そして俺は召喚士に

ふぃる

文字の大きさ
9 / 231

9話 身近なファンタジー①

しおりを挟む
 それは、朝にバス停で待ってる時の事だった。
「おはようございます。」
 前から薄々思ってはいたが、やはりハルルの家もこの付近のようで。
 こうして居合わせるのにも、もう驚かなくなった。
「おはよハルル。
 なぁ、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう。」
 隣に座ったハルルに、スマホ画面に出した写真を見せる。
「これ、『どう見える』?」
「…なるほど、魔術の痕跡がありますね。」
 昼休みの黒板の落書きを映した写真。
 だけど重要なのは、そのメインの被写体ではない。
 その画角の端に移り込んだ一人を、ぼかし加工でもしたかのように認識できなかった。


 写真を撮った場所を思い返し、席順と併せて特定する。
 ショウヤと最初に話した時、途中から混じってきたあの子だ。
 丁度都合よくハルルの1つ前の席だが、ハルルの方は特に何も気に留まる事柄は無い様子。
 ハルルには「必要とあらばこちらの情報を取引材料に使ってでも」とは言われたが、そんな交渉術持ち合わせてはいない。
 それに当人が隠そうとしている事を、直に聞くような無神経のつもりもない。

「──ぼしは付けてるのか?」
 そんな上の空から、話しかけられた事に気付くのに数秒のラグを要した。
「あ、ごめん、ちょっと考え事してて……。」
「なんだ、神秘系キャラってか?」
「いや、別にそんなつもりは……。」
 思考を切り替え、ショウヤの手元の紙を覗き見る。
 部活紹介、さっき配られたプリントだ。この後体育館で、任意参加のイベントがあるとの事。
 考えすぎて思考が停滞するくらいなら、そういうので気分転換するのも手か。


 任意参加であるが、1年がほぼ全員来てるのだろうか。体育館には人があふれ返っている。
 …のを脇目に、通路で横の階段に分岐し、人の少ない2階のギャラリーへと向かう。
 ステージから見て真正面の後方、そこで柵にもたれかかり、1階を見下ろす。

 舞台上ではそれぞれの部活がアピールと共に活動内容を説明しているが、やっぱり舞台上でできる事なんてたかが知れてる。
 リフティングでサッカー部の魅力なんて、分かる訳ないのに。

 それよりも欲しかったのは、この一望。
 今見えてる人達が、全て真実とは限らない。
 自分以外には普通の人に見え紛れてるハルルのように、他にも人間以外の存在も紛れているかもしれない。
 …自分で思っておいて信じがたい事だが、だからこそその固定観念を壊しておきたかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

レオナルド先生創世記

山本一義
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...