魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記 弥生史上最悪の悪役令嬢と記される最強魔力少女は最愛の不死従者を手に入れて破滅フラグを叩き壊します!

佐藤うわ。

文字の大きさ
540 / 698
Ⅴ 千岐大蛇(チマタノカガチ)

スナコちゃん再々降臨!! ⑫ スナコさん葛藤の出撃

しおりを挟む

 ―仮宮殿、仮魔ローダー駐機場。

「本当に目隠して乗ってたのかよ」

 セレネが蛇輪へびりんのハッチを開けると貴城乃たかぎのシューネがゾンビみたいに両手を前に突き出してフラフラと出て来た。

「もう目隠しを外して良いかね? 気密エラーは無かった様だが」
「そのまま外に出ると下に落ちんぞ。はずしゃー良いだろうが」

 セレネに言われてシューネはしゅるっと目隠しを外した。目の前に居たセレネと目が合ってお互いドキッとして直ぐに視線を外す。普段乱暴でシューネ自身も暴力女として嫌悪していたセレネだが、実際には黙っていればシューネもドキッとする程の髪の長い色白美少女であった……

「貴様ッ! セレネと何をやっている!!」
「あらま珍しい組み合わせね」

 駐機場の下からやって来た、スナコが地声で怒鳴って走って来る。

「ハハハ、ようやくお目覚めかね? 君にぞんざいな扱いを受けている姫に紳士的に接していただけだが?」
「お前、砂緒スナコが来たら急に態度が変わった!?」

 言いながらセレネはシューネからもっと離れた。

「セレネさんもセレネさんです、何をやってたんですか?」
「殴るぞ! お前が寝てる間に蛇輪の修理とテストしてたんだろーがっ」
「夫婦喧嘩は犬も食わないな。では私は此処で退散しよう」

 言いながらシューネはタラップを降りて、スナコを避けて駐機場から速足で逃げて行った。

「何だアイツは……セレネさん低い胸は大丈夫だと思いますが、触られたり変な事されてませんか!?」
「低い胸が好きな変態も多いわ」

 セレネは腕を組んで砂緒を見た。

「……セレネさん話を聞いて下さい。皆して落下する私に重い鎧を着させて……酷いと思いませんか? 人の事を爆弾かあ〇ま山荘事件のハンマーか何かみたいに」
「ん? よーわからんがまーその通りだから仕方ないんじゃねー?」

 砂緒の話は止まった。

「私にも心があるって分かっていますか?」
「ど、どーした? いつものお前らしくないな……」
「何となく最終決戦が近付いて来ると、人はおセンチになったりそこいらを飛び跳ねる蛙ですら愛おしく感じる物です……」

 砂緒は三白眼の小さな瞳をキラキラさせて遠くを眺めて言った。

「ヘェーそういうモンかねえ」
「ええ、今でも蛙やカブトムシやセレネさんなど、生きている全てが愛おしいのです」
「蛙と一緒にすんなや、チョイスが変だろーが」
「ふぅ、兎に角澄み切った瞳が遠くの景色を綺麗に見せるのです」
「それ死刑囚の心境のヤツやろ?」

 また会話が止まった。しかし直ぐに砂緒はセレネの両肩をガバッと掴んだ。

「セレネさんっ!」
「な、何だよ?」
「私は今むしょーに誰かと愛し合いたいのです……」
「恥ずかし過ぎるだろが」

 二人を目を細めて渋い顔で見ていたメランが気を利かせた。

「じゃ、私達はこれで、行こ兎幸うさこちゃん」
「え、なんでー?」
「いいからっ」

 兎幸の腕を強引に引っ張って、二人はそそくさと去って行った。

「二人が去った今端的に言います。出撃までの短時間でささっと子作りしませんか?」

 セレネはコケた。

(スナコのままでか!? 倒錯してんな……)
「短時間でささっと子作りなどしとーないわっ本能だけで生きてるのかよ?? ……い、今までそんな機会いっぱいあったのに、全部お前がフイにして来たんだろーが。この腰抜けめが」

 セレネは多少恨みが籠った目で見た。

「面目ない……今何故か全ての物事がキラキラして見えるのです、何故でしょう?」
「だからその死刑囚の心境やめい!」

 しかし砂緒スナコは何時になく思いつめた表情になった。

「……突然雪乃フルエレ女王の義弟おとうとにされてしまって、チマタノカガチなどとも戦わねばならなくなってしまった……このモヤモヤな気持ち、セレネさんに分かりますかっ!?」
「分からんわ……」

 だがそのままセレネは恥ずかしそうな顔をしてモジモジしながら少し沈黙した後、ようやく口を開いた。

「じゃあキスならいいよ……」
「お、よ、良いのでしょうか?」
「恥ずかしいからそれ以上言うな」

 と、言いつつセレネは目を閉じた。何だかんだ言いながら凄く久しぶりな二人のキスであった……

 バーーーンッ!!
 だが砂緒がおずおずとセレネに顔を近付けた直後、一階の鉄扉が勢い良く開き反射的に砂緒とセレネはピョーンと飛んで、離れてお互いあらぬ方向を見つめた。

「スナコちゃん! 此処にいたのね? もう発射準備よ!! ……あらセレネも居たのね」

 突然やって来たのは雪乃フルエレ女王であった。

「フルエレ……」
(フルエレさん絶対にワザとやってるでしょう?)

 コツコツコツッ
 フルエレは躊躇なく物凄い勢いで階段を上がって来た。

「あら、何かしてたの? ごめんなさい……でも時間が無いわ、もう行かなきゃ」
「え、ええまあ……行きますよ」

 砂緒は不満を押し込んでフルエレの為に行く事にした。セレネもそんな彼を見て同意したのだった。

「そうだな」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...