覚醒勝王

桜苗

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始まりの始まり

そんな常識は頭で捨てろ

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【視点:シェリア・オリエント】
走馬灯のように雲一つない空景色はアニメの使い回しのように流れている。狭い視線で見てるからそういう風に見えているからか。その景色の手前には鶯色のメッシュをした白髪の少女が健やかに寝ていた。親指の先をくわえて寝言が聞こえてくる。
「なーに…言ってんだ。こいつが最強だぁ!……なーんてなぁ…」
__……なんの寝言?なんか訳分からん。
私は頭を掻き立てた。しかし、そんな呑気な奴は気にしてはいられない。これからは本当の愛しの学園生活が待っているのだ。やはり学園メインの大本命系漫画といえばもちろう恋愛漫画だ。恋愛漫画の大半は読破した私。具体的には《君に●け》に《花よ●男子》、さらには《ママレ●ド・ボー●》に《ヲ●クに恋は●しい》…などたくさんの恋愛漫画を網羅した。爽やかな恋愛漫画も読んでいれば。人の恋愛関係がドロドロな恋愛漫画だってあった。また、最近は異能力バトルの舞台にもなっている学園。頭脳バトルが繰り広げられる《かんな様は告らせたい》と《賭●ケルイ》と《ようこそ●●●●主義の教室へ》もあれば《暗殺●室》、《め●かボッ●ス》というアクションとバトルに分類するにも過言ではない。また、《SKE●DA●CE》のコメディもそれはそれでいい。だが、ホラーやサスペンスはあんまりダメだ。《呪●》、《シャイニ●グ》というやばいホラー映画を見たっきりこれ以上ホラーやサスペンスは避けているのだ。あと、個人によって異なるが《shu●●le!》、《CLA●●AD》のようなギャルゲー風絵柄は苦手だった。嫌いなハーレム要素満載だったから。だが、あの《CLA●●AD》というアニメ、私の好みである泣きアニメだと聞けばそれはそれで別だ。見たいのに…死ぬ前に見るべきだった。そして、死後に一番後悔したのは《涼●ハルヒの●鬱》だ。それはSF要素があったからだ。SF・ロボット系はアニメの中で恋愛アニメより一番好きなアニメだ《A●IRA》、《Ste●ns :G●te》、《D●.STO●E》、《機●戦艦ナ●シコ》に《宇●戦艦ヤ●ト》《ガン●ムシリーズ》とあらゆるSF系は沢山見た。そう、これのアニメ・漫画の知識がある限り私はとんでもないヲタクである。…沢山のアニメを思い出したから喉が渇いたな。久しぶりにコーラが飲みたいな。と思っていると寝てる子とは反対の右からガションと機械の音がして、私は驚いた。反対を見ると床が開いて半透明のボウルらしきものが逆さまに中には紙コップがあった。そして、私が手に取りやすい位置で止まり。ボウルらしきものが自動に開いた。私は恐る恐る紙コップを手に取ると。静かに下がった。紙コップの中身にはなんとコーラが入っていたのだ。どうゆうことだと思ってると
「それ、驚いたでしょ」
と右隣から男子の声がした。ふと、みると、黒色で緑の瞳を持った少年が座ってた。服装を見ると庶民だが綺麗にまとまってるから恐らく親は漁業、又は農業を営んでいるかもしれない。
「僕も驚いたよ。頭を念じただけで自動で飲み物が出てくるから」
私も今そうだった。でも、自動で飲み物を出すなんて令和ってもうそんなすごい時代なんだな。私は関心した。私があの世を去った時代が令和だったから。すると少年が念じたのかまた飲み物らしきものが出てきた。少年は私を見ながら一口で飲んでから。座席の前にあるミニテーブルに置いた。
「突然話しかけてごめんね。僕はラーダ。ラーダ・リィ。君は?」
「あ、私はシェリア。シェリア・オリエントです。」
「君本当にすごいね」
「え、」
ラーダはしばらく見つめてこう言った。
「なんだか。これからの事の予想が命中したりとか空気が察せるような目をしているから…」
ああ、そういう事ね。私は微笑んだ。空気で察するのは得意だからな。というか慣れっ子だしな。これもう大人の一歩なのでは?
「これでもオリエント公爵の娘であり貴族ですから。空気を察せることが多々ありますから…」
「え、貴族…!すごい人だったんだな…。俺はてっきり貴族はみんな空気を読んでくれない人でよく暴力を振るう人を浮かぶんだけどな。こういうシェリアさんみたいな人がいるとは思わなかったよ…」
分かる。私もラーダの言う通りだと思う。だが実際、ラーダの言う通りだ。貴族はよく権力という暴力で振るうわ。読んでくれない馬鹿共がいるわのどんちゃん騒ぎを起こす人だらけなところだ。庶民だったリリナだって貴族になればアレンにベタベタ触れるからな。私はあの洗礼式を忘れるためコーラを1口飲んだ。
「くぅ~!」
酸味の効いた味わい。その後の甘味も出てきた。久しぶりに飲んだ味わいだ。これの同時のイチゴ味のチョコボールが緩和するのよ。これがあるといいなと思ったら、とっさに思いついた床式自動販売機が出てきた。今度は小さな小鉢だ。コーラを置いて。手に取り中身を見るとチョコボールが入ってた。しかもイチゴ味。ラーダは不思議そうに見つめた。
「これは何ですか?」
「チョコボールだよ。食べてないの」
「ふつうのチョコボールなら食べていますけど、イチゴ味は…」
「食べてみる?」
「え?いいのですか」
「前世に食べてないのだろ?こいつは甘いから美味いぞ」
と私は自慢のようにイチゴ味のチョコボールの入った小鉢をラーダに差し出した。ラーダは両手で受け取り
「あ、ありがとうございます…」
困惑気味に感謝した。これはやりすぎたかともえば、ラーダを見ると食べたの直後なのか目を輝かせまた一口を食べた。さらに輝かせて私に近づいてきた。
「これ、貰ってもいい…です…カ?」
こんなにも美味しかったのだろう。私に許可を求めてきた。最後のカタコトは気になるが。
「そんなにも食べたいならいいよ。食べても」
「ホントですか!?ありがとうございます」
ときっちり礼を言うなんて何とも礼儀正しい子なんだ。いいな、私にもその礼儀正しさを分けて欲しい。そして、目を輝かせながら食べるなんて前世の私みたいだ。あの時は頬がとろけるようでいた。めっちゃ美味しかった。それは今とは変わらないがとにかく昔は結構美味しいのだ。私はもう一度念じたイチゴ味のチョコボールを1粒食べた。やはり懐かしい味だ。しっかり噛むと苺の酸味もあるしチョコの苦味も僅かに感じる。懐かしい味がここで食べられると思ってもう1粒食べようと思った。すると
「ごめんなさーい。ちょっといただきまーす」
とチョコボールを摘んでた腕を勝手に声をかけた茶髪パーマの少年が間を入るようにあっという間に食べた。
「ご馳走様」
私が呆気にとられる間にまたチョコボールをとろうしたがラーダがとられる腕を抑えた。
「駄目ですこれはシェリアさんのものですよ」
「なーに、君。もしかしてしっかり子?」
私はハッと気づき即座に見えないように身体を曲げて隠した。それを見た少年は呆れたのか手を挙げた。
「やめだ。やめた」
と、一回転回った後に
「前の方にも、もっと面白い人がいると思ったけど残念。全然まともな子が多い事ですな」
と元の場所に戻った。そして、後ろの方からはしゃいでいるのかと騒ぎ出す。面白い人……?なんだコイツ。私は後ろを向いた。向くと茶髪の少年は他の子と何かと賭け事をしているらしい。雰囲気も他の子と違い何かが変だ。
「全く、変な奴だ。シェリアさん、大丈夫?」
とラーダは心配に声をかける。
「あ、ああ、大丈夫よ」
「あの子、気になるの?」
「え?」
ラーダが指でさしたのはあの少年だ。トランプやウノを魔法のように出しては目の前にいる皆を驚かせては笑わせる。これではまるで
「ピエロだな」
「そうだね」
