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警告
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「ガクさんは、顔に出ちゃうから駄目だと思う。禿は、変な勘だけは良いんだから。」
今泉と冬は子供達と夕食を食べていた。
「でも一応忠告しておいた方が良いよ。」
今泉は、遊び始めた華を椅子からおろし、
顔と手を拭いた。
「流石に禿も何度も同じことはしないでしょう?だから大丈夫よ。」
…いや待て…忘れてたが、あいつは禿の上に馬鹿だ、しかも関係は全くないが、早漏ときてる。
冬は夏にご飯のおかわりを渡した。
「あの店は、外科医局長が良く使ってるお店だよ。その他にも何ヶ所かあるけど。」
…チャラいのは健在…っと。
顔も広そうだもんね。
「あとは探偵が何とかしてくれると思うの。禿の事だから、女性関係では沢山の失敗があると思うわ。」
「うん。知ってるよ。あのお店に通って色々聞いてきたから。あとはちょっと変な噂も聞いたんだよねぇ。」
冬は驚いた顔をした。
「ちょ…っと静さん。行ってきたの?」
夏も飽きて抱っこ抱っこと冬にしがみ付いた。
「うん。大丈夫…女の子の扱いだったら慣れているから…ただし、トウコさん以外ね。」
冬にウィンクをして微笑んだ。
「兎に角、ガクさんには秘密裡で動くの。」
冬はため息をつき、夏の口や手を拭き椅子から下した。ドアが開く音がして、小鳥遊が病院から帰ってきた。
「時間を掛けてゆっくりと、情報収集しなくっちゃ。」
今泉にも、冬が何を考えているのか分からなかったが取り合えず、とても楽しそうなことが起こる予感がした。
「OK、ドロシー。魔女を倒して無事に戻ってこよう♪まだ随分時間が掛かりそうだものね。」
おしゃべりな今泉が殊の外この状況を楽しんでいることが冬には不安だった。
「パパ」「お父しゃん」
子供達が玄関へと走り出した。
「敵を欺くにはまず味方から…静さんどんなことが起こっても私を信じてね。」
冬は今泉の頬に触れた。
そして子供の後の後についていき、おかえりなさいと小鳥遊にキスをして微笑んだ。
「今日は何か面白いことはありましたか?」
冬は小鳥遊から鞄を受け取った。
🐈⬛♬*.:*¸¸
冬たちがアメリカに帰り、暫くたった頃、小鳥遊は院長に突然呼び出されていた。そこには、外科病棟看護師長が居た。
…嫌な予感。
「おお。小鳥遊医局長。お忙しいところ済みませんな。」
院長はプレジデント・チェアーから立ち上がり、小鳥遊にソファを勧めた。
「いえ。僕はこのままで結構です。」
…嫌な事ならさっさと済ませて欲しいものだ。
今日の術後患者2名は、状態が不安定で血圧のコントロールが心配だった。
…早く病棟に戻って二人分の仕事を終わらせなければ。
小鳥遊は、観念して少々緊張した面持ちでゆっくりと腰掛けた。
「いえいえちょっと時間が掛かりそうなので、座って下さい。」
…嫌な予感的中か。
小鳥遊の頭は、院長に一体どんな話をされるのか、目まぐるしく動いていた。
災害ボランティアの時でさえ立ち話で済ませてしまうような男だ。改まっての話となると、もしかしたら転勤や移動の話かも知れない。
「奥様はお元気かね?また留学してるんだって?」
事務員が外科病棟師長と小鳥遊に御茶を運んで来て、どうぞと言って一礼して去っていった。
「ええ。今は看護大学で教授をしています。」
「そうですか。日本に戻ってきたらぜひ付属の大学で教鞭を取って貰いたいものですね。それとも、あなたと一緒に脳外科で働きますかね?」
…そんなことを言うためにわざわざ呼びつけたわけではないだろう。
小鳥遊は、穏やかな微笑みを浮かべながらも警戒していた。
冬のことを褒められるのは夫としても、職種は違えど同じプロとしても嬉しかった。
「そうですね。妻は脳外科が好きですし、それを望んでいますが、どうでしょうかね。帰るのはまだ先になりそうです。」
いつも小鳥遊は、冬がどれだけ頑張って来たのかを傍でみているので評価されて当然だと思っていた。
「いやぁびっくりしましたよ。病院に在籍したまま、留学だなんて…医師で、そのシステム作りをしようと思っていた矢先でしたのでね,それも看護師でしょう?」
小鳥遊は思わず口元が緩んでしまった。冬はこの言葉を聞いたら、医者と看護師はプロとして対等の立場ですと食って掛かりそうな気がした。
「あの時は、関係者は大騒ぎでした。」
冬の性格を考えると、夫婦で同じ病棟で働くのは、逆に大変であろうことは今からでも予測出来た。患者や看護師の為だったら、医者や看護部長や院長にだって噛みつく事は確実だ。
「気恥ずかしい限りです。」
外科病棟師長がじりじりした様子でふたりの会話を聞いてた。小鳥遊は院長に冬の病院復帰を懇願された。
…病院が放り出しといて皮肉なものだ。
小鳥遊は院長のおべっか使いを呆れながらも表情には出さず静かに聞いていたが、それにも飽きた頃、看護部長もお待たせしましたと入ってきた。
「看護部長さん。待っていましたよ。まぁ座って下さい。」
知らされていなかったのは自分だけかもしれないと小鳥遊は他の3人の顔を見てこの時に思った。
「実は…お話というのは…外科病棟で頻発していた薬物盗難に関わることなんです。」
小鳥遊もその話は聞いていた。外科看護師が、睡眠薬を大量に患者から盗み、よからぬ団体に横流しをしていたという話だ。
…あれは、確か解決した話じゃ無かったのか?
新聞にも載ったが、同じころに政治的な大きな事件があり余り注目はされなかった。
一瞬、今泉のことが思い浮かんだが、ほっとした。院長の話し難そうな様子にしびれを切らせた外科看護師長が口を挟んだ。
「実は…小峠先生とその看護師との関係についてです。」
小鳥遊は相槌も打たず、黙って聞いていた。
「看護師が睡眠剤を多量に盗み、それを手助けしていたのが小峠先生のようなのです。」
…ようなのです?
「ご存じのとおり、看護師は退職になりました。」
小鳥遊はどうも女性の遠まわしで、無駄な情報が多い会話が苦手だった。
脳外病棟師長はさっぱりとした性格で、ネチネチとしたところが無いのが冬によく似ていた。
特にこの外科病棟師長は、小鳥遊が苦手とする部類だった。
「小峠先生が関わっているという確証はまだ無いんですね?」
小鳥遊が念を押すと、外科病棟師長は慌てて付け加えた。
「ええ。今薬剤部にも確認中です。」
小鳥遊は大きなため息をついた。
「病院始まって以来の事でね、それも医者が関わっているとなると…その…困るんですね。」
院長が言った。
「この件に関しては調査中という事で、小峠先生の様子を伺いたかったんです。」
外科病棟は以前から薬の管理が少々杜撰だと言われていた。外科医局長の大雑把でワンマンな性格が災いし、師長も苦労していると聞いていた。
…だから、小峠も付け入る隙があったのか。
「ですので。今このような事が起こっているとお伝えしておこうと思いましてね。申し訳ないんだが、よろしく頼みます。」
院長は席を外そうとしたが、外科病棟師長と看護部長は逃がさなかった。
「小鳥遊先生。この際だからはっきり申し上げておきますけれど、小峠先生にはほとほと迷惑をしているんです。」
外科看護師長は、体を乗り出しながら言った。
「迷惑?」
…とすると女性問題だな。
小鳥遊は辛抱強く話を聞いている姿勢を見せていたが、内心はいらいらしていた。
…なんで女性はややもすると、問題が起こった時でなく何かのついでのように、あれもこれもと言うのだろうか?
「ええ。何人ものうちの看護師と同時に…男女の関係になったり、それが元でいざこざが絶えないんですよ。」
…それなら、外科医局長だって同じ、いやそれ以上じゃないか。
看護師どころか、教鞭をとっている看護大学の学生にも手を出しているという噂だった。
「脳外師長からは、お聞き及びじゃ無いようですね。」
…確かに何も聞いていない。
ただそれには、理由があり小鳥遊自身が、プライベートで色々あったせいで病棟師長は、余計なことで気を揉ませないようにとしていたのかも知れない。言えないような雰囲気を作っていたのは小鳥遊自身だった。
「いいえ。伺っていました。」
…話を合わせておく方が得策だ。
それに冬のことで小峠には何度も注意をした覚えもあった。
「では…小鳥遊先生が小峠先生を野放しにされていらっしゃったという事ですよね?」
外科看護師長は勢いづいて、しっかりと座りなおした。
「野放しって、それじゃぁ盛りのついた犬や猫じゃ無いですか。」
院長があげ足を取って笑って言った。小鳥遊が笑いたいのをぐっと堪えたのは、笑った院長がヒステリックになった外科病棟師長に叱られたからだ。
「本当に…僕の管理が不十分で申し訳ありませんでした。」
…犬にも首輪を付ける時期が来たか。
小鳥遊は外科病棟師長に立ち上がり深々と頭を下げた。
「看護師さんや師長さんに迷惑をかけ、本当に申し訳ありませんでした。」
再び師長の前で深く頭を下げ、看護部長にもご足労頂いて申し訳ありませんと付け加えた。
こんな時の看護師長達の扱いは院長より小鳥遊の方が上手かった。
「小鳥遊先生が悪いのでは無いので、そんなに頭を下げなくても。」
外科看護師長は慌てて言った。
…あの男をどうするかだ。
「では、この件…女性問題については、小峠先生には厳しく注意しておきます。」
小鳥遊が立ち上がりかけた時、院長が呼び止めた。看護部長と、外科看護師長が退出したのを確認して話しだした。
「実はその件に関連するんだが…小鳥遊先生に改めて、お願いしたいことがあるんです。」
院長は既にぬるくなったお茶をごくごくと飲んだ。
…やれやれ。
小鳥遊は、頭がズキズキと痛みだした。
「時間を取らせて本当に申し訳無いが外科医局長についてですが、あの人も色々と女性の問題があってね…その色々と難しいんです。」
事務員に院長は新しいお茶を頼んだ。
「はい…。」
事務員の後姿を眺めながらゆっくりと静かに言った。
「…派手で本部も困り果てているんです。」
「はい。」
「まだ公にはして欲しくは無いんですが、僕はあなたに副院長をお願いしようと思っています。」
「えっ…。」
「本部とも相談して、君はまだ少し若いが、勤勉で他の職種のスタッフからの信頼も厚い。表立った問題も今まで起こしたことが無い真面目な男だと私も信頼している。」
