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第三章
第16話 おれのモノ
「光輝……!」
突然部屋に現れた人物を見て、俺は喜びの声をあげる。
綺麗な茶髪髪にスラッとした体型──そこに居るのは紛れもない、俺の大好きな宇野 光輝(うの こうき)だった。
「は? お前……なんでここが」
キルさんは、突然の訪問者に目を見開く。しかしどうやら、ノーキの視界にキルさんの姿は映っていないらしい。
そう。ノーキは黙って、俺を見つめていた。その瞳は多くの怒りを含んでいるのにも拘わらず、綺麗だった。
男は、ベッドに横たわる俺の姿をじっと見つめる。まるで安否確認でもするかのように、下から上へと俺を眺めた。
そして──ノーキの視線が俺の首筋までやってきた時だった。
「……は?」
その瞬間、さっきまで静かに俺を見つめていたノーキの表情が、突然変化した。
男は血管の膨れ上がった腕を素早く伸ばすと、俺の肩を力強く掴んだ。
「……なにこれ。首、累」
ついこの間までギクシャクしていたというのに、ノーキはそんなことすら忘れて俺を心配そうに見つめる。
俺はこの時、首から走る痛みよりも『ノーキがまだ自分の心配をしてくれている』という事実に胸を高鳴らせていた。
そんな嬉しさを胸に秘めながらも、俺はノーキの質問に答えるべく、もごもごと口を開いた。
「えっと、キルさんの煙草が首n……」
「……!!」
ゴンッと、大きな音が部屋全体に鳴り響く。俺は驚きのあまりビクリと身体を震わせると、目を丸くして前を見た。
なんとそこには──キルさんを殴る、ノーキの姿があったのだ。
「ちょっ……光輝!!!!」
俺は焦って、止めに入ろうとノーキの背中に手を伸ばす。
だがそんな俺に構うことなく、ノーキはキルさんの胸ぐらを掴んだまま、低い声で言ったのだった。
「何でこんなことしたんですか。あれ、タバコですよね? アンタ……自分が何をしたか分かってるんですか」
いつになく真剣な様子で、ノーキはキルさんを睨みつけた。この殺伐とした空気に、俺は呼吸も忘れて生唾を飲み込む。
だが、そんなノーキの鋭い視線に怯えることなく、キルは至って淡々と返す。
「……累が好きだからした。おれのモノだって印ができるんだ、興奮するだろ?」
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