【完結】陽キャのフリした陰キャ配信者がコラボきっかけで付き合う話

柴原狂

文字の大きさ
20 / 99
第一章

第20話 真実


 高校も何もかもバレていた……一体いつから!? 
 俺は顔を真っ青にしながら、ノーキを見上げる。すると彼は、穏やかな声で続けた。

「本当は、初めて見た時からそうなんじゃないかな? って思ってたけど、なんか累がバレたくなさそうだったから言わなかったんだ。でも、秘密を共有したらもっと仲良くなれると思って……嫌だった?」

「待って、光輝って何組?」

「一組だよ。累は何組?」

「俺は五組……クラス離れてるから会う機会はそもそも少ないか」

 確かにぶつかった時、どこかで聞いたことがある声だなとは思っていたが──それが人気配信者のノーキで、しかも同じ高校の人物だったなんて、未だに信じ難い。

 そして何より一番信じ難いのは、ノーキに俺の正体がバレてしまっている事実だ。
 クラスが離れてるおかげで顔を合わせる機会はあまりないのだが、事実を知られてしまった時点でもう……


「なあ光輝。お前、俺の事どう思った……? 軽蔑しただろ。表では陰キャなのに配信だけイキってるから……」


 笑いたいなら笑えばいい。
 俺はもう嫌になって、自分を嘲笑いながら光輝に尋ねた。最悪だ。俺の配信人生も終わりだと思うと、正直泣きそうになっていた。

 しかしどうだろう。絶望の沼にいる俺を、光の元へ引き戻すように──ノーキは至って平然と言ったのだった。

「軽蔑なんてしないよ。オレ、学校の累も配信の累も好きだから」

 俺は一瞬、目を見開いて彼を見るが……優しい言葉に耐えきれず、ついに本音が飛び出してしまう。

「そ、そんな告白みたいなことすんなよ……! 俺は配信外の自分が嫌いなんだ。友達もいないし陰キャだし、毎日生きてるだけで息が詰まってた……でも、配信してる時だけが自分をさらけ出せたんだ。だから、誰にもバレたくなかったのに……!」

 何故だろう。急に目の前がぼんやりして、前がよく見えなくなる。喉の当たりがきゅっと痛くなり、俺は必死に歯を食いしばる。
 すると──その様子を見ていたノーキは、心做しか焦った状態で俺の肩に手を乗せた。

「っ!? 累、泣いてるの……?」

「……泣いてない!!!」

 ダサいと分かっていながらも、恥ずかしさや緊張が溢れて、自分をコントロール出来なかった。


「おいで累」

 
瞬間。ノーキに肩を引き寄せられ、俺の身体は暖かいものに包まれる。密着した互いから、どきどきと心臓の音が聞こえるのが分かった。
 ノーキが俺を抱きしめていたのだ。思わぬ行動に混乱する俺とは裏腹に、彼は優しい声で言った。

「累、ごめんね。オレ累ともっと仲良くなりたくて言ったのに……まさかここまで傷つけるなんて思ってなかった」

「ちょっ! 光輝?」

「でもオレは、どっちの累も良いと思う。可愛いしかっこいいし、好きだよ。だからオレだけには、ありのままの累を見せてよ。どっちも受け入れるから」

 累は、細長い指先で俺の頬に触れると、穏やかな表情で微笑んだ。イケメンで優しい目前の男に、俺はもう何が何だか分からなくなってくる。
 それと同時に──ここがカフェの中じゃなくて良かったと、冷静に思う自分もいた。

「お前……お人好しがすぎるぞ。俺の秘密をバラせば、オルの印象は絶対下がる。お前の邪魔なライバルを消す絶好の機会なのに……」

「? 何言ってるの累。オレが配信者としてここまで頑張ってこれたのは、オルっていう存在がいたからだよ」

「……え?」
 
「いろいろあって、ちょっと疲れてた時に、配信見て惚れたんだ……オルに」

「ん……???」

「自由で楽しそうで、かっこいいと思った。でも、見てくうちに可愛いところも出てきて、見てる人を飽きさせない。意識してないかもしれないけど、本当にすごい配信者だと思ったよ。それで、オレもオルみたいになって……オルと仲良くしないなって思って」

「え!? まさか光輝、そのために配信してきてたのか!?」

「うん。コラボできるぐらいの知名度と人気を目指して頑張った。だから、この機会にもっと仲良くなりたくて、オムライスとか色々と焦っちゃった」

「でもさっき……配信は気まぐれで始めたって」

「いきなり『累が好きだから始めた』なんていったら、嫌われちゃうと思ったから。でも、秘密を共有すると距離が縮まるなら、本当の話していいかなかって。……ごめんね?」

「いや、全然謝るなって。俺こそ、そんなこと考えてたなんて知らなくて……」

「もちろん累の秘密は誰にも言わないよ。でも、これからもっと共有したい。もっともっと累と、親密になりたい」

 ノーキの真剣な眼差しに、気付けばさっきまでの混乱や恐怖が吹き飛んで閉しまっていた。ノーキが実は、俺のリスナーだったと知ったからだろうか。それとも、秘密を守ってくれると約束してくれたからだろうか。
 なんだか今は、とても気分が良い。

「……ふっ、はは! 光輝ってクールそうに見えて、すげぇ一途なんだな!」

 あまりに真剣な眼差しでこちらを見続けるノーキに耐えきれず、思わず大声で笑ってしまった。
 自分の秘密を知っても尚、暖かい眼差しを向けてくれる彼の存在が、嬉しくて堪らないと思ってしまう。その時だった。



「ねえ、累。オレと付き合ってほしい」


 
感想 8

あなたにおすすめの小説

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。