小鳥遊の若さで副院長とは前代未聞のことだ。
「通例ですと大学教授などが…副院長になる筈では?」
院長は渋い顔をしていた。
「近いうちに外科医局長は…辞職に…なるでしょう。」
院長はじっと小鳥遊の顔を見つめていたが、ここでやっと話が見えてきた。
「その問題の煩雑な後処理に、誰も関わりたく無く副院長代理役を誰もしたくないという事ですね?」
「流石に、君は呑み込みが早いね。」
…そんな役は誰もしたくないだろう。
「しかし、年齢的に言えば藤田麻酔科医局長の方が僕よりも適任ではありませんか?」
藤田麻酔科医局長なら、物腰も性格も穏やかで適任だ。ただ、問題処理だけに挿げるには非常に勿体ない立派な人物だ。
「うん…私もそれを考えたのだがね…。」
「僕はまだ未熟ですので、お断りいたします…が事後処理であれば、役職付き出なくてもお手伝い致します。もしも藤田麻酔科医局長が、副院長になったら、僕はその補佐として喜んでお手伝いさせて頂く覚悟です。」
年齢が若い自分では、医局長の中でも不満が出る様な気がしたが、藤田麻酔科医局長であれば、温厚で誰もがすんなりと認めるような気がした。
「そうですか…。」
院長は腕組みをしていたが、最初よりも表情が穏やかになった。
「藤田麻酔科医局長には、僕が補佐役になりますとお伝え下さい。それでも藤田先生がお断りになるようでしたら、その時はまた考えさせてください。」
小鳥遊は今度こそソファから、立ち上がり礼をして去った。
院長に信頼されていることは判ったが、小鳥遊は複雑な気持ちだった。
病棟へ戻ると、心配そうに脳外科師長が小鳥遊の事を待っていたが、小鳥遊の疲れた様子を見て取ると、
「先生のお時間のある時で…。」
と去ろうとしたので、小鳥遊は師長を慌てて引き留めた。面談室で小峠の話をした。
それ以外のことは公になってから話せばよいと小鳥遊は思った。
「小鳥遊先生。以前から外科病棟師長に言われていたんです…。」
「ええ…今日知りました。師長さんが気遣ってくれていたのが良く分かりますし、僕が気が付かず本当に申し訳ありません。」
いいえいいえと師長は静かに言った。
「本当は私が何とかしなければいけなかったんです。」
師長は大きなため息をついた。
「ここじゃあなたも僕も居ますし、出来なかったんでしょうね。それから、ここの病棟の看護師さん達から何か聞いていませんかね?」
「最近は…でも…数年前までは…。」
師長は言葉を濁した。
「それって…。」
小鳥遊が聞くと、師長は口を閉ざしてしまった。
「僕の妻…のことですよね?」
師長はびっくりして目を見開いた。
「月性さんは先生にも話したんですね?」
「ええ…前に聞きました。」
「可哀そうな事をしたと思うのよね。月性さん小峠先生に絡まれてた後輩看護師の為にねぇ。翌日、酷い痣付けてきたから問いただしたのよ。」
…え。
「小峠先生と一緒に帰ったのは見たから、あなたが言えないなら何があったのか、看護部長に報告するからって言ったらやっと教えてくれたの。」
「どうして師長さんはすぐに僕に教えてくれなかったんですか?」
「月性さんに止められたのよ。自分が酔ってしまったのが悪いんだからって。それからは、私も注意して見ているようにしてたけど、長い間言い寄られてたんじゃ無いかしらね。でもその度に大丈夫ですって。」
小鳥遊は大きなため息をついて、疲れた顔を手で擦った。
「それに、小峠先生が皮膚科の女医さんと痴話げんかで怪我をしたこと知ってます?その時も月性さんは、小峠先生を庇ったらしいのよ。」
「いつの話ですか?どうして気が付いたんですか?」
「小峠先生と月性さんが、回診車押して、空部屋に入ったのを見ちゃったの。私はびっくりして追いかけてドアを開けたら、小峠先生の背中の傷の処置をしててね。後々、話を聞いたら皮膚科の女医さんが、小峠先生を切りつけたって言うじゃない。」
小鳥遊は唇をかんだ。小峠と冬、ふたりの関係を疑ったあの時のことだとすぐに判った。
「月性さんは何でも自分で解決しようとするじゃない?人が良いというか、責任感が強いと言うかなんというか…だから叱ったのよ。」
「そうだったんですか…。これからはどんなことでも伝えて頂けないでしょうか?」
冬のことに限らず、まだまだ自分が知らないことが沢山ありそうだと思い、気分が沈んだ。
…皆が少しづつ情報を持っていた筈なのに、それを共有できていなかったということか。
「わかりました。先生がそうおっしゃるのでしたらそうします。」
「僕も師長さんに何かあればその都度お伝えします。」
師長は静かに頷いて、面談室を出た。
🐈⬛♬*.:*¸¸
小鳥遊は小峠を連れだした。小峠は緊張した面持ちだった。
「僕があなたを呼び出した理由は判りますか?」
…この男はどこまで判っているのだろうか?