言葉の通りだった。見てのところあの少年はリリナと同じ庶民の子だ。…あれ?私は違和感を覚えた。よく思えばラーダはチョコボールやコーラという飲み物を知っている。あの少年もそうだ。トランプとウノを上手く扱っていた。これは前世の記憶があるからこそ出来る事だし出来る行動でもあるん。だったらここに前世の記憶を持っていない人がいたらどうなる?コーラという飲み物も飲めないし、チョコボールという食べ物も食べない。というか私達が行っている行動を見ているとおかしいと思うに決まっている。まさかここにいる人たちは私と同じ前世の記憶を持っているでは?だとしたら何の目的で?同じ前世の記憶の人を集めるのにも意味があるのか?ふと、ラーダ達を見ると皆私と同じ年齢もいた。よく見れば一つ上の人もいれば、下の人もいた。つまりおそらく年齢は十四から十二の子供。…まぁ、これくらいの年齢ならば学園に入れるは当たり前か。共通するのは皆、前世の記憶を持っているということ。だんだん考えれば明らかにおかしい。だったら前世の記憶を持っていそうなリリナも絶対に入るからだ。そうとすれば私が呼ばれる理由は何だ?私の手が震えで止まらない。
「シェリアさん」
私は気づいて隣を見るとラーダが立ち上がっていた。その表情はより一層に心配という怯えが際立つ。正直心配する子は苦手だ。自分より周りの事を棚にあげるような感じが嫌いだ。でも、チャンスかもしれない。あの事を聞くのは今しかない。
「あの…ラーダさん」
「はい」
「その…」
正直に言うんだ私。出なければ…。気まづさあまりにかバスの中から私の気持ちの表れのように霧が発生した。ずっと全然の正直な事が言えないのだ。でも、言わなければ…。私は確認のため
「あなたの前世の職場はどこですか?」
言えた。すると
「え、なんて…」
「だから…ってうわぁ!?」
ラーダが突然倒れ込んだのだ。いや、寝込んだの方がいいかもしれない。
「大丈夫ですか?」
私が揺らしても全然起きようとはしない。そして、良く考えればバスが霧でいっぱいだった。これ…心の現れ演出じゃないのか!?いや、そこ!?とは思うのだろう。シートベルトを外して私は後ろを向いた。だが、濃くてよく見えない。近づいていくと何かを踏んだ気がした。踏んだところをみると茶髪の少年が倒れてたのだ。
「お、おい、起きろ」
やはり何度も肩を揺らしても起きる気配がない。周りも皆寝ていた。誰も起きる気配すらないのだ。この時私は確信したのだ。やっぱりおかしいと。
……そうだ!タナカさんは!?
と前を向こうしたら突然目眩をきた。バスで一度もないはずなのに。霧を吸ったからか?嘘だと信じたい。私は途中で起きた眠気も抑えてながら一歩、一歩ずつ歩いたのだ。さらに息苦しくなってきた。そう思ったとき、とうとうバスの先頭に来たのだ。
「あ、あのタナカさ…」
私はとんでもない光景に言葉を発せられなかった。それは近くに空気ボンベらしき物が霧を噴射していたのだ。そしてタナカさんは何故かガスマスクを被ってたのだ。私は驚きもせず眠気のあまりに力が抜けて床に倒れた。私は何度も瞬きした。ここで眠ってはいけないのだ。何があるかも分からないからだ。
……やばい、眠…
私が眠る際にタナカさんが何かを話しかけてた。きっと、こう言ったのだろう。
「すまない」と、

瞼の先には強い光が点滅を繰り返している。私は目をゆっくりと開いた。目は動いたけど体が動けるはずがない。目を開いた先には光の正体に気づいた。正体はなんと学校でよく見た事のある蛍光灯だった。私は思わず立ち上がり目を丸くした。今世ではシャンデリアや蝋燭のみだったのに……そして、下を見ると学校で使った事のある木の机と椅子があった。周りを見ると右の隣にはラーダ。そして茶髪の少年も含む私以外皆眠っていたのだ。どういう事だと。私は一歩ずつ歩いたその時。
「静かにしてください。そして、席に座ってください」
突然の前の方から声が上がった。前を見ると、白髪で厳しそうな目をしたゆるいスーツ姿の眼鏡のおじいさんが教卓近くにある椅子に座ってた。そして、読んでる本を一ページと捲る。
「え…」
「聞こえませんでしたか?静かにしてください。そして、席に座ってください」
と一層と増すように目を細めた。私はまずいと思い席に座った。……何故だろう。外からの異様な気配が感じた。威圧的で圧縮されるようなそんな気配だった。すると、
「ん……ん?」
ラーダの瞼が開いた。ラーダが周りを見れば
「う、うわぁ!な、なんだ?」
と私と同様の行動をした。当たり前か。最初は誰もがそうなるに決まってる。
「すいません。静かにしてください」
「あ、はい…」
ラーダは席に座った。そして隣にいた私に声をかけた。小声で
「これはどういうことですか?」
私は首を横にふった。
「ごめんなさい。私にもわからないの」
「そうですか…」
ラーダは腕を組んだ。
「何があったんだ…」
と言っていたがまさにそのとおりだ。
何せ あのタナカさんは中年で痩せほってた男性だ。一人で素早く運ぶにも時間がかかる。私は玄関近くにかけていた時計を見上げた。今の時間は午前十一時半。私がバスに乗った時間が八時だとすれば十一時半よりもかなり時間がかかるのだ。そうとするのなら大人数で一人ずつ運んだのか?おもわない推測、いや、おもいたくない推測だ。
すると、ドアから誰かが現れた。その人を見た私とラーダは驚いた。現れた人はなんと日本の軍人だ。迷彩柄に一体とした服装に担いでるのは何度もよく見かけたアサルトライフルだ。彼は本物の軍人か?私は困惑を隠せなかった。何故この異世界に日本の軍人がいるのかを。軍人は眼鏡のおじいさんに近づいて耳打ちをした。耳打ちをされたおじいさんは目を開いた。何があった…と私はラーダと目を合わせた。ラーダは困惑どころか不安でいっぱいな顔だった。どうやらラーダも私と同じ考えを持ってたらしい。すると眼鏡のおじいさんは本を閉じて立ち上がった。そして、教卓に置いてあった。トランペットを持った。
これマズ…!と感じた私は耳を塞いだ。
プァァァァァァァァァァァァァン…
眼鏡のおじいさんはなんとトランペットを吹いたのだ。ラーダは遅れて耳を塞いだ。そして、他の寝ていた人達が咄嗟に目を覚ます。あと、茶髪の少年も目を擦りながら起きた。
「何だよ…今、いい夢だったのに…あ、おはよ、」
と茶髪の少年は私達を目を合わせては呑気に手を降ってた。他の人達もそうだ。「何?ここ…」「教室?」「あいつ、軍人だ!」「何で…?」とぼやける人ばかりだ。眼鏡のおじいさんは教卓に手を置き咳払いをした。
「えー、静かにしてください」
 それから静かになった。眼鏡のおじいさんは周りを見て、静かになったことを確認した。
「これから体育館に行きます。移動中も私語を慎むように」
と教師らしい事を言った。まぁ、見た目からしても教師だけどな。その時、両端のドアから強い音ともに軍人が複数人で現れた。そして、先程の軍人とは違い銃を構えている。本来なら「ひぃ!」「怖!」と大声で叫ぶがここの人達は驚く顔はするが大声で叫ばなかった。むしろ叫んだら殺されるような顔までしてた。これを見た眼鏡のおじいさんは
「気の聞く若い子で良かった」
と皆が分からない程度の小声で言ってた。私はこれでも地獄耳なんだ。メイドの午後とだったら町からの花瓶が落ちる音、あとは両親の小さな喧嘩話など色々と聞こえた。ある程度は聞こえてるがたまに聞こえないのだ。これって普通の方かな。そうして私達は教室を出た。出てみると長身の軍人達が列のように並んでた。まるでいつでも撃てるように銃を構えてた。容赦ないな…を私は引いた。いくら何でもこれは…と思っていると。
「それでは、行きましょう」
眼鏡のおじいさんは体育館の方に向き歩き出した。私達も兵隊のように従うままに歩いた。すると、後ろにいたラーダに肩を叩かれた。
「どうしましたか?」
「それが…今、銃声が聞こえませんでしたか?」
「え?」
気づかなかった。この辺りで銃声が聞こえた?私が空耳だったことはあんまりにも聞いてない。まさかその時がきていたとは…。だが、その関心の裏に異様な違和感が混ざっていた。まずは先程の軍人達だ。並んでいたもおかしいが一人ずつの表情がおかしかった。唇を噛む者。目を逸らす者。目を手で覆う者…と、悔しさと怒りが混ざったような表情が加わっていた。ここまで来るとまるで…な。と私の予想は見事に体育館で的中した。

体育館の玄関近くにいくと体育館がざわついてる事が分かるような声の響きが聞こえた。中に入るとそこ。軍人を含む数万人の人達がいた。見る限り大型の体育館だった。左右をよく見ると軍人が二人ずつ体育館のドアにいた。左右にもまだ人が入ってきた。そして、周りを見渡したが不良のような人が入れば体格が大きい人もいた。髪色や服だって様々だ。私と同じようにいうかよく見たらここ体育館じゃなくてドームだろ!とツッコミがしたい東●ドーム何個分なんだ?すると、眼鏡のおじいさんが
「ここからはバラバラで色んな場所で座っても立っても構いません。」
と言いながら私達の方に振り返った。
「くれぐれもこの体育館から出ていかないように」
と言うようにここから去った。というかここは体育館というかドームなんだが、あの教室からこんな大きなドームに付けるのか?と思った直後に眼鏡のおじいさんが出たあとに体育館のドアが閉じる音が響きわたる。同時に体育館の光が徐々に消えていく。辺りが真っ暗くなった途端、ピィンとマイクが壊れた音が響く。
「えー、あー、あー、マイクテスト中、マイクテスト中…よし」
目の前のステージに誰かが入ってきた。あまりにも遠くて見えないが多分人じゃない。
「ようこそ、選ばれし人どもよ」
そう言った途端にスポットライトが彼…ではなく浮かんでいる人形らしき物に降り注いだ。それは人形らしき物はうさぎのような可愛らしい顔とはアンバランスな小さな細った体と長細い手とピンクの猫目だった。
「ちなみに俺はアンバラだ。よろしく頼むぜ」
しかも、またしても不釣り合いな中年の不良声だった。だが、選ばれし人ってなんだ?訳が分からん。
「まずはお前ら、《前はどこ》だ?」
(……前?)私は思った。きっと皆もそう思うのだろう。頭に?が浮かびそうだ。
「あぁ…悪ぃ俺が間違えた。質問を変えるわ」
てアンバラの後ろにあったスクリーンある物が映し出された。私は目を見開いた。スクリーンに映し出されたのは日本国旗。
「お、分かるような顔が多いようだな。これは良かった。じゃ、次」
とスクリーンが日本国旗から切り替えたのはスマートフォンだった。
「お、まだまだいた」
とアンバラが吹き出しそうな顔になっていく。そして、スマートフォンに切り替えて今度はアメリカ国旗、今世のでは無い前世の世界地図が映し出された。その次に『令和』という漢字、あいうえお順に書かれてる表。箸。竹おとし。映画《リ●グ》の例のシーン。…と知っているもの多かった。そして、スクリーンは終わり、ドームの光が明るくなった。同時に「何?今の」「全部、知ってるものだよな」「うん」とスクリーンに映し出された物の話題でいっぱいだった。
「私語は慎め」
とアンバラが皆が静かにしたのを確認した。
「よーし、お前らに聞く。さては日本人だろ?」
聞いた誰もが驚いた。いや、誰もが『日本人』と聞き逃すはずがないのだ。
「おーおー、そりゃ驚くよな。『日本人』って聞けば」
とアンバラはまるで予測したかようだ。アンバラは咳払いをし
「お前たちに告げる。お前たちは死んだ。さっき映したあの世界でな」
え、なんで知っているんだ!?と私は一瞬焦った。そして、隣にいたラーダもそうだ。皆もなんで知っている?と
「もう、分かってるだろう?お前ら日本人はこの世界に転生したんだ。つまり転生者だぜ。有難く思えよ」
知りたかった、いや、知りたくなかった。私は首を横にふった。
「そして、ここにいるお前ら…つまり選ばれた者達であるお前らはもう二度とこの学園からは逃れられん。まぁ、あれだあれ。えっと…なんて言うんだ。そうだ!」
と閃いたような顔立ちをしたアンバラはある事を自慢げに告げた。
「今日からお前らはこの学園、ヴィング学園で殺し合いをしてもらう。」
そのことでまたザワついた。
「嘘だろ!?」「何で!?」とザワつきにぴったりな声が上がりまくった。
「いわゆる、デスゲームってやつだ。悪いな」
と愉悦のようにニヤつくアンバラ。ふざけんなよ…なんとなく予想は着いたけどさぁ…。
「シェリアさん。落ち着いて」
「分かってます…」
強く握ってる拳をラーダが止めた。その気持ちはラーダも皆も同じだ。その時、
「ふざけんじゃない!」
と私達の気持ちに体現した人が現れた。その人は男性で弱気な人だった。
「僕は病気の母のためにこの学園に行ったんだ。そんな殺し合いの学園だなんて、僕は認めてない!」
と大声で勇気を出して言った。そして、それに便乗するように数十人いや、数百人が反対の声が聞こえた。
「そうだよ!」
「俺たちはそのために来たんだよ!」
「帰して!」
「私の両親のところに帰して!」
と。私の周りも少しだけだがここでも反対の声反対の声が上がってた。アンバラはチッと舌打ちをした、
「うっせぇな…こっちもこっちで忙しいんだよ。さっさと殺せば済めることだろ?」
「僕達は殺し合いなんて求めてない!」
「そうだよ!そっちこそ、俺達の事情を知らないくせに!」
「私達をお家に帰して!」
また大きな声で言えてきた。なんかデスゲームあるあるを見ているかのようだ。するとラーダは近くにいた反対派の少年に肩を叩いた。
「おい、やめろ。これ以上の反対は無駄だ。もう大人しくした方が」
「…っ!うるせぇ!」
と勢いよくラーダの手を離した。その影響でラーダは痛めた手をおさえて一歩引いた。
「お前もあいつの仲間なのか!?」
どうやら反対派は落ち着きがない様子だ。
「そうではない!確かに君達の気持ちが分かるがそれは僕達だって同じなんだ!今はあのアンバラという人形の言うことを聞くしかないんだ!」
正論だな。まさにラーダの言う通りだ。私も他の黙っている子も同じな気持ちだと。だが、落ち着きがなすぎの反対派が
「何だと!?」
とラーダの胸ぐらを掴んだ。これはまずい、殴られる。
「おい、やめた方が…」
私が取り抑えようとしたその時、反対派の首が刃に斬られたように綺麗に飛んだ。ラーダの所で倒れたのと同時にラーダの頬や服に返り血が飛び散る。ラーダだけではない。私、反対派少年の周りにも返り血が飛んだ。
「あ、ああ…」
そして、私の隣にいた青髪のハーフアップの少女が力が無いように座り込んだ。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!」
叫び出した。アンバラは「はっ…」とため息ついて 
「だぁからやなんだよ。この後の処理が大変なんだよ」
とまるで苦労人ように語った。これを見た周りの反対派の人は
「おい、これで脅すのかよ」
「いい加減して…」
「黙れ」
とアンバラが私の近くにいる反対派に近づいた。不審に思われながらもアンバラは気にせず近づいた。
「おいおい、お前らも黙れや。見ただろ?お前らにもあんなになりたくないんだろ?」
とアンバラは顔を近づけた。
「そ、それでも…」
反対派は握り拳をさらに固めて
「それでも俺達は絶対に殺し合いなんかするもんか!」
とアンバラに押し返すように顔で近づけさせた。
「あー、やっぱ嫌いだわ。お前」
「な、何を…」
と言う前にアンバラの前で反対派の首が斬られた。さっきと同じように綺麗にそして隣にいた反対派の人も同じく首を斬られた。
「もう、うざいわ。平和主義を語っているやつは嫌いだ。」
と命は軽い発言をしながらも次々と反対派の人達の首を斬りまくった。「うわぁぁぁ」「きゃぁぁぁぁ」と叫ぶ人がいた。吐く人、失禁して泣きじゃくる人だっていた。けど気にせずアンバラは斬りまくった。その結果、最初に反対した弱気な少年だけが生き残った。弱気な少年は周りを見渡したのか凍りつくような立ち尽くし方だ。ハッと気づき目の前にいるアンバラに見た直後に膝が崩れ落ちた。
「これはお前が起こした事だぜ?責任取れんの?」
「そ、それは…」
弱気な少年の口はこもっていた。アンバラは呆れたのか弱気の少年の首を呆気なく斬った。それを見た人はとうとう逃げるようにドームの玄関に駆け寄った。だが、玄関には軍人がいて押されるがままの状態だ。
