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覚醒編
病弱聖女は話をする
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「私は今日、寝ている最中に馬車に乗せられ森の中に捨てられました」
「捨てられた!? 誰がそんな馬鹿な事を!?」
王は声を荒あげる
私は仮にも聖女、その聖女が森に捨てられたと言うのは一大事になる
……私が死んでいればどうにでもなったが
死んでいれば私の死に関してはどうにかなっただろう、私は不治の病を患ってるのだから
でも私は生きている、それは相手からすると想定外だろう
今回の件に関わったのが誰か分からないが間違いなく家族は関わっている
何せ私が居たのは家、運ぶなら家族が関わっていないと難しい
今思えば食事に睡眠薬を盛られていたのだから確実だろう
「本当に馬鹿な事をしてくれた物だ。森か」
「はい、馬車に乗せられている時に目を覚ましたのですが兵士の格好をした2人に馬車から引きずり降ろされた後、剣で腹を刺されました」
「剣で……」
私は淡々と起きた出来事を話す
思い出す度に嫌な気分になる
「なんと……良く無事だったな」
「兵士2人か」
チラッと横を見る
レオナルドさんは表情は変わっていないが怒っているなと分かる
空気がピリピリしている
この怒りが向けられていないと分かっていながらこの場から逃げ出したくなる程の恐怖を感じる
「レオ」
「分かっている。時間はいつ頃か分かるか?」
「お昼前の治療が終わった後で夕方の2~3時間前くらいの時間だと思います」
寝ていた時間は分からないが夜になるまでかなり時間があった
「昼過ぎから夕方か分かった。調査しよう」
「その後は?」
「その後は魔物に襲われ死にかけていたところ何故か私の魔力が増えて攻撃系の聖女の魔法が使えるようになっていて魔物を撃退しました」
「聞いた事のない事象だ」
「死の淵に立った人間が一段階成長するケースは聞いた事がある。その類なのかもしれん」
……そういう話は聖女の本にも書かれてた気がする。良くある事? なのかな?
私にもあの状況は全く分かっていない
「その後はヒールと支援系の魔法を駆使して歩いて城門で戦闘に参加して城に」
「成程な」
「戦闘、あぁルークが向かった奴か」
「ルスティ騎士団長も居ました」
「ティロス家を問い詰めるか。ここに来る前に誰と話した?」
「城門で戦っていたルスティ騎士団長と話しました。そして恐らく合流したヒナにも伝わってると思います」
「それは……最悪だな」
ヒナが関わっていた場合、もう家族に伝わっているだろう
関わっていなくとも私が城門付近に居た事は不思議に思うはず、そうなれば事情を知っているであろう家族に聞くかもしれない
最悪はもう伝わっている事、そうなれば決定的な証拠を失っている可能性は高い
戻ってきたのを知っていて証拠を残しておくほど甘い敵とは考えていない
……運が悪い
城門前で魔物と戦ってなければヒナが駆け付ける事はなかった
「ならば私が行こう」
「……やむを得ないな」
「それはどう言う?」
「今から私がティロス家に行く。国王の権限を利用すれば屋敷内の捜索位は可能だ」
早く動くなら悟られる前に一手を打つ
私がどこに向かったかまだ分からないはずだから
何かあったとしてもこの人物なら問題は無い
「でしたら私も一緒に」
「何があるか分からない。ここで待っていろ」
「はい、あっ、支援系魔法を使います。命を捧ぐ者に聖女は力を貸す戦聖女の声」
身体能力強化の魔法を掛ける
「ほう、これが聖女の魔法か。では行ってくる」
窓を開けて飛び降りる
……え!?
思わず窓に駆け寄って下を見る
すると綺麗に着地して素早く駆け抜けていくレオナルドさんの姿が見える
手馴れている
「レオはいつも飛び降りる。葉水を出そう」
葉っぱの粉末にお湯を掛けた飲み物を作り机に置く
部屋に準備しておいているようだ
ゆっくりと手に取り飲む
……美味しい
久しぶりに美味しいと感じる物を口に入れた
「ありがとうございます」
「聖女を殺そうとするとは……全く……」
王様は椅子に座りはぁ~とため息をつく
これは王様からも想定外の出来事なのだろう
「家族や兵士、メイドなど私の事が嫌いな人は多いので、ヒナが優秀なので1人で良いと思ったのでしょう。私は病を患ってますし」
「力が弱くとも聖女、役目も果たしてくれていたのに」
「その件についてですが私の治療はここ数年、軽い傷にしか使っていませんから」
「どういう事だ?」
「父に連れられた部屋の治療しかしていません。昔は少し傷が深い人達の治療をしてましたがここ1年くらいは本当に軽い傷だけで」
私に与えられた役目の一つ、兵士達の治療だが王様達が考えているような行為は出来ていない
深い傷を負った兵士や騎士は全てヒナが担当している
「ヒールの治癒能力は昔と変わっていないか?」
「はい、変わらず大体完治します」
私のヒールの治癒能力は聖女の中でも異常
一日に一度くらいしかほぼ使えないが自らに掛けた時のように殆どの傷を完治出来る
本来なら私は重傷者の治療を担当するはずだった
「この件でも問い詰めねばならないな……ところで聖女の魔法で病は治ったか?」
「いえ、治っていません。しかし、聖女の魔法で症状を抑えられそうです。想定よりは長く生きられるかもしれません」
「聖女の魔法であればと思っていたがそうか、こちらも研究はして貰っているが成果は出ていない」
王様は首を横に振る
不治の病、この病気は珍しく症状が抑えられる薬が作られるようになったのもここ数年の話
「そうですか」
