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第1章 沢田くんと恋の予感
沢田くんとお弁当2
しおりを挟む【佐藤さん、違うんだよ! いつもはこんなんじゃないんだよ、今日だけたまたまなんだよーっ! って言ったところでもう「m9(^Д^)プギャー」は免れない……。それならいっそ、「これが俺の通常運転ですが何か? (๑• ̀д•́ )✧ドヤッ 」くらいの見栄を張った方が男らしい。よし、それで行こう。言ったれ、俺!】
沢田くんはキリッとした顔で私を見つめる。
「こ……【これが俺の通常運転ですが何か? (๑• ̀д•́ )✧ドヤッ 】こ……【これが俺の通常運転ですが何かっ⁉︎ (๑• ̀д•́ )✧ドヤッ……。……は、はあ、はあ、だ、だめだ、ビビっちまって声が出ない……!!((((;゚Д゚))))))) 】」
……もう。ヒヨコなんだから。たかが同級生に日の丸弁当を見られたくらいで声も出なくなっている沢田くんがおかしくて、私はつい笑い出しそうになってしまう。
深呼吸して、笑顔を作って、私は言う。
「お弁当見ちゃってごめん。おわびに、私のも見せるね」
私は胸に抱えていたお弁当箱の蓋を開けた。沢田くんがやや驚いたように目を開く。
「うち、同居してるおばあちゃんがいつも気合い入れて煮物系ばっかりたくさん作るの。もし良かったら、沢田くん、少し食べてくれない? 甘じょっぱくて食べ飽きちゃってたんだけど、残したらおばあちゃんに悪いから……。あっ、筑前煮、好き?」
【好き───────っ!!!。゚(゚´ω`゚)゚。】
沢田くんは恥ずかしそうに目をそらし、小さくうなずいた。
ドキッと胸が弾む。
……馬鹿だな、もう。
沢田くんが好きなのは、筑前煮だよ。私じゃないよ。勘違いするんじゃないよ。
自分に言い聞かせながら、私は沢田くんの隣に座った。
【ああ~~美味しい! 佐藤さんちの筑前煮、最高に美味しい! ごはんが進む!! 梅干しの300倍、ごはんが進むーーっ!】
綺麗な箸の持ち方で、スマートに私のお弁当箱からタケノコを取り出して口に運び、無言でもぐもぐ食べる沢田くん。見ていると、なんだか胸がいっぱいになってきちゃう。
「好きなだけ食べてね、沢田くん」
「あ……うん【ありがとう、佐藤さん!! あと、金剛力士像じゃないのにいつもあ、うんでごめんね!!】」
幸せだなあ。
もしかしたら私、この屋上にいる誰よりも幸せじゃない?
それはきっと、沢田くんの心が誰よりも清らかなせいだ。
隣にいると、気持ちがいい。
沢田くんと一緒だと、どこまでも優しい人になれそうな気がする……。
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