128 / 231
128話 渦巻く変化④
しおりを挟む
いつもの帰りの路、バスの中。
1年かけて見慣れた景色が、窓の外を流れていく。
けど隣の席にいるのは、この場で見るのは慣れない相手。
去年クラスメートだった化狸、キリだ。
「キリっていつも電車だったろ? 何で今日はわざわざバスなんだ?」
「たまにはいーだろ、どっちみち1本で時間は大差無いんだし。
…それにあんな中途半端な知られた方のままじゃ、落ち着かねーし。」
さっきのアイナとかいう化狐とか、それ関連の事だろう。
「俺としても気になるところだし、助かるけどもさ。
あのアイナってやつ、知り合いだったのか?」
「ま、そんなとこだ。ここに越してくる前だから、4年振りか。
姉貴の組繋がりの知り合いだ。」
「…姉貴って、もしかしてさっき名前が挙がってた?」
「そ、小野里 真理、うちの姉貴。
だから知り合いっちゃ知り合いだけど、ぶっちゃけ苦手な奴だよ……。」
とため息交じりに。
…なんか今、結構なワードを聞き流したような。
「まって『組』ってどういう!?」
「多分、想像してる程仰々しいもんでもねーぞ。昔は荒事も多かったらしいけど。
うちらは妖術で正体隠して出歩けるからいいけど、そうじゃねぇ奴もいるからな。
そういう奴らの居場所になってんのが、組の連合『東妖衆』だ。」
「でもあいつ、大分好戦的な感じだったよな。」
「…少ないとはいえ、荒事がねーわけでもねーからな。
例えばお前、うちの時は術を見破るのに時間がかかったけど、アイナの時は最初から『見えた』んだろ?」
「…そういえば、確かに。」
自分にはキリが本来の狸人の姿に見えてはいるが、認識を誤認させる術によって、基本的には普通の人間だと思い込む。最初の頃、自分もそれを体験した。
さっきのやりとりを見ても、アイナも同じ術の影響下にあったはず。
「『化狐なんて実在しない』と思い込むには知りすぎたんだよ、色々と。
例えば背景の月が隠し扉になってるのを知ったら、続編でも月があったら隠し扉に見えてくるだろ?
そういう『術が通用しない』奴が無暗に増えると、うちなんかも生活に支障が出てくる。そうならないために、活性化した怪異を抑え込む。それも東妖衆の役割のひとつだ。」
「じゃあアイナが遣わされたのも、その関係か?」
ソウクロウが言ってた環境の変化、去年対処して回った数多の怪異。
それと無関係とは、到底思えない。
「だろーな。
さらに言や、うちが一人暮らし勧められたのも、多分この件の布石だ。
アイナの面倒見てやれーとか、いきなり言いやがって……。」
その後の深いため息、気力無く垂れた耳。それらを見るに、キリ自身にとっても想定外の事なのだろう。
「……大変だな。」
「ユートもあまり他人事じゃねぇぞ。
あいつがわざわざ意図して送られた以上な。」
1年かけて見慣れた景色が、窓の外を流れていく。
けど隣の席にいるのは、この場で見るのは慣れない相手。
去年クラスメートだった化狸、キリだ。
「キリっていつも電車だったろ? 何で今日はわざわざバスなんだ?」
「たまにはいーだろ、どっちみち1本で時間は大差無いんだし。
…それにあんな中途半端な知られた方のままじゃ、落ち着かねーし。」
さっきのアイナとかいう化狐とか、それ関連の事だろう。
「俺としても気になるところだし、助かるけどもさ。
あのアイナってやつ、知り合いだったのか?」
「ま、そんなとこだ。ここに越してくる前だから、4年振りか。
姉貴の組繋がりの知り合いだ。」
「…姉貴って、もしかしてさっき名前が挙がってた?」
「そ、小野里 真理、うちの姉貴。
だから知り合いっちゃ知り合いだけど、ぶっちゃけ苦手な奴だよ……。」
とため息交じりに。
…なんか今、結構なワードを聞き流したような。
「まって『組』ってどういう!?」
「多分、想像してる程仰々しいもんでもねーぞ。昔は荒事も多かったらしいけど。
うちらは妖術で正体隠して出歩けるからいいけど、そうじゃねぇ奴もいるからな。
そういう奴らの居場所になってんのが、組の連合『東妖衆』だ。」
「でもあいつ、大分好戦的な感じだったよな。」
「…少ないとはいえ、荒事がねーわけでもねーからな。
例えばお前、うちの時は術を見破るのに時間がかかったけど、アイナの時は最初から『見えた』んだろ?」
「…そういえば、確かに。」
自分にはキリが本来の狸人の姿に見えてはいるが、認識を誤認させる術によって、基本的には普通の人間だと思い込む。最初の頃、自分もそれを体験した。
さっきのやりとりを見ても、アイナも同じ術の影響下にあったはず。
「『化狐なんて実在しない』と思い込むには知りすぎたんだよ、色々と。
例えば背景の月が隠し扉になってるのを知ったら、続編でも月があったら隠し扉に見えてくるだろ?
そういう『術が通用しない』奴が無暗に増えると、うちなんかも生活に支障が出てくる。そうならないために、活性化した怪異を抑え込む。それも東妖衆の役割のひとつだ。」
「じゃあアイナが遣わされたのも、その関係か?」
ソウクロウが言ってた環境の変化、去年対処して回った数多の怪異。
それと無関係とは、到底思えない。
「だろーな。
さらに言や、うちが一人暮らし勧められたのも、多分この件の布石だ。
アイナの面倒見てやれーとか、いきなり言いやがって……。」
その後の深いため息、気力無く垂れた耳。それらを見るに、キリ自身にとっても想定外の事なのだろう。
「……大変だな。」
「ユートもあまり他人事じゃねぇぞ。
あいつがわざわざ意図して送られた以上な。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる