67 / 160
第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんと作戦会議
しおりを挟む今までボールをキャッチした経験がないと気づいてしまった沢田くんは、どうするべきか必死に考えている。
【俺が犠牲になってボールをこっちのコートに落とせば、次のターンで佐藤さんが怖い人をやっつけてくれるかもしれない。でも、もしそれが外れれば、佐藤さんが怖い人の餌食になってしまうかもしれない……! 佐藤さんを守るためには、やっぱり俺が最後まで残らないとダメだ! 次の攻撃は絶対に俺が止めなきゃ……! ああ、どうしよう。プレッシャーで左の脇腹が痛くなってきた……!:(;゙゚'ω゚'):】
沢田くんの緊張感が私にも伝わってくる。
「沢田くん、がんばれー!」
「あと一人だぞ、沢田!」
外野に行ってしまったBチームの声援も彼の耳には届いていないようだ。
こんなに緊張していたら、本当に二人ともやられてしまうかもしれない。
「沢田くん」
私は沢田くんに声をかけた。沢田くんが振り向く。
【ドキッ! さ、佐藤さん⁉︎ こんな時にどうしたのっ??】
「私のことを心配してくれてるのかもしれないけど、私だったら大丈夫だよ。今日の日のために特訓してきたから!」
それは嘘じゃなかった。
こんなこともあろうかと、毎日壁にボールを当てる練習や跳ね返り球を受け止める練習を繰り返してきたのだ。
なにをやっても普通の地味なモブキャラである私が、誰よりも活躍するには並大抵の努力じゃダメだと思った。それこそ血の滲むような努力じゃないと。
「小野田くんのボールは勢いがあるけど、その分真っ直ぐ飛んでくるから、体の中心で受け止めれば私でも取れると思うの。だからここは私に任せて!」
沢田くんは潤んだ瞳で私を見つめた。
「佐藤さん……【か、かっこいい……:;(∩´﹏`∩);: なんて男前なんだ、佐藤さん!! ビビっていた俺が情けないよ!!】」
「沢田くんは今まで十分活躍してきたから、今度は私の番だよ」
私はにっこりと微笑んだ。
正直取れる自信は50%くらいだったけど、当たっちゃったら当たっちゃったでボールを置き土産にできるはず。
そう思って、私は小野田くんにも声をかけた。
「小野田くん! 沢田くんと一騎打ちしたいなら、まず私を倒したら⁉︎」
「なんだと?【やっべえ、あの子すげえ自信がありそうなんだけど!((((;゚Д゚))))))) もし女の子に取られちゃったらどうしよう、恥ずかしくて次の日から学校行けねえよーー!!】」
小野田くんは沢田くんと私、どっちに投げようか迷っている。
どうしよう。迷われると、どっちに飛んでくるのかギリギリまで分からなくて予測できない。私のアドバンテージはないにも等しくなっちゃう──。
緊張で唾を飲んだその時、沢田くんがスッと私の前に出た。
「沢田くん……?」
【やっぱり、佐藤さんにそんな危険なことはさせられないよ】
驚いている私に、凛々しい背中で彼は言う。
【佐藤さんは俺が守る。あの人のボールも俺が必ず取ってみせる……!】
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる