それなのに、こんな落ちこぼれがいたら嫌だよね。
本当に申し訳ない。心から謝ってはいるが、明日からの生活が今から楽しみでしょうがない。
「皆さん落ち着いてください。イクミさんは演習が終わるまで離れて待機していてください。良いですね?」
「分かりました」
魔法演習も無事突破ね。武器の時もそうだけど、皆は相当な訓練をしているのね。屋敷にいた時も、皆訓練でよくやっていたっけ。
魔法を見ることはなかったけど、どんな魔法を皆は使うのだろう?
「皆さんお疲れさまでした。それでは、ここで解散をして二時までに、先程の教室へとお集まりください……」
いやー、楽しい時間だった。魔法というのは見ているだけで面白い。
身体能力あげたり、攻撃に特化して魔法の数々。
詠唱というのは無いみたいだけど……奴隷魔法は奴隷紋に魔力を注ぎ命令をしたことはあるけど。
炎や水といった、ああいう魔法はどうやって使うのだろう……そもそも教えられても居ないことなので、全くわからない。
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