「あー、もー、しゃーねーな。お前らもあいつらみたいに…」
アンバラ近づいてが斬る直前、突然を銃声が鳴り響いた。確かに銃から出てきそうな煙は出ていたがそれにはさすがの視力もすごい私でも見えなかった。
「ごめん。ちょっと近くに行ってくる」
「あ、シェリアさ…」
心配するラーダを「ごめん」と小声で言いはなち私は銃声の聞こえたほうに行った。
「すいません。すいません…」
人と人の間の狭いの道に押されながらも私は銃声の方に近づいた。すると
「お前か。撃ったのは」
アンバラの声だ。もう近いんだと思った途端、
「うわぁ!」
人波に押されとりあえず安全なところに来た。目の前を見れば。まさに異様な光景だ。近くで
見ればアンバラは以外と大きいとは裏腹にまさに不良漫画に出てくる強面の少年だった。サイド流しの黒色の前髪ショートに白のシャツとまさにアンバラの人間版のような不良だ。しかも、片手には軍人から取ったのだろうアサルトライフルを持っていた。足元には倒れた軍人がいた。
_撃ったのはあいつか…
「聞こえてんのか。撃ったはお前か?」
不良はアンバラの方、上を向いて固い口を開いた。
「…うるせぇから黙らせた。それがなにが悪い?」
「あのさぁ…黙らせたはいいけど、あと二センチずれてたら一人死んでたぜ」
言われたくないが確かにアンバラの言う通りだ。右の人波の開かれた間を見ると撃たれた肩を手を抑えてる人がいた。
「撃たれたのは悪ぃが第一、これ以上人死なせたら都合悪いのはそっちだろ?」
確かに音だけでも聞いても少なくとも千人の反対派が殺されたに違いない。私は足元にある転がる首を見た。やはり、近くで見ると吐き気がする。むしろ『逃げたい』よりも『黙って』我慢する人達が歓迎したいわ。よく耐えたと思う。これにはもちろん正論を言われたアンバラは唇を噛むような仕草だ。きっと平常心を保ったしても怒りは隠していない。いや、違う。アンバラは不良を面白い相手を見つけたような顔で見ていた。
「舐めた面しやがって…。てめぇ、名は?」
アンバラはさらに笑みを増した。
「マリシャス・ロストライト。十三だ。」
じゅ、十三!?そうは見えんだろ?私と同い年なのに!?対してのアンバラはさらなる興味深い顔だ。まるで新しいおもちゃを見つけた顔だった。
「マリシャス…覚えたぞ。マリシャス、お前はこの殺し合いを何だと思う?」
「当たり前だろ?世は殺せば済む。それだけだろ?」
マリシャスは即答だった。そして、アンバラは睨む。
__……この不良ってもしかして優しいやつなのでは?と淡い期待を持ってた私が恥ずかしい。私は手で覆った。そりゃ、そうなるわ。
「それに…」
マリシャスは持ってたアサルトライフルを捨てた。そして、アンバラに無骨に手を差し出す。
「ほら、なんか良いもん出せ」
と言った。それを見たアンバラは
「プッ、クックックッ…」
と笑いだした。まるで予想もした解答のようだった。
「面白い、ならこいつを差し出すよ」
とアンバラが出したのは長い刀とオートマチック製のハンドガンだった。
「マリシャス。ついてこい」
「……」
「おい、そこをどきな!」
と2人の前の人波が従うがままに間を空けた。
そして、ステージに立った。
「よーし、これから入学試験のルールを説明をしてやる」
入学試験…!私達は息を飲んだ。そして、スクリーンが流れた。
「これが入学試験の舞台だ」
と映し出されたのは半径百キロはある島。東京と神奈川が足されたような島だ。
「この島は無人島。そして、ここでお前たちは殺し合え」
やっぱり…私は握り拳を固めた。こっちは覚悟を決めてあるよ…。
「お、さっきとは違うな。聞き分けいいヤツらばかりで嬉しいぜ。俺は嫌いじゃない」
とアンバラは続けて行った。
「次はポイントだ。例えばお前らは初めて誰かさんを殺したとする。初めて、というか一人殺した場合、お前らは百ポイントとれるんだ。」
一ポイントじゃないのか…まぁ、デスゲームあるあるかな?
