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じいちゃん騒動

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早朝、6時に稔は目を覚ました。

朝日が差し込んでくるのを襖が開かれた状態で1階の和室で眺める。
ぼーっとした頭を朝日が稔の頭をフル回転にさせていた。

「あ、じいちゃん。ミルクあげないと」

布団から這い出ると、じいちゃんが寝ている揺籠まで歩いていく。

「じいちゃん・・ミルクの時間ですよ」

稔は目を疑っていた。揺籠の中にじいちゃんはいなかった。

「じいちゃん?どこ?」

部屋を見回してみるが、じいちゃんがいない。
どこにいったのだろう。

頭の中で巡っていた。

「じいちゃーーん」

まだ寝ている勝と茂子は、稔の声で目を覚ました。

「どうしたんだよ。」勝は半開きの目を稔に合わせながら起き上がった。

「じいちゃんがいないんだよ。」

「稔の部屋にいるんじゃないのか?」

「それがいないんだよ」

「とりあえず、探そう」勝は、白のYシャツとジーンズに着替えて、家内を探し始める。

「私も探さなきゃダメ?」茂子は渋々と言う。

「茂子は、寝てていいいよ。そんなに遠くに行ってないはずだから」勝が言う。
「では、おやすみ~」めんどくさそうに茂子は布団に戻っていった。

「もしかして、叔母ちゃんとこに言ったのかな。」稔は推理を始める。

「それもありえるな。お母さんならこの時間、外で仕事してるはずだからな」

居間に戻ると、窓を開けてから、スリッパに履いて外へと向かった。

稔が勝に引っ張られるまま「ちょ、ちょっとまって・・・」

スリッパを足に治ってない状態で稔は歩く。

信子が目の前の畑で作業している方向へと急ぐ。

「お母さん!!」勝は声を張ると信子は振り返った。


「お父さん!お父さんがいない!」運動神経の良い勝は息が上がることなく立ち止まる。
後ろから走ってくる稔だけは息を切らしていた。

「宗介さんかい?見てないが」キョトンとした顔で信子が言う。

「じゃあ・・・どこに!」勝は景色を見渡すが、じいちゃんらしき存在はどこにもいない。

「まあ。落ち着いて。勝。一度戻るか。家に」冷静に対応する信子は。
家まで3人で戻ることにした。

「あ!そういやじいちゃん。」稔は思い出したことがあった。

2階から成子が顔出してきた。

「じいちゃんならいたよ。」

「え!どこ?」稔は急いで家に戻ると。

仏壇の前で「きゃ。きゃ」と笑っていた。

「じいちゃん・・・・」稔は汗流しながらも抱きしめた。

思い出していた。昨日、じいちゃんは仏壇の前の自分をずっと見つめていたことを。


「ね!いたでしょ。」成子は当然のような顔で言う。

「そういや、お父さん昔から人騒がせな人だったよ。」勝が居間に座りながら言った。

「よかった・・・。」稔は我が子のようにしっかりと抱きしめていた。

「きゃ。きゃ。きゃ・・」また笑っていた。

おそらく、自分との対面になにかの共鳴していたのかもしれない。

「さてと・・・ご飯作るかね」信子は支度すると。
「手伝うよ。お母さん」勝も加勢した。



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