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第二章 狂った愛情
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しおりを挟む「ん…っ」
西尾の舌が俺の口内をむさぼるように動く。
だんだん息が苦しくなってきた。
毎回毎回、酸欠になるのは俺の方。
もう、限界…っ
上に覆い被さっている西尾の背中をバシバシ叩いて、苦しいと意思表示した。
「…はぁッ、はぁ…」
西尾の唇が離れたと同時に一気に酸素を肺に流し込む。
たった一回のキスだけで、俺の身体は疲れ果てた。
ぐったりとしている俺をよそに、西尾が首筋に顔を埋めてきた。
くすぐったさに身をよじると空いてる西尾の手が俺のベルトを外そうとした。
その瞬間、
あの日の記憶が鮮明にフラッシュバックした。
「ぃやだっ…!」
とっさにドンと西尾の胸を押す。
怖い、コワイ─…
背筋から冷や汗が噴き出すのが分かる。
西尾を突っぱねた腕はガタガタと震え、行き場をなくして力なく落ちた。
「佐倉…」
小さくうずくまる俺に西尾が呟く。
「ごめ…、やっぱり恐い」
ドクン、ドクンと鼓動が浅く、早く脈打つ。
爪が食い込むほどギュッと握りしめた俺の手に西尾がそっと触れる。
「ごめん」
苦しそうな表情を浮かべる西尾は、押し殺した声でそう言った。
「佐倉、ゆっくり呼吸しろ」
「…はぁ、…っ」
「もうあんな事…、おまえの痛がる事はしないから、安心しろ…」
「…っ」
「ごめん…、ごめん…」
何度も謝りながら優しく俺を抱きしめる西尾。
握りしめた手をゆっくりと開くように誘導される。
西尾の体温が伝わってきた。
どれくらいそうしていたんだろう。
温かい…
少しずつ、
だんだんと俺の鼓動は落ち着きを取り戻していった。
「に、しお」
「佐倉、大丈夫か?」
「うん、ごめん…」
「おまえは謝んなくていい」
「でも…、あの西尾が嫌いとかじゃなくて…っ」
「無理しなくていい」
俺が落ち着いたのを確認して、西尾の体がスッと離れていく。
違う、
違うんだ
本当に。
西尾が嫌いだとか、そんな事はなくて…
「…っ」
伝えたいのに、なんだろう、
言葉がうまく出てこない。
今何を言っても裏目に出そうな気がしてならない。
西尾の表情は完全に何かを諦めた顔だ。
違う、伝えなきゃ…
キス…
キスまでは大丈夫だったじゃないか。
「…キス」
「…?」
「キスして」
「…佐倉、無理しなくていい」
違う、
無理なんかしてない…
「無理じゃない…!だから…」
伝われ…
「だから…!」
「おぃ…っ」
咄嗟に、
俺は西尾の唇に自分の唇を合わせていた。
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