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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんとイメージチェンジ
しおりを挟む土曜の朝、私はついに決心して髪を切りに行った。
今までは中途半端な長さのセミロングで前髪も長めだったけど、勇気を出して前下がりの丸みのあるショートボブにしてみた。
まるで文化部から運動部になった気分。かなりイメージチェンジしたと思う。
これでモブから卒業できるといいんだけど。
ささやかな私の第一歩だ。
月曜、緊張しながら教室に入る。
「おはよー」
「おはよ……んっ?【あれ? 誰? えっ、うそまさか景子ちゃん?】」
麻由香ちゃんが私に気づいて目を白黒させた。
「やだーどうしたの? その髪型! 超かわい~~!【悔しいけど可愛くなったな! 今まで超地味だったのにー】」
「あはは。ありがと」
「どういう心境の変化?」
「まあ、いろいろ」
いつもはクールな杏里ちゃんも【可愛いじゃん】と笑ってくれる。
良かった。女の子たちからはなかなかの好印象だ。
「あれ? 誰かと思ったら佐藤さん?」
次に爽やかそうな笑顔で近づいてきたのは森島くんだ。
「びっくりした! その髪型似合ってるよ【磨けば光るタイプだったか】」
ムカつく人だと思っていたけど、褒められるとやっぱり嬉しい。
あとは沢田くんの評価が気になるところだ。
教室に入ってくる人を、ソワソワしながら何度も見てしまう。
その時、艶のある黒髪が何も言わずに入ってきた。
沢田くんだ!
一気に緊張で喉が渇く。
果たして沢田くんは私を見てどんな反応を示すのか!!
「お、おはよう~沢田くん」
私は笑顔で手を挙げた。
ところが……沢田くんは私を一瞥すると、すぐに無表情で視線を外して自分の席に着いてしまった。
あ、あれ??
まさかの無反応⁉︎
うう、ショック!! 今日のこの瞬間が楽しみで土日ずーっとワクワクしてたのに!!
もしかしてショートボブは好きじゃなかったとか?
だとしたら泣きそうなんですが。
諦めきれずにもう一度、今度は自分の席について声をかけてみる。
「沢田くん、おはよ」
すると沢田くんがチラッとこっちを向いた。
「……………………。【…………………おは………】」
「…………。【……………………ん?】」
「……………。【んんんんんんん???】」
沢田くんの目がみるみる大きくなる。
【今の声、佐藤さんだよな……って、誰ーーーっ!!!!?Σ(゚д゚lll)】
あ。今気づいたみたい。
【なぜ知らない人が俺の隣に⁉︎ 佐藤さんはどうしちゃったんだ!! さっきの声は幻聴か⁉︎ 俺の天使はいずこへ⁉︎ ま、まさか……俺の知らないうちに転校──⁉︎。゚(゚´ω`゚)゚。】
いや、気づいてない。
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