せんせい、僕に描き方を教えてください

てるる

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後門の狼

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やたらに先生にまとわりついてくる生徒というのは、
友だちがおらず、なんで友だちがいないかって、
家庭が不安定なことが多い。
家庭が不安定な生徒は、いじめに遭うことも多いな。
きれいだったり、成績優秀だったり、リッチだったり、
というポジティヴな要素でいじめのターゲットになることも
あるわけだから、いじめの原因を被害者に求めるのは
ナンセンスだが、親に大事にされていない子は、
情緒不安定で自尊心が低く、子どもの残酷な嗜虐精神を
かきたてる側面は、ある。
ま、何にせよ、いじめは加害者のメンタルに
問題があるんだよ。
幸せな子どもは誰にでも親切なものだからな。

橋詰翔については、友人関係は良好に見受けられる。
俺は2年生の担任だが、授業中や休み時間の様子を
見る限り、いつも朗らかで仲間とも打ち解けている。
友だちが居なくて、俺のところにやってくるわけでは
ないようだから、多分、本気で純粋に創作に興味があるのだろう。
それはそれで迷惑な話だ。
子どもは子ども同士で遊んでおれ!



今日も翔はにこやかに職員室に現れた。


「せんせい、お時間よろしいでしょうか?」


よろしくはないが、いたしかたあるまい。
俺はしぶしぶ腰を上げた。

昼食時間確保のために家でおにぎりを作ることにした。
誰も作ってくれないから自分で作るわけだが、
作ってくれる誰かが居たって、俺は自分で作るとも。
めそめそ。



図書室の窓を開けて、空気を入れ替える。
今日は図書委員の姿も見える。
俺たちは、図書室の奥にひっそりと身を潜める。
別に悪いことをしているわけではないのだが。


「面白さについての話でしたね」


そうそう、キミは削ぎ落としの美学について
語っていたね。


「せんせいは、どこが面白いと思って
アレを書かれたんですか?」


翔は俺の顔をまじまじと見て言った。
顔から火が出そうだ。


「創作のきっかけを知りたいのです」


ああ、ね。


「姉の話だ」


「血のつながったお姉さんの濡れ場を描いたんですか。
いやらしいな、このド変態」


「違うよッ!姉のひと月だけの非常勤の話が
印象的だったんだ!」


思わず声を上げたら、図書委員の女生徒が
不審げにこちらを見やるから、慌てて
声を潜めた。

翔は頬杖をついて、にんまりとしている。
嫌な奴だ。
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