少しの間、小峠は考えている様子だったがゆっくりと口を開いた。
「薬物盗難事件のことですか?」
小鳥遊は何も答えずじっと小峠を見ていた。
「あの看護師とは、確かに…色々ありましたが、僕は関連はありませんよ。」
小峠はすぐにいつもの落ち着きを取り戻した。
「そうですか…まぁその事にも少々関連していることなのですが…。」
小峠の顔が一瞬強張ったのを小鳥遊は見逃さなかった。
…暫く泳がせておけばいい。
「外科の看護師さん達のことです。今日、呼び出されましてね、風紀を乱すようなことをこれ以上しないで欲しいと言われました。」
小鳥遊は腕を組んでいた。小峠と山田外科医局長は、女遊びが派手なのは、皆が知っていたが、本人は一体どう思っているのだろうか。
「・・・。」
「何か弁解はありますか?」
小峠の眼には怒りと苛立ちが浮かび、ゆっくりと口を開いた。
「大人の付き合いですし、それを何故、注意されなければならないのか、僕は理解できません。」
「看護師同士のいざこざが絶えないんだそうです。」
…馬鹿な男だ。遊ぶのならもっと上手くやればいいのに。
「以後…気を付けます。」
他の医者に比べて要領が良いのは小鳥遊も知っていたし、それが鼻につくこともあったが、手術の腕前はなかなかのものだった。
「僕は、あなたが外科病棟へ行くことを暫くの間、禁じます。」
小峠は俯いたまま、何かを考えて居るようだった。
「これは警告です。これ以上僕はあなたを庇いきれません。遊ぶなとは言ってません。ただ上手くやらないといけません。」
小峠は唇を噛んで、有無を言わさない小鳥遊の態度に、口を開いた。
「わかりました。小鳥遊先生のように他を出し抜いて上手く出来るように努力します。」
小鳥遊はこの言葉に、眉を顰めた。
「あなたは一体何を言いたいのですか?」
誰のことだか判ったが言葉に出すのは憚られた。論点が少々ずれたが、それでも今だから、きっちりと話しておこうと小鳥遊は思った。
「出し抜くとは失礼ですよ。僕は筋を通しましたし、忍耐強く待ちました。あなたはそれが出来ましたか?僕は少なくとも酔わせていかがわしい場所へ連れ込むような卑怯なことはしませんでしたよ。」
小峠の顔に小鳥遊に対する怒りがありありと浮かんだ。
「同意の上でしたよ。少なくともあの後僕たちは付き合っていたんです。」
小鳥遊は大人げないとは思いつつも冬のことは、ここではっきりさせておきたかった。
「痣が出来るほど首を絞めておいてですか?それでもあの人は、あなたのことを庇ったんですよ?師長が僕に報告すると言ったのに止めたそうです。それに皮膚科女医の傷害事件も。」
小峠もこれには少し驚いたようだった。
「あなたにとって、あの人が特別だった事は、良く分かります。付き合うとすぐにばらしてしまうあなたが、何も言わなかったんですから。」
小鳥遊は、大きなため息をついた。確かに大の男が揃いもそろって、自由奔放な冬に翻弄されていたと思うと滑稽だった。
「それでも僕は、僕から彼女を奪ったあなたを絶対に許せません。では、失礼します。」
静かに去ろうとする小峠の背中に小鳥遊は大きなため息をつきながら言った。
「僕は、それでもあなたの医師としての腕は高く評価しています。これ以上の行動は慎んでください。」
今泉と冬は子供達と夕食を食べていた。
「でも一応忠告しておいた方が良いよ。」
今泉は、遊び始めた華を椅子からおろし、
顔と手を拭いた。
「流石に禿も何度も同じことはしないでしょう?だから大丈夫よ。」
…いや待て…忘れてたが、あいつは禿の上に馬鹿だ、しかも関係は全くないが、早漏ときてる。
冬は夏にご飯のおかわりを渡した。
「あの店は、外科医局長が良く使ってるお店だよ。その他にも何ヶ所かあるけど。」
…チャラいのは健在…っと。
顔も広そうだもんね。
「あとは探偵が何とかしてくれると思うの。禿の事だから、女性関係では沢山の失敗があると思うわ。」
「うん。知ってるよ。あのお店に通って色々聞いてきたから。あとはちょっと変な噂も聞いたんだよねぇ。」
冬は驚いた顔をした。
「ちょ…っと静さん。行ってきたの?」
夏も飽きて抱っこ抱っこと冬にしがみ付いた。
「うん。大丈夫…女の子の扱いだったら慣れているから…ただし、トウコさん以外ね。」
冬にウィンクをして微笑んだ。
「兎に角、ガクさんには秘密裡で動くの。」
冬はため息をつき、夏の口や手を拭き椅子から下した。ドアが開く音がして、小鳥遊が病院から帰ってきた。
「時間を掛けてゆっくりと、情報収集しなくっちゃ。」
今泉にも、冬が何を考えているのか分からなかったが取り合えず、とても楽しそうなことが起こる予感がした。
「OK、ドロシー。魔女を倒して無事に戻ってこよう♪まだ随分時間が掛かりそうだものね。」
おしゃべりな今泉が殊の外この状況を楽しんでいることが冬には不安だった。
「パパ」「お父しゃん」
子供達が玄関へと走り出した。
「敵を欺くにはまず味方から…静さんどんなことが起こっても私を信じてね。」
冬は今泉の頬に触れた。
そして子供の後の後についていき、おかえりなさいと小鳥遊にキスをして微笑んだ。
「今日は何か面白いことはありましたか?」
冬は小鳥遊から鞄を受け取った。
🐈⬛♬*.:*¸¸
冬たちがアメリカに帰り、暫くたった頃、小鳥遊は院長に突然呼び出されていた。そこには、外科病棟看護師長が居た。
…嫌な予感。
「おお。小鳥遊医局長。お忙しいところ済みませんな。」
院長はプレジデント・チェアーから立ち上がり、小鳥遊にソファを勧めた。
「いえ。僕はこのままで結構です。」
…嫌な事ならさっさと済ませて欲しいものだ。
今日の術後患者2名は、状態が不安定で血圧のコントロールが心配だった。
…早く病棟に戻って二人分の仕事を終わらせなければ。
小鳥遊は、観念して少々緊張した面持ちでゆっくりと腰掛けた。
「いえいえちょっと時間が掛かりそうなので、座って下さい。」
…嫌な予感的中か。
小鳥遊の頭は、院長に一体どんな話をされるのか、目まぐるしく動いていた。
災害ボランティアの時でさえ立ち話で済ませてしまうような男だ。改まっての話となると、もしかしたら転勤や移動の話かも知れない。
「奥様はお元気かね?また留学してるんだって?」
事務員が外科病棟師長と小鳥遊に御茶を運んで来て、どうぞと言って一礼して去っていった。
「ええ。今は看護大学で教授をしています。」
「そうですか。日本に戻ってきたらぜひ付属の大学で教鞭を取って貰いたいものですね。それとも、あなたと一緒に脳外科で働きますかね?」
…そんなことを言うためにわざわざ呼びつけたわけではないだろう。
小鳥遊は、穏やかな微笑みを浮かべながらも警戒していた。
冬のことを褒められるのは夫としても、職種は違えど同じプロとしても嬉しかった。
「そうですね。妻は脳外科が好きですし、それを望んでいますが、どうでしょうかね。帰るのはまだ先になりそうです。」
いつも小鳥遊は、冬がどれだけ頑張って来たのかを傍でみているので評価されて当然だと思っていた。
「いやぁびっくりしましたよ。病院に在籍したまま、留学だなんて…医師で、そのシステム作りをしようと思っていた矢先でしたのでね,それも看護師でしょう?」
小鳥遊は思わず口元が緩んでしまった。冬はこの言葉を聞いたら、医者と看護師はプロとして対等の立場ですと食って掛かりそうな気がした。
「あの時は、関係者は大騒ぎでした。」
冬の性格を考えると、夫婦で同じ病棟で働くのは、逆に大変であろうことは今からでも予測出来た。患者や看護師の為だったら、医者や看護部長や院長にだって噛みつく事は確実だ。
「気恥ずかしい限りです。」
外科病棟師長がじりじりした様子でふたりの会話を聞いてた。小鳥遊は院長に冬の病院復帰を懇願された。
…病院が放り出しといて皮肉なものだ。
小鳥遊は院長のおべっか使いを呆れながらも表情には出さず静かに聞いていたが、それにも飽きた頃、看護部長もお待たせしましたと入ってきた。
「看護部長さん。待っていましたよ。まぁ座って下さい。」
知らされていなかったのは自分だけかもしれないと小鳥遊は他の3人の顔を見てこの時に思った。
「実は…お話というのは…外科病棟で頻発していた薬物盗難に関わることなんです。」
小鳥遊もその話は聞いていた。外科看護師が、睡眠薬を大量に患者から盗み、よからぬ団体に横流しをしていたという話だ。
…あれは、確か解決した話じゃ無かったのか?
新聞にも載ったが、同じころに政治的な大きな事件があり余り注目はされなかった。
一瞬、今泉のことが思い浮かんだが、ほっとした。院長の話し難そうな様子にしびれを切らせた外科看護師長が口を挟んだ。
「実は…小峠先生とその看護師との関係についてです。」
小鳥遊は相槌も打たず、黙って聞いていた。
「看護師が睡眠剤を多量に盗み、それを手助けしていたのが小峠先生のようなのです。」
…ようなのです?
「ご存じのとおり、看護師は退職になりました。」
小鳥遊はどうも女性の遠まわしで、無駄な情報が多い会話が苦手だった。
脳外病棟師長はさっぱりとした性格で、ネチネチとしたところが無いのが冬によく似ていた。
特にこの外科病棟師長は、小鳥遊が苦手とする部類だった。
「小峠先生が関わっているという確証はまだ無いんですね?」
小鳥遊が念を押すと、外科病棟師長は慌てて付け加えた。
「ええ。今薬剤部にも確認中です。」
小鳥遊は大きなため息をついた。
「病院始まって以来の事でね、それも医者が関わっているとなると…その…困るんですね。」
院長が言った。
「この件に関しては調査中という事で、小峠先生の様子を伺いたかったんです。」
外科病棟は以前から薬の管理が少々杜撰だと言われていた。外科医局長の大雑把でワンマンな性格が災いし、師長も苦労していると聞いていた。
…だから、小峠も付け入る隙があったのか。
「ですので。今このような事が起こっているとお伝えしておこうと思いましてね。申し訳ないんだが、よろしく頼みます。」
院長は席を外そうとしたが、外科病棟師長と看護部長は逃がさなかった。
「小鳥遊先生。この際だからはっきり申し上げておきますけれど、小峠先生にはほとほと迷惑をしているんです。」
外科看護師長は、体を乗り出しながら言った。
「迷惑?」
…とすると女性問題だな。
小鳥遊は辛抱強く話を聞いている姿勢を見せていたが、内心はいらいらしていた。
…なんで女性はややもすると、問題が起こった時でなく何かのついでのように、あれもこれもと言うのだろうか?
「ええ。何人ものうちの看護師と同時に…男女の関係になったり、それが元でいざこざが絶えないんですよ。」
…それなら、外科医局長だって同じ、いやそれ以上じゃないか。
看護師どころか、教鞭をとっている看護大学の学生にも手を出しているという噂だった。
「脳外師長からは、お聞き及びじゃ無いようですね。」
…確かに何も聞いていない。
ただそれには、理由があり小鳥遊自身が、プライベートで色々あったせいで病棟師長は、余計なことで気を揉ませないようにとしていたのかも知れない。言えないような雰囲気を作っていたのは小鳥遊自身だった。
「いいえ。伺っていました。」
…話を合わせておく方が得策だ。
それに冬のことで小峠には何度も注意をした覚えもあった。
「では…小鳥遊先生が小峠先生を野放しにされていらっしゃったという事ですよね?」
外科看護師長は勢いづいて、しっかりと座りなおした。
「野放しって、それじゃぁ盛りのついた犬や猫じゃ無いですか。」
院長があげ足を取って笑って言った。小鳥遊が笑いたいのをぐっと堪えたのは、笑った院長がヒステリックになった外科病棟師長に叱られたからだ。
「本当に…僕の管理が不十分で申し訳ありませんでした。」
…犬にも首輪を付ける時期が来たか。
小鳥遊は外科病棟師長に立ち上がり深々と頭を下げた。
「看護師さんや師長さんに迷惑をかけ、本当に申し訳ありませんでした。」
再び師長の前で深く頭を下げ、看護部長にもご足労頂いて申し訳ありませんと付け加えた。
こんな時の看護師長達の扱いは院長より小鳥遊の方が上手かった。
「小鳥遊先生が悪いのでは無いので、そんなに頭を下げなくても。」
外科看護師長は慌てて言った。
…あの男をどうするかだ。
「では、この件…女性問題については、小峠先生には厳しく注意しておきます。」
小鳥遊が立ち上がりかけた時、院長が呼び止めた。看護部長と、外科看護師長が退出したのを確認して話しだした。
「実はその件に関連するんだが…小鳥遊先生に改めて、お願いしたいことがあるんです。」
院長は既にぬるくなったお茶をごくごくと飲んだ。
…やれやれ。
小鳥遊は、頭がズキズキと痛みだした。
「時間を取らせて本当に申し訳無いが外科医局長についてですが、あの人も色々と女性の問題があってね…その色々と難しいんです。」
事務員に院長は新しいお茶を頼んだ。
「はい…。」
事務員の後姿を眺めながらゆっくりと静かに言った。
「…派手で本部も困り果てているんです。」
「はい。」
「まだ公にはして欲しくは無いんですが、僕はあなたに副院長をお願いしようと思っています。」
「えっ…。」
「本部とも相談して、君はまだ少し若いが、勤勉で他の職種のスタッフからの信頼も厚い。表立った問題も今まで起こしたことが無い真面目な男だと私も信頼している。」
小鳥遊の若さで副院長とは前代未聞のことだ。
「通例ですと大学教授などが…副院長になる筈では?」
院長は渋い顔をしていた。
「近いうちに外科医局長は…辞職に…なるでしょう。」
院長はじっと小鳥遊の顔を見つめていたが、ここでやっと話が見えてきた。
「その問題の煩雑な後処理に、誰も関わりたく無く副院長代理役を誰もしたくないという事ですね?」
「流石に、君は呑み込みが早いね。」
…そんな役は誰もしたくないだろう。
「しかし、年齢的に言えば藤田麻酔科医局長の方が僕よりも適任ではありませんか?」
藤田麻酔科医局長なら、物腰も性格も穏やかで適任だ。ただ、問題処理だけに挿げるには非常に勿体ない立派な人物だ。
「うん…私もそれを考えたのだがね…。」
「僕はまだ未熟ですので、お断りいたします…が事後処理であれば、役職付き出なくてもお手伝い致します。もしも藤田麻酔科医局長が、副院長になったら、僕はその補佐として喜んでお手伝いさせて頂く覚悟です。」
年齢が若い自分では、医局長の中でも不満が出る様な気がしたが、藤田麻酔科医局長であれば、温厚で誰もがすんなりと認めるような気がした。
「そうですか…。」
院長は腕組みをしていたが、最初よりも表情が穏やかになった。
「藤田麻酔科医局長には、僕が補佐役になりますとお伝え下さい。それでも藤田先生がお断りになるようでしたら、その時はまた考えさせてください。」
小鳥遊は今度こそソファから、立ち上がり礼をして去った。
院長に信頼されていることは判ったが、小鳥遊は複雑な気持ちだった。
病棟へ戻ると、心配そうに脳外科師長が小鳥遊の事を待っていたが、小鳥遊の疲れた様子を見て取ると、
「先生のお時間のある時で…。」
と去ろうとしたので、小鳥遊は師長を慌てて引き留めた。面談室で小峠の話をした。
それ以外のことは公になってから話せばよいと小鳥遊は思った。
「小鳥遊先生。以前から外科病棟師長に言われていたんです…。」
「ええ…今日知りました。師長さんが気遣ってくれていたのが良く分かりますし、僕が気が付かず本当に申し訳ありません。」
いいえいいえと師長は静かに言った。
「本当は私が何とかしなければいけなかったんです。」
師長は大きなため息をついた。
「ここじゃあなたも僕も居ますし、出来なかったんでしょうね。それから、ここの病棟の看護師さん達から何か聞いていませんかね?」
「最近は…でも…数年前までは…。」
師長は言葉を濁した。
「それって…。」
小鳥遊が聞くと、師長は口を閉ざしてしまった。
「僕の妻…のことですよね?」
師長はびっくりして目を見開いた。
「月性さんは先生にも話したんですね?」
「ええ…前に聞きました。」
「可哀そうな事をしたと思うのよね。月性さん小峠先生に絡まれてた後輩看護師の為にねぇ。翌日、酷い痣付けてきたから問いただしたのよ。」
…え。
「小峠先生と一緒に帰ったのは見たから、あなたが言えないなら何があったのか、看護部長に報告するからって言ったらやっと教えてくれたの。」
「どうして師長さんはすぐに僕に教えてくれなかったんですか?」
「月性さんに止められたのよ。自分が酔ってしまったのが悪いんだからって。それからは、私も注意して見ているようにしてたけど、長い間言い寄られてたんじゃ無いかしらね。でもその度に大丈夫ですって。」
小鳥遊は大きなため息をついて、疲れた顔を手で擦った。
「それに、小峠先生が皮膚科の女医さんと痴話げんかで怪我をしたこと知ってます?その時も月性さんは、小峠先生を庇ったらしいのよ。」
「いつの話ですか?どうして気が付いたんですか?」
「小峠先生と月性さんが、回診車押して、空部屋に入ったのを見ちゃったの。私はびっくりして追いかけてドアを開けたら、小峠先生の背中の傷の処置をしててね。後々、話を聞いたら皮膚科の女医さんが、小峠先生を切りつけたって言うじゃない。」
小鳥遊は唇をかんだ。小峠と冬、ふたりの関係を疑ったあの時のことだとすぐに判った。
「月性さんは何でも自分で解決しようとするじゃない?人が良いというか、責任感が強いと言うかなんというか…だから叱ったのよ。」
「そうだったんですか…。これからはどんなことでも伝えて頂けないでしょうか?」
冬のことに限らず、まだまだ自分が知らないことが沢山ありそうだと思い、気分が沈んだ。
…皆が少しづつ情報を持っていた筈なのに、それを共有できていなかったということか。
「わかりました。先生がそうおっしゃるのでしたらそうします。」
「僕も師長さんに何かあればその都度お伝えします。」
師長は静かに頷いて、面談室を出た。
🐈⬛♬*.:*¸¸
小鳥遊は小峠を連れだした。小峠は緊張した面持ちだった。
「僕があなたを呼び出した理由は判りますか?」
…この男はどこまで判っているのだろうか?
少しの間、小峠は考えている様子だったがゆっくりと口を開いた。
「薬物盗難事件のことですか?」
小鳥遊は何も答えずじっと小峠を見ていた。
「あの看護師とは、確かに…色々ありましたが、僕は関連はありませんよ。」
小峠はすぐにいつもの落ち着きを取り戻した。
「そうですか…まぁその事にも少々関連していることなのですが…。」
小峠の顔が一瞬強張ったのを小鳥遊は見逃さなかった。
…暫く泳がせておけばいい。
「外科の看護師さん達のことです。今日、呼び出されましてね、風紀を乱すようなことをこれ以上しないで欲しいと言われました。」
小鳥遊は腕を組んでいた。小峠と山田外科医局長は、女遊びが派手なのは、皆が知っていたが、本人は一体どう思っているのだろうか。
「・・・。」
「何か弁解はありますか?」
小峠の眼には怒りと苛立ちが浮かび、ゆっくりと口を開いた。
「大人の付き合いですし、それを何故、注意されなければならないのか、僕は理解できません。」
「看護師同士のいざこざが絶えないんだそうです。」
…馬鹿な男だ。遊ぶのならもっと上手くやればいいのに。
「以後…気を付けます。」
他の医者に比べて要領が良いのは小鳥遊も知っていたし、それが鼻につくこともあったが、手術の腕前はなかなかのものだった。
「僕は、あなたが外科病棟へ行くことを暫くの間、禁じます。」
小峠は俯いたまま、何かを考えて居るようだった。
「これは警告です。これ以上僕はあなたを庇いきれません。遊ぶなとは言ってません。ただ上手くやらないといけません。」
小峠は唇を噛んで、有無を言わさない小鳥遊の態度に、口を開いた。
「わかりました。小鳥遊先生のように他を出し抜いて上手く出来るように努力します。」
小鳥遊はこの言葉に、眉を顰めた。
「あなたは一体何を言いたいのですか?」
誰のことだか判ったが言葉に出すのは憚られた。論点が少々ずれたが、それでも今だから、きっちりと話しておこうと小鳥遊は思った。
「出し抜くとは失礼ですよ。僕は筋を通しましたし、忍耐強く待ちました。あなたはそれが出来ましたか?僕は少なくとも酔わせていかがわしい場所へ連れ込むような卑怯なことはしませんでしたよ。」
小峠の顔に小鳥遊に対する怒りがありありと浮かんだ。
「同意の上でしたよ。少なくともあの後僕たちは付き合っていたんです。」
小鳥遊は大人げないとは思いつつも冬のことは、ここではっきりさせておきたかった。
「痣が出来るほど首を絞めておいてですか?それでもあの人は、あなたのことを庇ったんですよ?師長が僕に報告すると言ったのに止めたそうです。それに皮膚科女医の傷害事件も。」
小峠もこれには少し驚いたようだった。
「あなたにとって、あの人が特別だった事は、良く分かります。付き合うとすぐにばらしてしまうあなたが、何も言わなかったんですから。」
小鳥遊は、大きなため息をついた。確かに大の男が揃いもそろって、自由奔放な冬に翻弄されていたと思うと滑稽だった。
「それでも僕は、僕から彼女を奪ったあなたを絶対に許せません。では、失礼します。」
静かに去ろうとする小峠の背中に小鳥遊は大きなため息をつきながら言った。
「僕は、それでもあなたの医師としての腕は高く評価しています。これ以上の行動は慎んでください。」
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