沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第3章 沢田くんと炎のドッジボール

沢田くんと壁ドン

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 ギョッとして固まった私に、森島くんは恐怖のエンジェルスマイルで話しかけてきた。
「佐藤さんも、さっきはごめんね、背中にボール当てちゃって。大丈夫だった?」

【ん? 佐藤さん?】
 沢田くんはようやく私たちに気がついて立ち止まり、振り返った。

「全然大丈夫だから!」と沢田くんを追いかけようとすると、森島くんは私の行手を遮るように体をすべり込ませた。

「今度お詫びに一杯奢らせてよ。この前のファミレスとかどう?【ちゃんとした店に誘うとこの手のタイプは遠慮して断っちゃうからな。気兼ねのない場所での放課後デートで敷居を低くしてやらないと】」

 モテ男さんはいろいろと考えているのですね。
 森島ガールズはそれでも不満があるようで、

【なんで佐藤さんなんか誘うの?】
【森島くんと一対一デートしたくて頑張った私らの立場は?】
【モブ女のくせに生意気!】

 私をガン見していらっしゃいます……。
 でもそんな彼女たちより必死なのが、沢田くんだった。


【佐藤さん、もしかして森島くんにデートに誘われているっ……⁉︎ そ、そんな……。゚(゚´Д`゚)゚。だめーーーっ!!】


 沢田くんは凛々しい顔をしてこちらに大股で戻ってきた。
 心はぴよこなのに、その姿のなんてかっこいいことか──もう、胸がキュンとしちゃう!


「沢田くん……!」
「ん?」
 私の声につられて森島くんが振り向いた時だった。


【佐藤さんは、俺が先にっ……あっ、足がっ!】


 大きく踏み込んだ沢田くんの足が滑る。そして──。

 ドン!!

 沢田くんは、廊下の壁で勢いよく森島くんに壁ドンをしてしまった。

【しまった、足が滑って……こんなイケイケな体勢に!((((;゚Д゚)))))))】
【なっ……! 沢田の奴、俺に壁ドンしやがった! そんですっげー俺のこと睨んでる!! めっちゃ近くでめっちゃ睨んでる!!((((;゚Д゚)))))))】


 私をめぐって、沢田くんと森島くんがシリアスに睨み合っている……ように見える!
 なんだこの胸キュン展開は。


「な、なんだよ沢田。何か文句ある?」
「……【やばい、ビビっちゃって体が動かない((((;゚Д゚)))))))ごめんよ、森島くん!!(>人<;)】」
「……!【くっ、沢田の奴、目がすわってやがる! 俺はこいつを本気で怒らせてしまったのか……!】」

 森島くんは内心沢田くんを恐れているけど、強気に見せる笑みを浮かべた。

「文句があるならはっきり言えよ、沢田」
「……!【そうだ……はっきり言わないと】」


 沢田くんの眉間に皺が寄り、切ない顔つきになった。


【佐藤さん……俺は、佐藤さんと──!】


 ドキドキしている私の前で、沢田くんは美声を押し殺して言う。


「佐藤さんとデートするのは──俺だ」


 ズキュウウウウン!!
 やばい、今のはやばいよーっ!!


【い、言っちゃった……!((((;゚Д゚)))))))】

 ああっ、その心の声さえなければいいのに!!




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