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D.D.クエスト
始めよう!ぼくらのD.D.クエスト!
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「自己紹介でもしましょうか。ゲームをクリアするためにはお互いのことを知っておく必要があるわ」
プレイヤーの一人である女性キャラクターが話し始めた。レッド達四人のプレイヤーは皆一同に騒がしく荒々しい酒場の入り口の前に立っていた。
レッドが最初にプレイするのに選んだゲームはファンタジーTRPG「D.D.クエスト」である。始めたばかりの初心者プレイヤーにおすすめとされているTRPGで、TRPGの基礎がわかるという。
『とある王国の姫君がドラゴンによって攫われてしまう。王は姫君を救い出してくれた者に多額の賞金を与えるという。その噂を聞きつけた貴方たちは姫君を救い賞金を得るために王国にたどり着く。そして同じような目的を持つ者達が集まる酒場へと向かった・・・』
この冒頭から話は始まり、四人は酒場の入り口の前に現れたのだった。
「よしまず僕から自己紹介いくよ!僕の名前はエスト、性別は見ての通り男さ!職業は戦士にしたんだ!戦闘の技能にポイントを多く振ったから戦闘は任せてくれよ!」
そう言って男はガッツポーズをして見せた。プレイヤー自身がどこか暑苦しい性格のようでアバターの姿にもそれが投影されているようである。そんなエストの姿を見て容姿決めの質問も馬鹿にならないなとレッドは感じた。
「わ、私はまりもって言います。性別は女の子です。職業は僧侶にしました。戦闘は得意じゃ無いけど回復などのサポートをメインに頑張りたいと思います」
そう言って見た目は少女な女の子はぺこりとお辞儀した。少しばかり緊張しているようで慌てた様子で自己紹介した彼女もこのアバターがまさにぴったりな容姿なのだろう。
「それじゃあ次は私がするわ。私の名前はF2、性別は女、職業は旅人よ。今回のゲームはファンタジー要素の強い戦闘ありのTRPGだから戦闘向けに技能を振ってくる人が多いと思ったの。だから私は戦闘以外のサポート技能に多く振ったわ。ゲームクリアに向けて頑張りましょう」
そう言ったプレイヤー・F2の長髪の女性アバターは、背も高いせいかしっかりとした佇まいで凜とした格好良さを放っていた。そして最後にどうぞと言わんばかりに手のひらをレッドに差し出す。
「俺の名前はレッド。性別は男、職業はマスターだ」
「マスター?聞いたことない職業だね。職業選択欄にマスターなんてあったかな?」
そう言ってエストはメニュー画面を開くと職業一覧を見る。あいうえお順に並べられているはずの職業名にマスターの名前は見つからない。
「マ行は魔法使いとかマジシャンはあるけどマスターなんて職業は見当たらないな」
「オリジナルでしょう?このゲームは自分で考えた職業を職業として設定することもできるのよ。割り振れる職業ポイントが少なくなるけどね」
「たしか専門技能が無いんでしたよね?だから職業ポイントが自由に割り振れるって」
「そうね。もっとも、職業の創作なんてほとんど誰もしないけれど」
「なんでオリジナルにした俺より詳しく話してるんだよ」
どうやらこのF2と名乗ったプレイヤー、少しはこのゲームに詳しいらしい。と言うよりもTRPGをプレイすること自体に慣れているようだ。最初の顔合わせで率先して自己紹介を促したり他のプレイヤーを考慮した上で職業や技能を選んだりする、などからもその様子がうかがえる。
「それで?あなたは何が得意なの?どんな技能に振ったのかしら?」
「えっとだな・・・〈投擲〉、〈図書館〉、〈乗馬〉は70、〈信用〉が75あるな。必要なときは任せろ。ああそうだ忘れちゃいけないのがあったな、〈芸術(モンスター)〉は90ある。モンスター博士、いやモンスターマスターだな。モンスターのことなら俺に任せておけ!」
F2はなんとも言えないような呆れた表情でレッドを見ていた。その額には若干血管が浮いたような筋が立っている。
「あんた・・・何その技能、舐めてんの?ゲームクリアする気ある?」
「当たり前だろう、折角やるんだからクリアを目指すに決まってる」
「目指しているようには見えない技能選択なんだけれど!〈投擲〉や〈信用〉はともかく〈図書館〉と〈乗馬〉になんでそんなに振っているのよ!」
「いやいや、もしかしたらストーリー上で図書館に寄るかもしれないだろう?」
「可能性低いでしょう。むしろ広い範囲で使える〈目星〉の方が使い勝手がいいんだけれど?」
「それに馬に乗るかもしれない、このゲームはファンタジーTRPGなんだからな。ファンタジーって言ったら鎧や甲冑で身を固めた騎士が馬に乗って草原を駆けるイメージがあるだろう?」
僕も同じ考えで〈乗馬〉に振ったんだと言いながら笑うエスト。やっぱりファンタジーって言ったらそうだよな!とレッドとエストは笑い合う。
「・・・まあいいわ、そういう考え方で技能を振る人もいるでしょうから。問題は最後のよ!〈芸術(モンスター)〉って何?どうやって使うのよ!」
「戦闘の際にこの技能で判定して敵との平和的な解決を導けるのではと思ってな。後は戦闘終了後にこの技能でモンスターが仲間になりたそうにこちらを見ていると言う状況になったらいいなと思っている」