「但し、殺した相手が一人か二人殺した場合はその相手の二倍がとれる。誰かと手を組んで殺した場合は割愛して五十ポイントとれる。相打ちで死んだの場合、その場所の近くにいた人にポイントが科せられる。つまり漁夫の利でもいけるって事だ。まぁ、今回は今日または明日の朝までに一人でも殺せたら合格とするよ」
案外優しい奴なんだな。私は無意識に腕を組んだ。これは前世からの癖なんだ。なんだかしないといけないと思ってしまった。
「さぁ、ルールはここまでだ。あとは…」
するとアンバラは後ろの扉がが開かれた。
「…行ってもいいのか?」
「いいぜ」
許可を得たマリシャスは後ろを向くことはなく開かれた扉の先へ向かった。
「さぁ、アイツみたいに覚悟があるなら…」
すると、ステージから銃と刀などがふり出された。
「この先にいけると思え」
アンバラは意味の深い笑みをだした。その時、一瞬電流が流れたような感覚があった。何これ?私でも分からないようなやつ。これをなんて言うんだっけ?すると、
「やってやる!」
と向こうから男子の声が聞こえた。それから
「俺もいってやる!」
「俺も!」
「俺も」
さっきの男子に続いて他の数十人の男子も吸い込まれるように走り出した。私や他の動けない人にぶつかっても走り出すやつもいた。数十人の男子が装備をしアンバラは通り越して扉の先を向かった。そして、あとに残ったのは私を含む女子と残りの男子達だけだった。
「お前らはどうする?帰ってもいいけど」
とアンバラが煽りだした。すると私は何故か息を荒らげた。手は震えだし手汗もスポーツしたかのようにヌルヌルとした。
「今、行ったら殺される……でも」
__ここで居ても…多分、きっと…。
そんな時、私の頭に過ぎったのはあの洗礼式のときだ。座り込んだ私を見て醜く見下ろす。あざと女を信じこんだあのクソ王子の吐き捨て。そして、あの時何も出来なかった私 シェリア・オリエントの絶望の顔。
「もう、あんなのはごめんだ」
そして、私の足は一歩、一歩と歩きだした。そして、歩く速度を変えて、走るに変わった。そして、私は顔を前を正面を向いた。
(やってやるわ!)
そして、辺りがザワついてきた。私のような女が走れば誰もが驚くさ。ステージに着き、私は息を切らす事無くステージにある使える武器を探し出す。
「女か…お前はこういうデスゲームは好きか?」
とアンバラはニヤリだす。そんなの気にしてはいられない。私は無視し銃を探した。すると、とある銃があったことに私は気がつかなかった。その手元にある銃を私は手にした。その銃のは『グロック17』。その銃は腰に巻いている銃に閉まった。他は…探してみたら目の前に一瞬光ったような奴が見えた。近づいてみたらそれはあのマリシャスと同じような刀だった。
「おお、にっかり青江じゃねぇか」
「何?それ…」
「刀剣ファンじゃねぇのかよ…。そいつは良い刀だぜ。何せ日本の名刀だからな」
「……」
私は悩みはじめた。正直こいつの言う事が信じたくないのだ。けど…
「仕方ねぇ…」
私はこの刀を手に持ち立ち上がった。
「結構、物好きじゃないんだな。お前、名は?」
アンバラの
「……シェリア。シェリア・オリエントだ」
正直この名は嫌だ。前世を忘れ去られそうだからだ。
「シェリア…ね。覚えたぜ。じゃあ公爵ぽいシェリア様に一つアドバイスだ」
アンバラは続けて言った。
「そんな常識は頭で捨てろ。体ではなくな」
__……わけがわからない。けど、分かる気がする。
「分かってるよ」
私は強がった。意味のわからない言葉を考えるなんて後で充分だ。私はそのまま後ろを見向きもせずトビラの先に向かった。
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