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最終話 フィオラント王国の花の魔女
番外編 騎士と休暇と海辺の街④※
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ふたりが家に戻ったのは、すっかり日が暮れてからのことだった。
温かい湯に浸かって疲れを癒し、ロッテが作った美味しい料理を食べて、ゲオルグはすっかり上機嫌で食後のコーヒーを楽しんでいた。向かいの席に座るロッテは薄紅く頬を染めて、温めた林檎酒を美味しそうに飲んでいる。
実のところ、ロッテはゲオルグにも街の酒店で美味しいと評判の地酒を買ってくれていた。けれど、ゲオルグは遠慮した。酒に弱いわけではないが、風呂に入って満腹になって酒まで飲んでしまったら、間違いなく昨日と同じ寝落ちコースまっしぐらになると思ったからだ。
ゲオルグが今夜こそはと気合を入れていると、不意にロッテが口を開いた。
「ゲオルグさん、わたしね、魔女になれたんです。お師匠様が、わたしにも魔法のちからがあるんだよって教えてくれて、魔女見習いは卒業だって言ってくれて……」
両手で包み込むように持った林檎酒のカップをみつめながら、ロッテは幸せそうに眼を細めた。
フィオラントにいた頃、ゲオルグが魔法について尋ねるたびに、ロッテは「使えません」と言ってそっぽを向いていた。さほど嫌がっているようには見えなかったし、調薬技術に長けていたから、てっきり開き直っているのだと思っていたけれど、本当はずっと、魔法が使えないことを気にしていたのだろう。目の前のロッテの嬉しそうな表情を見れば、そのくらいのことは容易に想像できた。
「そうか、それはよかった。で、どんな魔法なんだ?」
ゲオルグが尋ねると、ロッテは一度顔を上げて、それからちょっぴり照れくさそうに俯いて、「癒しの魔法」と呟いた。
コーヒーカップを持つゲオルグの手に、ロッテが触れる。林檎酒を飲んだからか、その指先はほんのりと温かかった。
「とっても弱いちからなんですけど……こうして相手に触れたり、お茶を振る舞ったり看病したりしながら、その人の怪我や病気がはやく治りますように、疲れや痛みがはやく引きますようにって、祈るんです。そうすることで、ほんの少しだけ相手のからだや心を癒やすちからを助けることができるそうです」
「……なるほど」
それで納得がいった。
フィオラントの王宮で暮らしていたときも、彼女の部屋で過ごすだけで驚くほど疲れが癒えて、不思議に思ったものだった。三日三晩馬で駆けるような無茶な真似をして、しかも昨夜は長椅子に座って寝たというのに、一晩で疲れがすっかり消えていたのは、きっとその魔法のちからのおかげなのだ。
彼女らしい、優しい魔法だ。
そう考えて、ゲオルグはふと動きを止めた。
——ちょっと待てよ?
ロッテのことだから、ゲオルグの今日一日の疲れが癒えるように、今もその魔法を使ったのではないだろうか。このまま油断していると、また昨夜のように、早々に眠りこけてしまうのではないだろうか。
「ロッテ、今」
ゲオルグが口を開くと、同時にガタリと音がして、ロッテが席を立った。彼女はちょっぴり恥ずかしそうに「お風呂、入ってきますね」とゲオルグに告げると、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
それからはもう、ゲオルグは必死だった。
ロッテが戻るのを待つあいだ、ゲオルグは進んで夕食の後片付けをした。ぼんやり座って待っていれば、また昨夜のように、うっかり眠ってしまう気がしたからだ。
食器や鍋を洗い終え、手持ち無沙汰に部屋の中をうろついて、何度も時計を確認して。結局昨日と同じように、店の待合室で長椅子に腰を下ろした。
「……遅いな」
待っている時間は余計に長く感じるものなのだ。膝の上で手を組んで、そう自分に言い聞かせる。
ランプに火を灯して部屋を明るく保ち、眠気を誤魔化そうと色々考えてはみるものの、よりにもよって思い浮かぶのは如何わしい想像ばかりで。そうこうしている間にも、睡魔は着実にゲオルグの意識を乗っ取ろうと画策しているようで。
ゲオルグがうとうととしはじめた頃、ようやくかちゃりと扉が開く音がした。
「ゲオルグさん」
待ち焦がれたロッテの声に遠退いていた意識が呼び戻される。はっとなって顔を上げると、後ろ手に手を組んで、ロッテがゲオルグを見下ろしていた。
膝下まで隠れる長さの白いネグリジェを着た彼女は、湯上りのせいか、肌が薄紅く染まっていた。初めて行為に及んだあのときのように、湿った薔薇色の髪が首筋に張り付いていて——情欲が、煽られた。
「ロッテ……」
「またこんなところで寝ると、風邪ひいちゃいますよ」
「あ……いや、違う。寝ようとしていたわけではなくて……」
慌ててそう口にして、顔を上げ、ゲオルグははっとした。
どうしたのだろう。先ほどまでの幸せそうな表情とは打って変わり、目の前のロッテは明らかに不機嫌だった。ちょっぴり唇を尖らせて俯いて、上目遣いにゲオルグを睨め付けて。
——拗ねている?
