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haco.

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記憶前夜

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「全部知ってるよ。自分の過去なんて」
軽く言う宗介が一番冷静だった。

「いつからなんだ?自分が元々86歳だったことを知ったのは」

「うーーん、なら父ちゃんに聞くけど。僕がいつから生まれたかはわかる?」

「そりゃあー葬儀の日だろ?なあ、涼子」

涼子はびっくりしすぎて言葉になっていなかった。

「え、ああ」 その言葉だけで切った。

「ねえ、そんなことより父ちゃん着替えてから川で遊ぼうよ。ねえねえ」

岩道でうまく立てれないせいか、少しぐらついた。


宗介の言う言葉が意味深すぎて、早く聞きたいぐらいだ。

清流の落ち着いて場所で泳ぎ始めた宗介は、稔をひっぱりこみ
冷たい清流のせせらぎが身体を冷たくさせた。

「なあ、父ちゃん。」水面から顔だけをひょっこりと出した宗介は語り始めた。

「ぼくな。。。。父ちゃんが生まれるもっともっと前から来てたんだ。」

「え!?」 思わず水を飲んでしまった稔がびっくりした。

「父ちゃんの歴史で知る。。。平安って頃ぐらいかな」

それは宗介の誕生秘話の壮大な話だった。
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