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キミからの返事は、いつまででも待てるよ。
手紙の返事
しおりを挟む最後の1コマが終わると、先に祥太郎先輩の家へと帰った。
本当は大学から一緒に帰りたかったけれど、またあのふたりに絡まれると面倒だからと、祥太郎先輩に先に帰るよう言われた。
いつでも使ってねと言われた合鍵にはお揃いのキーホルダーが付いており、それを持っているという事実だけで空まで飛んでいけそうなくらいだ。
鍵を開け、「お邪魔します」と呟いて部屋に入った。
「大生~!」
数分後、思ったより早く帰って来た先輩が、部屋でまた僕を見るなり抱きついて来た。
すぐに唇を奪われ、それから顔中にキスをされる。
「あいつらに付き合ってるかと言うの、嫌だった? 今さらだけどさ」
「びっくりしたけど、嬉しかったです。本当に僕だけなんだなって分かりました」
「手紙にも書いたでしょ? もう中途半端なことはしないし、大生に対しても全力で表現したいからね」
アイツらは言いふらす人ではないから大丈夫だよと、先輩は僕を強く抱きしめた。
僕に触れる先輩の体温が熱すぎて、溶けてしまいそうになる。
「僕、こんなに幸せでいいのかな」
「それは俺の台詞」
あのとき先輩に手紙をもらうまでは、こんなふうに過ごせるなんて思ってなかった。
「先輩、大好き」
「俺のほうが大好き」
先輩とゆっくり過ごした後、スマホを見ていた先輩が「うわっ!」と声を上げた。
思わず画面を覗き込むと、見たことのある男の人ふたりの写真だった。
ひとりは突然写真を撮られたときの顔をしていて、もうひとりはその人の頬にキスをしている。
「この人……」
「覚えてる? 大生が顔が整った人って言ってたやつだよ」
あのときのことを思い出したのか、先輩は拗ねた顔をした。あのときは言えなかったけれど、今なら言えるからと「僕の好みは祥太郎先輩です」と頬にキスをした。
「まじ可愛すぎる」
さっきまで触れ合ったのにまたその流れになりそうな雰囲気で、先輩は僕を押し倒した。
けれど僕は、その写真のほうが気になって仕方がない。
「先輩待って、話の途中です。その写真、どうしたんですか?」
「え? イチャイチャの流れじゃなかったの?」
ショックを受けながらベッドから起き上がると、先輩はもう一度写真を見せてくれた。
「たまに話してた慧司と大真だよ。付き合うことになったらしい」
「え!」
「こんな写真送ってくるタイプとは思わなかったし、あの噂のラブレターの送り主って大真だったんだな」
「僕たちが付き合うきっかけになった、あの匿名手紙のことですか?」
「そうそう」
手紙の送り主の気持ちが報われたこと、そしてその瞬間をこうして知ることができて、そのふたりのおかげで先輩と気持ちが通じ合った僕としては特別な感情でいっぱいになる。
「素敵だなあ……」
懐かしくなった僕は、持ち歩いている手帳から祥太郎先輩の手紙を取り出した。
その手紙を見て、そこに入れているのかと驚いた先輩の顔があまりにも可愛くて、思わず笑ってしまった。
「毎日読むので、毎日持ち歩いています」
「……俺、手紙の返事もらってないんですけど」
「えっ、あ……、あのとき直接答えたのはダメなんですか?」
「ダメじゃないけど、俺もそうやって持ち歩きたいから」
先輩は再び僕をベッドに押し倒し、それから額にキスをした。
期待に満ちた目で僕を見つめる。
そんなの、書かない以外の選択肢がないじゃん。
「ちゃんと想いを込めて書きます。だからゆっくり待っててください」
改めて、この気持ちを先輩に伝えるなら、どんな言葉を綴ろうか。
毎日どの瞬間を切り取っても幸せしかないこの気持ちを、感謝を、どうしたらあなたに届けられるかな。
「分かった。いつまででも待つよ」
僕は先輩の背中に腕を回し、力強く抱きしめた。
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