「……どうした? 何かあったのか?」
「そうじゃなくて……」
ロッテはふるふると首を振ると、ゲオルグの顔をちらりと窺って呟いた。
「わたしたち、昨日からずっとふたりきりで同じ屋根の下にいるじゃないですか。それなのにゲオルグさん、キスのひとつもしてくれないから。わたし、おかしいのかなって思って……ゲオルグさんと一緒に居るだけで、こんなに胸がドキドキして、触れたいって……触れて欲しいって思うのに、ゲオルグさんはそういうの、全然ないみたいだし……こんなことばかり考えてるのって、わたしだけなのかなって……」
——なんだそれは。まさかとは考えもしたが、その台詞はもう、思いっきり誘っているも同然じゃないか。
ゲオルグの強張っていた唇が自然と弧を描く。同時にふっと笑いが漏れた。
「自制しているだけだ」
「え……?」
「触れてしまえば抑えきれるかわからない。だから触れずにいる。それだけだ」
何を、とは口にしなかったが、流石に伝わったのだろう。その証拠に、ロッテは瞬く間に頬を薔薇色に染めあげた。俯いて、もじもじと組んだ指先を動かしながら、上目遣いでゲオルグに訊ねた。
「自制……しなきゃ、ダメですか?」
「……いや、その必要はないようだ」
そう答えると、ゲオルグはロッテの細い手首を掴み、ぐっと彼女を引き寄せた。後頭部に手を回し、湿った後ろ髪に指を絡ませて、瑞々しい柔らかな唇に口付ける。久しぶりの感触と、ほのかに香るあまい匂いに、ゲオルグはしばしのあいだ酔い痴れた。舌先で唇のあわいをなぞり、口内に捩じ込んで、小さな舌を絡め取る。されるがままのロッテの口元を唇で覆い、吐息ごと貪った。
心許ない灯りが揺れる部屋に、くちゅくちゅと淫靡な音が響く。ぎしりと軋んだ音を立てて、ロッテが長椅子に膝をついた。久しぶりすぎて頭が回らないのか、ロッテは鼻で息することすら忘れているようで、口の端から唾液をこぼしながら、必死に喉を喘がせていた。
細い腰に腕を回して抱き寄せて、両脚を跨がせて、硬くなった己の雄をロッテの秘所に押し付ける。ゆっくりと擦り付けながら唇を開放してやると、彼女は息を荒げ、身を震わせて、蕩けた瞳でゲオルグを見た。同時に身体が弛緩して、腕の中で崩れ落ちる。
くったりと身を委ねるロッテの身体を抱き上げて、ゲオルグは凄味のある低音で告げた。
「寝室は?」
「あ……そこ、階段で……」
どこか虚ろな視線の先を眼で追うと、薄暗い廊下の奥に階段が見えた。
「二階か」
呟いて、荒々しく床を踏み鳴らしながら廊下を抜ける。階段を一段一段跨ぎ越すようにして、ゲオルグはロッテの寝室へと向かった。
——限界だった。
もう我慢などできないし、するつもりもない。
***
片腕でロッテを抱え直し、扉を開けると、ゲオルグは壁際に置かれたベッドに直行した。
室内を見回す余裕すらなかった。細い腕を首に回して縋り付いてくる彼女だけがこの世の全てであるかのようで、他には何も考えられなかった。
——ふたたび彼女を抱けるこのときを、どれだけ待ち望んでいたことか!
