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第4章 沢田くんと夢の遊園地
沢田くんと屋台
しおりを挟む屋台で売られているホットドッグって、どうしてこんなに美味しそうなんだろう。縦長に切った細長いバンズの間に千切りキャベツとアツアツのでっかいソーセージがドーンと挟まれて、上にマスタードとケチャップが乗っているだけなのに。
「ホットドッグ二つください!」
「はいよー」【おっ。高校生カップルか。いいねえ青春してるねえ】
屋台のおっさん(推定年齢45歳)はおじさんくさいことを心の中で呟いて笑っている。なんだか照れちゃう。
「あ、沢田くん。飲み物もあるよ。どうする?」
【俺はコーラ一択で……ん? よく見るとすごい品揃えだ!】
沢田くんがメニューボードに書かれたソフトドリンクの種類に目を留めた。
【普通、こういう屋台ってオレンジかコーラか烏龍茶かアイスコーヒーぐらいなのに、マジか。生搾りバナナジュースにメロンソーダにタピオカミルクティーにスムージー各種だと……⁉︎ ホットドッグは一種類なのに! どっちがメインなんだよこの店】
沢田くんの言う通り、メニューボードには溢れるほどの種類豊富なソフトドリンクがあれもこれもとぎっしり書き込まれていた。
【ふっふっふ。気づいたな、兄ちゃん。うちの店の豊富な品揃えに衝撃を受けているな? ホットドッグは一種類なのにとか思っているだろう。だからこそさ! ホットドッグ一個じゃ勝負できないから飲み物で客を釣っているのさ! さあ、買っていけえええええ!!!】
屋台のおっさん、獲物を見つけたハンターみたいな目をして沢田くんを見ているよ! どうする? 沢田くん!
「じゃあコーラで」
沢田くんは結局コーラ一択でブレなかった!!
【ズコー_(┐「ε:)_】
おっさんはやや凹み。可哀想だから私はタピオカミルクティーにしよう。
「じゃあ私はタピオカ……」
「あーすいません。今、タピオカ切らしてるんで原産地までスタッフが取りに行ってるんですよ~」
「じゃあコーラで」
「はーい」【おいおいおいおい! 今のは冗談だよ、お姉ちゃん~。゚(゚´Д`゚)゚。 こんなにいろいろあるのになぜ君たちはコーラ一択⁉︎ ふっ。負けたぜ、このお似合いカップルめ!!】
めんどくさいおっさんからはさっさと逃げるに限る。
ホットドッグとコーラをそれぞれもらって、私たちは近くのベンチに移動した。
「いただきまーす!」
私はホットドッグを大きな口に入れた。うん、予想通りでしかない味だけど美味しい!
【佐藤さん、もぐもぐしてる。可愛い(*´Д`*)俺もいただきまーす】
沢田くんが上品にホットドッグを一口かじった後、ストローでコーラを飲む。なにげないシーンでもサマになるなあ、なんて見つめていると。
【ふごっ!!!!((((;゚Д゚)))))))】
突然沢田くんが目を剥き、ストローから口を離してむせた。
「どうしたの、沢田くん?」
【うわーん。゚(゚´ω`゚)゚。やられたよ、佐藤さん! 気をつけて!!】
沢田くんは涙目でコーラを指さした。
「これ、タピオカ入ってる……」
「えええっ⁉︎」
沢田くんが持っているコーラの底には、黒くて見えにくいけど確かにタピオカらしいものが入っていた。言われなければ氷の粒か何かだと思って吸い込んじゃうよ!
【ふっふっふ。びっくりしたかい兄ちゃん。お似合いカップルに俺からの特別サービスだよ!ヽ(*^ω^*)ノ】
振り向けば、遠くで屋台のおっさんが渋い笑みを浮かべてこちらに親指を突き出していた。
いらんことしないで、おっさんーーー!!
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