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第二章
第8話 邪魔だな
「今日は装備でこの敵倒すまで終わらない!!」
俺が今日の目標を発表すると、コメントは盛り上がっていく。
『おいみんな!今日寝れねえぞ!』
『はい、徹夜確定』
『絶対寝れねえわwwww』
『明日仕事休みでよかった』
『長い試合になりそうだ笑』
『最後まで見届けるとするか!』
『今日寝れなくなったwwww』
「おいコメント! なんで苦戦する前提なんだよ! いいか、よーく見てろよ。一瞬で倒してやるからな!」
その後も俺は、元気よく配信を続けつつ、コメントの様子にも注目していた。だが、☆というユーザーが現れることはなかった。
「よっしゃ!!!倒したぁぁ!」
『記録、二時間半!』
『うおーガチか』
『予想の数倍早かったwww』
『gg』
『まじ? やるやんオル』
『がちで勝ったwwww』
『ないすぅぅぅぅ!』
実のところ俺自身、長期配信を見越した企画だったので、早く終わって驚いている。自分の才能が誇らしい、と俺は口角を上げる。
「俺にかかればこんなもんだ!」
『声だけで調子乗ってんの分かるww』
『オル嬉しそうやな笑』
『くっそ可愛いわwww』
『にっこにこやな笑』
俺は満面の笑みで、高速に流れるコメントに目を向ける。しかし、やっぱり☆というユーザーは現れなかった。
もしかしたら飽きたのかもしれない。
まあこっちとしても、悩みの種が減るわけだから好都合だろう。
俺はこほん、と咳払いすると──配信を終わらせる前に、あることを告げる。
「よく聞けお前ら! 今週末に、またノーキとコラボすることになったぞ! ちなみに、めちゃヤバいお知らせあるから楽しみにしとけ!」
そう! 今週末のコラボ配信にて、俺とノーキは「公式主催のイベントにゲストとして登場する」ことを視聴者さんに伝えるのだ。
『え?なになに!?』
『婚約発表やwwww』
『おおおコラボきた!?』
『婚約発表すか???』
『やば楽しみすぎるwww』
『同棲? 婚約?』
『もう待ちきれないww』
『よし、赤飯炊いて待つか』
『しゃあああああ!』
俺は物凄い速さで流れ盛り上がるコメントに思わず吹き出す。
配信者活動の楽しさとやり甲斐を、今日も身に染みて感じるのだった。
「んじゃ今日はここまで! 乙!」
俺は満面の笑みで配信を終えた。
* * *
☆「はあ……」
黒髪マッシュの男は、タバコを吸いながら一息ついていた。スマホの画面には、オルの配信のアーカイブが見える。
男は無数のピアスが付けられている耳を触りながら、何やらイラついた表情を浮かべている。
☆「くそ、マジで邪魔だなノーキ」
男はタバコを吸い終えると、ゲーミングチェアにゆっくりとたれ掛かる。
☆「あ゙あー……早くオルに会いたい」
男は乱雑に前髪を掻き上げると、再び、ゲームを始めた。
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