ゲオルグの眼に映るロッテは、とてもか弱い存在だった。華奢な身体は両腕で力一杯抱きしめてしまえば簡単に砕けてしまいそうで、思いの丈を全てぶつけるには儚すぎた。
理性的であれと、ずっと己に言い聞かせてきた。
ベッドでしたいと懇願する彼女をその場で抱いたことは何度もあったけれど、それでも自制はしていたのだ。彼女に本気で拒まれたときは、素直に引き退るのだと。
おかげで毎回遠慮がちな抱き方になっていたし、情けないことに、行為の後には必ず彼女に責められて、平謝りするのが当たり前になっていた。
だが、今回は違う。完全に同意の上で、しかも彼女のほうから望まれてのセックスだ。
あれだけ煽ったのだから、ロッテだって多少の無理は覚悟の上のはずだ。俄然やる気が湧いてくる。
ロッテのベッドは小さくて簡素なものだった。小柄な彼女がひとりで眠るには充分な大きさではあるものの、ゲオルグにとっては小さすぎる。横になったらおそらく足がはみ出してしまうだろう。
本当に、不釣り合いだ。よりにもよって、どうして彼女なのだろう。こんなに小さくて壊れやすそうな存在を、人一倍筋肉質で力も強い大男の自分が、何故、選んでしまったのだろう。それなりに背の高い肉付きの良い女なら、遠慮などせずに抱くことができただろうに。
ベッドの上にロッテを下ろし、その身体を四肢で囲い込む。琥珀の瞳を潤ませてゲオルグを見上げるロッテは、紅潮した頬はそのままに、濡れた唇をほんの少し震わせていた。祈るように胸の前で結ばれていた手のひらが、ゲオルグの胸をそっと撫でる。
——好きだ。
何の脈絡もなく、そう思った。
身を起こし、荒々しくシャツを脱ぎ捨てる。ゲオルグが堂々と月明かりに裸体を晒すと、ロッテは真っ赤になって視線を泳がせて、それから開いたままのカーテンを指差した。
「ゲオルグさん、あの……」
「なんだ」
「カーテン……閉めませんか……?」
ちらりと窓を一瞥すると、夜空には星が瞬いて、蒼白い月がぽっかりと浮かんでいた。おかげで明かりを灯さなくてもロッテの顔がよく見える。
ふたたび彼女を見下ろして、ゲオルグは手短に確認した。
「閉める必要が?」
「……だって、部屋が明るくて……恥ずかしぃ……」
「そうか……断る」
きっぱりと言い切ってやると、ロッテは瞳を大きく見開いて、少し泣きそうな顔になった。口の端を意地悪く吊り上げて、ゲオルグは笑う。
「閉めたら、お前の身体をじっくり眺められないだろう?」
ロッテは「ううぅ」と小さく唸り、両手で顔を覆い隠した。こういうとき、彼女は諦めが早くてありがたい。
シーツに広がった薔薇色の髪を一房手に取って、口付ける。その存在を確かめるように、薄手のネグリジェ越しに身体に触れた。肩を、脇腹をゆっくりと撫で下ろしていくと、ロッテは両手で口を覆ったまま、腰を浮かせて身を捩った。薄布越しにも柔らかな尻に指を這わせ、ネグリジェの裾から手のひらを滑り込ませる。ロッテがこくりと息を飲む音が、微かに耳に聞こえた気がした。
しっとりと滑らかな肌を撫で上げながら、ネグリジェを捲っていく。もじもじと動く太腿の先に、両端をリボンで留めた下着が見えた。
可愛い、と思った。下着のデザインが、というわけではなく、すでに何度も肌を重ねてきたというのに、恋人に抱かれるために普段と違う下着を選ぶ、その行為が堪らなく愛おしかった。
極上のワインを嗜むように、もったいぶった手付きでネグリジェを捲っていく。露わになった白い腹を撫で、お気に入りの小振りな乳房を拝もうとしたところで、ロッテが急に身を起こした。
琥珀の瞳と視線がぶつかる。
「あ……ご、ごめんなさい」
「……お前、まだ胸にコンプレックスがあるのか?」
「だ、だって、ゲオルグさんは大きい胸が好きでしょう?」
ゲオルグは眼をまるくした。
そんなことは全くない。男なんて生き物は好きな女の身体が一番綺麗に見えるものなのだ。たとえ今、目の前に極上の身体を持つ女が現れたとしても、ゲオルグは迷わずロッテを抱くはずだ。
そもそも、ゲオルグは女の胸の大きさに拘りなんてないのだ。ロッテのこの勘違いは、いったい何処からきたものなのだろう。
「……情報源は?」
赤銅色の前髪を掻き上げて、ゲオルグは溜め息を吐いた。
ロッテはちょっぴり唇を尖らせて、それから眼を据わらせて、咎めるように呟いた。
「ゲオルグさんが言ったんじゃないですか。初めてわたしの胸を触ったとき、『小さい胸だな』って……」
一瞬、頭が真っ白になった。
当然だ。そんな台詞を口にした覚えなど、全く記憶にないのだから。
「は……? いや待て、仮にそうだったとして……『嫌いだ』とは言わなかっただろう?」
「それはまぁ……たしかに、そのあと嬉しそうにわたしの胸に顔を押し付けてましたけど」
——何だその行動は!
ロッテが言っているのは、おそらく媚薬を誤飲して彼女を襲った夜のことに違いない。あのときは確かに理性が吹き飛んでいて、行為の最中の記憶などかけらも残っていなかった。だが、薬のせいとはいえ、恥も外聞もなくそんな行動をしでかしていたなんて。
——我ながら羨まし……いや、けしからん!
この際だ。記憶にないあの夜の出来事を、すべてはっきりさせておこう。
そう意気込んで、ゲオルグは勢いよくロッテに詰め寄った。
「他には!?」
「え……?」
「あのとき俺は、他に何をした?!」
途端にロッテは真っ赤になって、ゲオルグから眼を逸らした。俯いて、もじもじと口元で指を動かしながら、
「ぉ……おっぱい吸ったりとか、あ、アソコを舐めたり、とか……」
そう呟いて、手のひらで顔を覆い隠してしまった。
急激に頭に血がのぼる。考えるよりも先に、ゲオルグはロッテをベッドに押し倒していた。両腕を押さえつけ、太腿に跨るようにしてロッテの身体に覆い被さる。
不愉快だった。記憶こそないものの、自分自身がしたことなのに。あろうことかゲオルグは、あのときの自分に嫉妬していた。
「ゲオルグさ……ひゃ!?」
おそるおそる顔を上げたロッテの、薄赤く色付いた耳に舌を這わす。柔らかな耳朶をあまく食んで、首筋から鎖骨へと口付けを落とした。ふるりと震える乳房を手のひらで包み込み、揉みしだく。指の腹で胸の頂きを撫でてやると、ロッテはあまい吐息を漏らして肩を揺らした。
ぴんと張り詰めた先端を指先で捏ねながら、もう一方を口に含み、舌先を絡めてしゃぶりつく。ちらりとロッテの顔を窺うと、彼女は頬を赤く染め、くすりと笑ってゲオルグの髪に触れた。
「ふふっ……ゲオルグさん、なんだか赤ちゃんみたい……」
色めいた吐息混じりに囁いて、小さい子供にそうするように頭を優しく撫でるから。
ゲオルグはほんの少し恥ずかしくなって、その羞恥心を誤魔化すように、ロッテの胸の先端を舌先でくすぐってやった。できるだけいやらしく、弄ばれる乳首を見せつけるように舐めしゃぶる。もう一度ロッテの顔を見上げると、彼女はぱっと顔を逸らし、震える瞼をそうっと閉じた。唇で人差し指を噛みしめて、悩ましげに吐息を漏らす。
「んっ……ふ……ぅん……」
股間が熱を訴えていた。もう一度ちゅうと吸い上げてから乳首を解放すると、今度は胸のあいだに舌を這わせ、身体の中心をなぞるように白い肌を辿っていった。
ロッテの身体はどこもかしこも柔らかく、ほんのりとあまい香りがした。へその窪みをくすぐって、そのまま下腹部へと口付けていく。
引かれると思って口淫は避けてきたが、既に済ませていたなら今更遠慮することもないだろう。堂々と身体の隅々まで舐め尽くしてやる。
口元に意地の悪い笑みを浮かべると、ゲオルグはもじもじと太腿を擦り合わせるロッテの内股に手を触れて、強引に股を開かせた。リボンの端を摘んで引けば、しゅるりと微かな音がして、真っ白な薄布がはらりとシーツの上に落ちる。
半年振りに目にしたロッテのそこは、すでにたっぷりと蜜で濡れていて。美味しそうに色付いたその場所に、ゲオルグは堪らずむしゃぶりついた。
「まっ、ゲオルグさ……ひゃあんっ!」
両脚を突っ張らせてロッテが喘ぐ。
じゅるじゅると卑猥な音をたてて溢れる蜜を飲み干すと、ゲオルグは分厚い舌でべろりと秘所を舐めあげた。ロッテの蜜はちょっぴり酸味を帯びていたけれど、ぷっくりと膨らんだ蕾を舌で嬲り、新たな蜜をあふれさせるたび、少しずつゲオルグの舌に馴染んでいった。
花びらごと陰部を口に含み、舌先をなかに入れて掻き混ぜてやる。すると、おそらくは無意識に、剥き出しの花芯を差し出すように、ロッテが腰をくねらせた。
お望みどおり、充血したその粒を指先で摘んで愛でてやる。
「ん、んん————ッ!」
一際大きく腰が跳ねて。ロッテはあっけなく達してしまったようだった。
乱れた吐息に耳を灼かれているみたいだった。艶めかしく濡れそぼった女性器が、ゲオルグを誘惑する。
踏み止まる理由なんて何処にもありはしなかった。
「……もう、良いな?」
くったりと横たわったままのロッテの耳元で囁いて、体勢を整える。
まだ肩で息をする彼女のそこに、ゲオルグはいきり勃った己の欲望を突き立てた。
温かい湯に浸かって疲れを癒し、ロッテが作った美味しい料理を食べて、ゲオルグはすっかり上機嫌で食後のコーヒーを楽しんでいた。向かいの席に座るロッテは薄紅く頬を染めて、温めた林檎酒を美味しそうに飲んでいる。
実のところ、ロッテはゲオルグにも街の酒店で美味しいと評判の地酒を買ってくれていた。けれど、ゲオルグは遠慮した。酒に弱いわけではないが、風呂に入って満腹になって酒まで飲んでしまったら、間違いなく昨日と同じ寝落ちコースまっしぐらになると思ったからだ。
ゲオルグが今夜こそはと気合を入れていると、不意にロッテが口を開いた。
「ゲオルグさん、わたしね、魔女になれたんです。お師匠様が、わたしにも魔法のちからがあるんだよって教えてくれて、魔女見習いは卒業だって言ってくれて……」
両手で包み込むように持った林檎酒のカップをみつめながら、ロッテは幸せそうに眼を細めた。
フィオラントにいた頃、ゲオルグが魔法について尋ねるたびに、ロッテは「使えません」と言ってそっぽを向いていた。さほど嫌がっているようには見えなかったし、調薬技術に長けていたから、てっきり開き直っているのだと思っていたけれど、本当はずっと、魔法が使えないことを気にしていたのだろう。目の前のロッテの嬉しそうな表情を見れば、そのくらいのことは容易に想像できた。
「そうか、それはよかった。で、どんな魔法なんだ?」
ゲオルグが尋ねると、ロッテは一度顔を上げて、それからちょっぴり照れくさそうに俯いて、「癒しの魔法」と呟いた。
コーヒーカップを持つゲオルグの手に、ロッテが触れる。林檎酒を飲んだからか、その指先はほんのりと温かかった。
「とっても弱いちからなんですけど……こうして相手に触れたり、お茶を振る舞ったり看病したりしながら、その人の怪我や病気がはやく治りますように、疲れや痛みがはやく引きますようにって、祈るんです。そうすることで、ほんの少しだけ相手のからだや心を癒やすちからを助けることができるそうです」
「……なるほど」
それで納得がいった。
フィオラントの王宮で暮らしていたときも、彼女の部屋で過ごすだけで驚くほど疲れが癒えて、不思議に思ったものだった。三日三晩馬で駆けるような無茶な真似をして、しかも昨夜は長椅子に座って寝たというのに、一晩で疲れがすっかり消えていたのは、きっとその魔法のちからのおかげなのだ。
彼女らしい、優しい魔法だ。
そう考えて、ゲオルグはふと動きを止めた。
——ちょっと待てよ?
ロッテのことだから、ゲオルグの今日一日の疲れが癒えるように、今もその魔法を使ったのではないだろうか。このまま油断していると、また昨夜のように、早々に眠りこけてしまうのではないだろうか。
「ロッテ、今」
ゲオルグが口を開くと、同時にガタリと音がして、ロッテが席を立った。彼女はちょっぴり恥ずかしそうに「お風呂、入ってきますね」とゲオルグに告げると、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
それからはもう、ゲオルグは必死だった。
ロッテが戻るのを待つあいだ、ゲオルグは進んで夕食の後片付けをした。ぼんやり座って待っていれば、また昨夜のように、うっかり眠ってしまう気がしたからだ。
食器や鍋を洗い終え、手持ち無沙汰に部屋の中をうろついて、何度も時計を確認して。結局昨日と同じように、店の待合室で長椅子に腰を下ろした。
「……遅いな」
待っている時間は余計に長く感じるものなのだ。膝の上で手を組んで、そう自分に言い聞かせる。
ランプに火を灯して部屋を明るく保ち、眠気を誤魔化そうと色々考えてはみるものの、よりにもよって思い浮かぶのは如何わしい想像ばかりで。そうこうしている間にも、睡魔は着実にゲオルグの意識を乗っ取ろうと画策しているようで。
ゲオルグがうとうととしはじめた頃、ようやくかちゃりと扉が開く音がした。
「ゲオルグさん」
待ち焦がれたロッテの声に遠退いていた意識が呼び戻される。はっとなって顔を上げると、後ろ手に手を組んで、ロッテがゲオルグを見下ろしていた。
膝下まで隠れる長さの白いネグリジェを着た彼女は、湯上りのせいか、肌が薄紅く染まっていた。初めて行為に及んだあのときのように、湿った薔薇色の髪が首筋に張り付いていて——情欲が、煽られた。
「ロッテ……」
「またこんなところで寝ると、風邪ひいちゃいますよ」
「あ……いや、違う。寝ようとしていたわけではなくて……」
慌ててそう口にして、顔を上げ、ゲオルグははっとした。
どうしたのだろう。先ほどまでの幸せそうな表情とは打って変わり、目の前のロッテは明らかに不機嫌だった。ちょっぴり唇を尖らせて俯いて、上目遣いにゲオルグを睨め付けて。
——拗ねている?
「……どうした? 何かあったのか?」
「そうじゃなくて……」
ロッテはふるふると首を振ると、ゲオルグの顔をちらりと窺って呟いた。
「わたしたち、昨日からずっとふたりきりで同じ屋根の下にいるじゃないですか。それなのにゲオルグさん、キスのひとつもしてくれないから。わたし、おかしいのかなって思って……ゲオルグさんと一緒に居るだけで、こんなに胸がドキドキして、触れたいって……触れて欲しいって思うのに、ゲオルグさんはそういうの、全然ないみたいだし……こんなことばかり考えてるのって、わたしだけなのかなって……」
——なんだそれは。まさかとは考えもしたが、その台詞はもう、思いっきり誘っているも同然じゃないか。
ゲオルグの強張っていた唇が自然と弧を描く。同時にふっと笑いが漏れた。
「自制しているだけだ」
「え……?」
「触れてしまえば抑えきれるかわからない。だから触れずにいる。それだけだ」
何を、とは口にしなかったが、流石に伝わったのだろう。その証拠に、ロッテは瞬く間に頬を薔薇色に染めあげた。俯いて、もじもじと組んだ指先を動かしながら、上目遣いでゲオルグに訊ねた。
「自制……しなきゃ、ダメですか?」
「……いや、その必要はないようだ」
そう答えると、ゲオルグはロッテの細い手首を掴み、ぐっと彼女を引き寄せた。後頭部に手を回し、湿った後ろ髪に指を絡ませて、瑞々しい柔らかな唇に口付ける。久しぶりの感触と、ほのかに香るあまい匂いに、ゲオルグはしばしのあいだ酔い痴れた。舌先で唇のあわいをなぞり、口内に捩じ込んで、小さな舌を絡め取る。されるがままのロッテの口元を唇で覆い、吐息ごと貪った。
心許ない灯りが揺れる部屋に、くちゅくちゅと淫靡な音が響く。ぎしりと軋んだ音を立てて、ロッテが長椅子に膝をついた。久しぶりすぎて頭が回らないのか、ロッテは鼻で息することすら忘れているようで、口の端から唾液をこぼしながら、必死に喉を喘がせていた。
細い腰に腕を回して抱き寄せて、両脚を跨がせて、硬くなった己の雄をロッテの秘所に押し付ける。ゆっくりと擦り付けながら唇を開放してやると、彼女は息を荒げ、身を震わせて、蕩けた瞳でゲオルグを見た。同時に身体が弛緩して、腕の中で崩れ落ちる。
くったりと身を委ねるロッテの身体を抱き上げて、ゲオルグは凄味のある低音で告げた。
「寝室は?」
「あ……そこ、階段で……」
どこか虚ろな視線の先を眼で追うと、薄暗い廊下の奥に階段が見えた。
「二階か」
呟いて、荒々しく床を踏み鳴らしながら廊下を抜ける。階段を一段一段跨ぎ越すようにして、ゲオルグはロッテの寝室へと向かった。
——限界だった。
もう我慢などできないし、するつもりもない。
***
片腕でロッテを抱え直し、扉を開けると、ゲオルグは壁際に置かれたベッドに直行した。
室内を見回す余裕すらなかった。細い腕を首に回して縋り付いてくる彼女だけがこの世の全てであるかのようで、他には何も考えられなかった。
——ふたたび彼女を抱けるこのときを、どれだけ待ち望んでいたことか!
ゲオルグの眼に映るロッテは、とてもか弱い存在だった。華奢な身体は両腕で力一杯抱きしめてしまえば簡単に砕けてしまいそうで、思いの丈を全てぶつけるには儚すぎた。
理性的であれと、ずっと己に言い聞かせてきた。
ベッドでしたいと懇願する彼女をその場で抱いたことは何度もあったけれど、それでも自制はしていたのだ。彼女に本気で拒まれたときは、素直に引き退るのだと。
おかげで毎回遠慮がちな抱き方になっていたし、情けないことに、行為の後には必ず彼女に責められて、平謝りするのが当たり前になっていた。
だが、今回は違う。完全に同意の上で、しかも彼女のほうから望まれてのセックスだ。
あれだけ煽ったのだから、ロッテだって多少の無理は覚悟の上のはずだ。俄然やる気が湧いてくる。
ロッテのベッドは小さくて簡素なものだった。小柄な彼女がひとりで眠るには充分な大きさではあるものの、ゲオルグにとっては小さすぎる。横になったらおそらく足がはみ出してしまうだろう。
本当に、不釣り合いだ。よりにもよって、どうして彼女なのだろう。こんなに小さくて壊れやすそうな存在を、人一倍筋肉質で力も強い大男の自分が、何故、選んでしまったのだろう。それなりに背の高い肉付きの良い女なら、遠慮などせずに抱くことができただろうに。
ベッドの上にロッテを下ろし、その身体を四肢で囲い込む。琥珀の瞳を潤ませてゲオルグを見上げるロッテは、紅潮した頬はそのままに、濡れた唇をほんの少し震わせていた。祈るように胸の前で結ばれていた手のひらが、ゲオルグの胸をそっと撫でる。
——好きだ。
何の脈絡もなく、そう思った。
身を起こし、荒々しくシャツを脱ぎ捨てる。ゲオルグが堂々と月明かりに裸体を晒すと、ロッテは真っ赤になって視線を泳がせて、それから開いたままのカーテンを指差した。
「ゲオルグさん、あの……」
「なんだ」
「カーテン……閉めませんか……?」
ちらりと窓を一瞥すると、夜空には星が瞬いて、蒼白い月がぽっかりと浮かんでいた。おかげで明かりを灯さなくてもロッテの顔がよく見える。
ふたたび彼女を見下ろして、ゲオルグは手短に確認した。
「閉める必要が?」
「……だって、部屋が明るくて……恥ずかしぃ……」
「そうか……断る」
きっぱりと言い切ってやると、ロッテは瞳を大きく見開いて、少し泣きそうな顔になった。口の端を意地悪く吊り上げて、ゲオルグは笑う。
「閉めたら、お前の身体をじっくり眺められないだろう?」
ロッテは「ううぅ」と小さく唸り、両手で顔を覆い隠した。こういうとき、彼女は諦めが早くてありがたい。
シーツに広がった薔薇色の髪を一房手に取って、口付ける。その存在を確かめるように、薄手のネグリジェ越しに身体に触れた。肩を、脇腹をゆっくりと撫で下ろしていくと、ロッテは両手で口を覆ったまま、腰を浮かせて身を捩った。薄布越しにも柔らかな尻に指を這わせ、ネグリジェの裾から手のひらを滑り込ませる。ロッテがこくりと息を飲む音が、微かに耳に聞こえた気がした。
しっとりと滑らかな肌を撫で上げながら、ネグリジェを捲っていく。もじもじと動く太腿の先に、両端をリボンで留めた下着が見えた。
可愛い、と思った。下着のデザインが、というわけではなく、すでに何度も肌を重ねてきたというのに、恋人に抱かれるために普段と違う下着を選ぶ、その行為が堪らなく愛おしかった。
極上のワインを嗜むように、もったいぶった手付きでネグリジェを捲っていく。露わになった白い腹を撫で、お気に入りの小振りな乳房を拝もうとしたところで、ロッテが急に身を起こした。
琥珀の瞳と視線がぶつかる。
「あ……ご、ごめんなさい」
「……お前、まだ胸にコンプレックスがあるのか?」
「だ、だって、ゲオルグさんは大きい胸が好きでしょう?」
ゲオルグは眼をまるくした。
そんなことは全くない。男なんて生き物は好きな女の身体が一番綺麗に見えるものなのだ。たとえ今、目の前に極上の身体を持つ女が現れたとしても、ゲオルグは迷わずロッテを抱くはずだ。
そもそも、ゲオルグは女の胸の大きさに拘りなんてないのだ。ロッテのこの勘違いは、いったい何処からきたものなのだろう。
「……情報源は?」
赤銅色の前髪を掻き上げて、ゲオルグは溜め息を吐いた。
ロッテはちょっぴり唇を尖らせて、それから眼を据わらせて、咎めるように呟いた。
「ゲオルグさんが言ったんじゃないですか。初めてわたしの胸を触ったとき、『小さい胸だな』って……」
一瞬、頭が真っ白になった。
当然だ。そんな台詞を口にした覚えなど、全く記憶にないのだから。
「は……? いや待て、仮にそうだったとして……『嫌いだ』とは言わなかっただろう?」
「それはまぁ……たしかに、そのあと嬉しそうにわたしの胸に顔を押し付けてましたけど」
——何だその行動は!
ロッテが言っているのは、おそらく媚薬を誤飲して彼女を襲った夜のことに違いない。あのときは確かに理性が吹き飛んでいて、行為の最中の記憶などかけらも残っていなかった。だが、薬のせいとはいえ、恥も外聞もなくそんな行動をしでかしていたなんて。
——我ながら羨まし……いや、けしからん!