「そんなことできるわけないでしょう!平和的な解決って何!?仲間になりたそうな目って何よ!このゲームはそういうシステムないから!」
などとレッドとF2が言い争っている姿を見てまりもはこのパーティーは大丈夫だろうかと若干心配になるのであった。
プレイヤーの一人である女性キャラクターが話し始めた。レッド達四人のプレイヤーは皆一同に騒がしく荒々しい酒場の入り口の前に立っていた。
レッドが最初にプレイするのに選んだゲームはファンタジーTRPG「D.D.クエスト」である。始めたばかりの初心者プレイヤーにおすすめとされているTRPGで、TRPGの基礎がわかるという。
『とある王国の姫君がドラゴンによって攫われてしまう。王は姫君を救い出してくれた者に多額の賞金を与えるという。その噂を聞きつけた貴方たちは姫君を救い賞金を得るために王国にたどり着く。そして同じような目的を持つ者達が集まる酒場へと向かった・・・』
この冒頭から話は始まり、四人は酒場の入り口の前に現れたのだった。
「よしまず僕から自己紹介いくよ!僕の名前はエスト、性別は見ての通り男さ!職業は戦士にしたんだ!戦闘の技能にポイントを多く振ったから戦闘は任せてくれよ!」
そう言って男はガッツポーズをして見せた。プレイヤー自身がどこか暑苦しい性格のようでアバターの姿にもそれが投影されているようである。そんなエストの姿を見て容姿決めの質問も馬鹿にならないなとレッドは感じた。
「わ、私はまりもって言います。性別は女の子です。職業は僧侶にしました。戦闘は得意じゃ無いけど回復などのサポートをメインに頑張りたいと思います」
そう言って見た目は少女な女の子はぺこりとお辞儀した。少しばかり緊張しているようで慌てた様子で自己紹介した彼女もこのアバターがまさにぴったりな容姿なのだろう。
「それじゃあ次は私がするわ。私の名前はF2、性別は女、職業は旅人よ。今回のゲームはファンタジー要素の強い戦闘ありのTRPGだから戦闘向けに技能を振ってくる人が多いと思ったの。だから私は戦闘以外のサポート技能に多く振ったわ。ゲームクリアに向けて頑張りましょう」
そう言ったプレイヤー・F2の長髪の女性アバターは、背も高いせいかしっかりとした佇まいで凜とした格好良さを放っていた。そして最後にどうぞと言わんばかりに手のひらをレッドに差し出す。
「俺の名前はレッド。性別は男、職業はマスターだ」
「マスター?聞いたことない職業だね。職業選択欄にマスターなんてあったかな?」
そう言ってエストはメニュー画面を開くと職業一覧を見る。あいうえお順に並べられているはずの職業名にマスターの名前は見つからない。
「マ行は魔法使いとかマジシャンはあるけどマスターなんて職業は見当たらないな」
「オリジナルでしょう?このゲームは自分で考えた職業を職業として設定することもできるのよ。割り振れる職業ポイントが少なくなるけどね」
「たしか専門技能が無いんでしたよね?だから職業ポイントが自由に割り振れるって」
「そうね。もっとも、職業の創作なんてほとんど誰もしないけれど」
「なんでオリジナルにした俺より詳しく話してるんだよ」
どうやらこのF2と名乗ったプレイヤー、少しはこのゲームに詳しいらしい。と言うよりもTRPGをプレイすること自体に慣れているようだ。最初の顔合わせで率先して自己紹介を促したり他のプレイヤーを考慮した上で職業や技能を選んだりする、などからもその様子がうかがえる。
「それで?あなたは何が得意なの?どんな技能に振ったのかしら?」
「えっとだな・・・〈投擲〉、〈図書館〉、〈乗馬〉は70、〈信用〉が75あるな。必要なときは任せろ。ああそうだ忘れちゃいけないのがあったな、〈芸術(モンスター)〉は90ある。モンスター博士、いやモンスターマスターだな。モンスターのことなら俺に任せておけ!」
F2はなんとも言えないような呆れた表情でレッドを見ていた。その額には若干血管が浮いたような筋が立っている。
「あんた・・・何その技能、舐めてんの?ゲームクリアする気ある?」
「当たり前だろう、折角やるんだからクリアを目指すに決まってる」
「目指しているようには見えない技能選択なんだけれど!〈投擲〉や〈信用〉はともかく〈図書館〉と〈乗馬〉になんでそんなに振っているのよ!」
「いやいや、もしかしたらストーリー上で図書館に寄るかもしれないだろう?」
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僕も同じ考えで〈乗馬〉に振ったんだと言いながら笑うエスト。やっぱりファンタジーって言ったらそうだよな!とレッドとエストは笑い合う。
「・・・まあいいわ、そういう考え方で技能を振る人もいるでしょうから。問題は最後のよ!〈芸術(モンスター)〉って何?どうやって使うのよ!」
「戦闘の際にこの技能で判定して敵との平和的な解決を導けるのではと思ってな。後は戦闘終了後にこの技能でモンスターが仲間になりたそうにこちらを見ていると言う状況になったらいいなと思っている」
「そんなことできるわけないでしょう!平和的な解決って何!?仲間になりたそうな目って何よ!このゲームはそういうシステムないから!」
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