END roll

秋 睡蓮

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6日前

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 この日は何やら朝から賑やかだった
家中に響く騒音、何事かとその正体を確認しに向かえば
その音の元凶は、洗濯機
それを目の前に困った様子で立ち尽くす妻の姿があった
「壊れたか?」
元々新しくなかったそれ故に壊れてもあまり悔しくはなかったのだが
妻の方はどうやらそうではないらしい
洗濯が出来ず、どうしたものかと眉間にしわを寄せ悩み始めてしまう
そして何かを決意したかの様に洗濯機のふたを開け、中身を取り出し始めた
どうするのかを問うてやれば、妻はその洗濯物を持ち庭へ
ソコに置いてあったバケツへと水を張り、洗濯物を投げ入れた
「……お前、これで洗う気か?」
気合を入れるため袖を捲り上げた妻へ
決して少なくないその量を視線で指摘してやれば
だが妻は笑みを浮かべながら洗い進めていく
その様を眺めていた自分
少しでも手伝いになればと、妻が絞った洗濯物を干していった
そんな事は自分がやるのに
慌てた様子の妻が止めに掛るのを笑みでやんわりと制止してやる
今日は、調子がいいからと
「だからやらせてくれ。な」
そう続けてやれば妻は暫く考え、そして
絞ってソレを自分へと渡してくれながら
お願いします、と可愛らしい笑みを見せてくれた
天気が、いい
洗濯物を干しながら空を見上げれば
穏やかな風が頬を撫でていく
「本当、天気がいいな」
こんなにも天気が良くなったのは本当に久しぶりで
洗濯物は干した端から乾いていく
そして洗濯物をすべて干し終え、やれやれと背伸びをしていると
妻は身を翻し室内へ
また何をしているのか
様子を窺ってみれば、妻は布団を量の腕に抱えていた
ついでにこれも洗いたいです
先のバケツより大きい盥を何処からか用意し、布団も洗い始める
デカい毛布。果敢にも挑んでみるがやはり一人では手に余るようで
困った風な表情を浮かべてしまった妻へ自分は笑みを浮かべて見せながら
手伝うから、と並んで布団を洗い始めたのだった……
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