この際だ。記憶にないあの夜の出来事を、すべてはっきりさせておこう。
そう意気込んで、ゲオルグは勢いよくロッテに詰め寄った。
「他には!?」
「え……?」
「あのとき俺は、他に何をした?!」
途端にロッテは真っ赤になって、ゲオルグから眼を逸らした。俯いて、もじもじと口元で指を動かしながら、
「ぉ……おっぱい吸ったりとか、あ、アソコを舐めたり、とか……」
そう呟いて、手のひらで顔を覆い隠してしまった。
急激に頭に血がのぼる。考えるよりも先に、ゲオルグはロッテをベッドに押し倒していた。両腕を押さえつけ、太腿に跨るようにしてロッテの身体に覆い被さる。
不愉快だった。記憶こそないものの、自分自身がしたことなのに。あろうことかゲオルグは、あのときの自分に嫉妬していた。
「ゲオルグさ……ひゃ!?」
おそるおそる顔を上げたロッテの、薄赤く色付いた耳に舌を這わす。柔らかな耳朶をあまく食んで、首筋から鎖骨へと口付けを落とした。ふるりと震える乳房を手のひらで包み込み、揉みしだく。指の腹で胸の頂きを撫でてやると、ロッテはあまい吐息を漏らして肩を揺らした。
ぴんと張り詰めた先端を指先で捏ねながら、もう一方を口に含み、舌先を絡めてしゃぶりつく。ちらりとロッテの顔を窺うと、彼女は頬を赤く染め、くすりと笑ってゲオルグの髪に触れた。
「ふふっ……ゲオルグさん、なんだか赤ちゃんみたい……」
色めいた吐息混じりに囁いて、小さい子供にそうするように頭を優しく撫でるから。
ゲオルグはほんの少し恥ずかしくなって、その羞恥心を誤魔化すように、ロッテの胸の先端を舌先でくすぐってやった。できるだけいやらしく、弄ばれる乳首を見せつけるように舐めしゃぶる。もう一度ロッテの顔を見上げると、彼女はぱっと顔を逸らし、震える瞼をそうっと閉じた。唇で人差し指を噛みしめて、悩ましげに吐息を漏らす。
「んっ……ふ……ぅん……」
股間が熱を訴えていた。もう一度ちゅうと吸い上げてから乳首を解放すると、今度は胸のあいだに舌を這わせ、身体の中心をなぞるように白い肌を辿っていった。
ロッテの身体はどこもかしこも柔らかく、ほんのりとあまい香りがした。へその窪みをくすぐって、そのまま下腹部へと口付けていく。
引かれると思って口淫は避けてきたが、既に済ませていたなら今更遠慮することもないだろう。堂々と身体の隅々まで舐め尽くしてやる。
口元に意地の悪い笑みを浮かべると、ゲオルグはもじもじと太腿を擦り合わせるロッテの内股に手を触れて、強引に股を開かせた。リボンの端を摘んで引けば、しゅるりと微かな音がして、真っ白な薄布がはらりとシーツの上に落ちる。
半年振りに目にしたロッテのそこは、すでにたっぷりと蜜で濡れていて。美味しそうに色付いたその場所に、ゲオルグは堪らずむしゃぶりついた。
「まっ、ゲオルグさ……ひゃあんっ!」
両脚を突っ張らせてロッテが喘ぐ。
じゅるじゅると卑猥な音をたてて溢れる蜜を飲み干すと、ゲオルグは分厚い舌でべろりと秘所を舐めあげた。ロッテの蜜はちょっぴり酸味を帯びていたけれど、ぷっくりと膨らんだ蕾を舌で嬲り、新たな蜜をあふれさせるたび、少しずつゲオルグの舌に馴染んでいった。
花びらごと陰部を口に含み、舌先をなかに入れて掻き混ぜてやる。すると、おそらくは無意識に、剥き出しの花芯を差し出すように、ロッテが腰をくねらせた。
お望みどおり、充血したその粒を指先で摘んで愛でてやる。
「ん、んん————ッ!」
一際大きく腰が跳ねて。ロッテはあっけなく達してしまったようだった。
乱れた吐息に耳を灼かれているみたいだった。艶めかしく濡れそぼった女性器が、ゲオルグを誘惑する。
踏み止まる理由なんて何処にもありはしなかった。
「……もう、良いな?」
くったりと横たわったままのロッテの耳元で囁いて、体勢を整える。
まだ肩で息をする彼女のそこに、ゲオルグはいきり勃った己の欲望を突き立てた。
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