私は長生きしたいとは思っていない
ただ役目を果たせればいい
王様と会話をしてレオナルドさんを待つ
「捨てられた!? 誰がそんな馬鹿な事を!?」
王は声を荒あげる
私は仮にも聖女、その聖女が森に捨てられたと言うのは一大事になる
……私が死んでいればどうにでもなったが
死んでいれば私の死に関してはどうにかなっただろう、私は不治の病を患ってるのだから
でも私は生きている、それは相手からすると想定外だろう
今回の件に関わったのが誰か分からないが間違いなく家族は関わっている
何せ私が居たのは家、運ぶなら家族が関わっていないと難しい
今思えば食事に睡眠薬を盛られていたのだから確実だろう
「本当に馬鹿な事をしてくれた物だ。森か」
「はい、馬車に乗せられている時に目を覚ましたのですが兵士の格好をした2人に馬車から引きずり降ろされた後、剣で腹を刺されました」
「剣で……」
私は淡々と起きた出来事を話す
思い出す度に嫌な気分になる
「なんと……良く無事だったな」
「兵士2人か」
チラッと横を見る
レオナルドさんは表情は変わっていないが怒っているなと分かる
空気がピリピリしている
この怒りが向けられていないと分かっていながらこの場から逃げ出したくなる程の恐怖を感じる
「レオ」
「分かっている。時間はいつ頃か分かるか?」
「お昼前の治療が終わった後で夕方の2~3時間前くらいの時間だと思います」
寝ていた時間は分からないが夜になるまでかなり時間があった
「昼過ぎから夕方か分かった。調査しよう」
「その後は?」
「その後は魔物に襲われ死にかけていたところ何故か私の魔力が増えて攻撃系の聖女の魔法が使えるようになっていて魔物を撃退しました」
「聞いた事のない事象だ」
「死の淵に立った人間が一段階成長するケースは聞いた事がある。その類なのかもしれん」
……そういう話は聖女の本にも書かれてた気がする。良くある事? なのかな?
私にもあの状況は全く分かっていない
「その後はヒールと支援系の魔法を駆使して歩いて城門で戦闘に参加して城に」
「成程な」
「戦闘、あぁルークが向かった奴か」
「ルスティ騎士団長も居ました」
「ティロス家を問い詰めるか。ここに来る前に誰と話した?」
「城門で戦っていたルスティ騎士団長と話しました。そして恐らく合流したヒナにも伝わってると思います」
「それは……最悪だな」
ヒナが関わっていた場合、もう家族に伝わっているだろう
関わっていなくとも私が城門付近に居た事は不思議に思うはず、そうなれば事情を知っているであろう家族に聞くかもしれない
最悪はもう伝わっている事、そうなれば決定的な証拠を失っている可能性は高い
戻ってきたのを知っていて証拠を残しておくほど甘い敵とは考えていない
……運が悪い
城門前で魔物と戦ってなければヒナが駆け付ける事はなかった
「ならば私が行こう」
「……やむを得ないな」
「それはどう言う?」
「今から私がティロス家に行く。国王の権限を利用すれば屋敷内の捜索位は可能だ」
早く動くなら悟られる前に一手を打つ
私がどこに向かったかまだ分からないはずだから
何かあったとしてもこの人物なら問題は無い
「でしたら私も一緒に」
「何があるか分からない。ここで待っていろ」
「はい、あっ、支援系魔法を使います。命を捧ぐ者に聖女は力を貸す戦聖女の声」
身体能力強化の魔法を掛ける
「ほう、これが聖女の魔法か。では行ってくる」
窓を開けて飛び降りる
……え!?
思わず窓に駆け寄って下を見る
すると綺麗に着地して素早く駆け抜けていくレオナルドさんの姿が見える
手馴れている
「レオはいつも飛び降りる。葉水を出そう」
葉っぱの粉末にお湯を掛けた飲み物を作り机に置く
部屋に準備しておいているようだ
ゆっくりと手に取り飲む
……美味しい
久しぶりに美味しいと感じる物を口に入れた
「ありがとうございます」
「聖女を殺そうとするとは……全く……」
王様は椅子に座りはぁ~とため息をつく
これは王様からも想定外の出来事なのだろう
「家族や兵士、メイドなど私の事が嫌いな人は多いので、ヒナが優秀なので1人で良いと思ったのでしょう。私は病を患ってますし」
「力が弱くとも聖女、役目も果たしてくれていたのに」
「その件についてですが私の治療はここ数年、軽い傷にしか使っていませんから」
「どういう事だ?」
「父に連れられた部屋の治療しかしていません。昔は少し傷が深い人達の治療をしてましたがここ1年くらいは本当に軽い傷だけで」
私に与えられた役目の一つ、兵士達の治療だが王様達が考えているような行為は出来ていない
深い傷を負った兵士や騎士は全てヒナが担当している
「ヒールの治癒能力は昔と変わっていないか?」
「はい、変わらず大体完治します」
私のヒールの治癒能力は聖女の中でも異常
一日に一度くらいしかほぼ使えないが自らに掛けた時のように殆どの傷を完治出来る
本来なら私は重傷者の治療を担当するはずだった
「この件でも問い詰めねばならないな……ところで聖女の魔法で病は治ったか?」
「いえ、治っていません。しかし、聖女の魔法で症状を抑えられそうです。想定よりは長く生きられるかもしれません」
「聖女の魔法であればと思っていたがそうか、こちらも研究はして貰っているが成果は出ていない」
王様は首を横に振る
不治の病、この病気は珍しく症状が抑えられる薬が作られるようになったのもここ数年の話
「そうですか」
私は長生きしたいとは思っていない
ただ役目を果たせればいい
王様と会話をしてレオナルドさんを待つ
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