婚約破棄する予定だったけど、せっかくなので国をのっとります

玄米茶

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第1話

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『手を勝手に握ろうとするなよ。このくそ馬鹿野郎!!』

とっさに、私は叫びそうになっていた。
安心して、実際に叫んではいないから。
ただ、私がもう少し短気だったら、このセリフと一緒に目の前にいるこいつの顔をぶん殴っていただろうが。

実際に行ったセリフはこちら。
「あら、きれいな花が咲いているわ」
野良猫みたいに警戒心の強い私は、手を握られるのを察知して、とっさにしゃがみました。
あー、良かった。目の前にそこそこきれいな花が咲いていて。(真顔)



え?何々、私って誰って?
私の名前はハルカ。ここアルナリア王国で1,2を争う大武器商人の長女よ。
自分で言うのもなんだけど、初等教育、中等教育の成績共に優秀だったし、人望もあったと思うわ。

けど、残念。

なんて言ったって、私がいくら優秀でも武器商、継げないんだもん。

運がいいのか悪いのか分からないけれど、私の下には弟が二人もいる。

弟のうち一人が、残念なことになっても、もう一人いるわけだからね。
まあ、弟がいなかった場合、私が婿を取ることになったんだろうけど、そしたらまだ経営に関われる機会があったかもしれないわね。

ともあれ、弟は二人いるわけで、私なんてただの邪魔者。
だから、私なんてさっさと家からいなくなってほしいわけ。

長女だから、適当に扱うわけにもいかないしね。
ってなわけで、長女を都合よく追い出せる+いい感じに利用できる=政略結婚と言うわけで、私は今、お見合い中です。
さっきまでくり広げられていた会話はこんな感じ。

「いやー、おたくのお嬢さん、噂以上の美しさで。なあ、そう思うだろう?ユウト」(By.王様)
「そう思うよ。父さん」(By.ユウト)
「ありがとうございます。うちの娘をよろしくお願いいたします」(By.My father)
「いえいえ、こちらこそ」(By.王様)

それで、この後、ド定番の"若いお二人は庭で散歩を~"みたいな流れがあってって感じです。

「この花はそんなにきれいか?」

『知らないよ。たまたま座り込んだところに咲いていたんだから』とは言わず、

「そうですか?私はけなげに咲いているこういう小さな花が大好きです。頑張って生きているのだなって、そう感じませんか?」

「そうだな。確かに、ハルカの言うとおりだ。踏めば一瞬でつぶれちゃうのが、こういうふうに頑張っていると、余計にいじめたくなるが」

ハルカ?出会って、数十分で呼び捨てにしてんじゃないわよ。ハルカさんとかさ、呼び方あるよね?
というか、皆さんお気づきだと思いますが、こいつはただのドクズです。性格クソ悪いです。
今のセリフ聞いた?
"踏めば一瞬でつぶれちゃうのが、こういうふうに頑張っていると、余計にいじめたくなるが"
こんなクソセリフを婚約者に向かってさらっと言っちゃうんだよ。

まあー、何だろう。100歩くらい譲って、「俺って、ワイルドだろう。かっこいいだろう。かっこいいって言ってくれていいんだよ」みたいな精神で行っているのだとしたら、許せる。

いや、無理だわ。許せない。
だって、普通に他人の気持ち、考えていなさすぎでしょ。
仮にも私は、「このお花が好き」的なことを言っているのにさ。

こいつと話していると脳みそが爆発しそう。
こんなやつと結婚したら、一生、一緒にいないといけないんでしょ?
嫌だ、考えられない。
そもそも、城って「かごの鳥」感満載だし。
男共は浮気しまくり、というか、浮気推奨、側室たくさんのくせに、女は城の奥に引きこもっていろだもんね。
行きたくないわ、そんなところ。

どうやったら、うまい具合に婚約破棄できるのか…。
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