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第三章
第22話 ゲームオーバー
しばらくの沈黙が、多くの時間を連れ去った。そして──時計の秒針がいくらか時を刻んだ頃。
「……はあ、やっぱりオルには敵わない。ゲームオーバー、おれの負けだ」
恐ろしく長く感じられた沈黙は、キルさんによって破られた。
俺を見つめるキルさんの表情は、これまでとは打って変わって、心做しか落ち着いているようだった。
「……それで? なんでここが分かったんだ」
キルさんは今度こそノーキに目を向けると、諦めたように質問を始めた。
その質問を素直に受け取め、ノーキは至って冷静に答えていく。
「とある『協力者』が情報提供してくれました。キルさん、プロゲーマーである貴方なら、この件が公になったら、どうなるか分かりますよね?」
ノーキは脅しをかけるようにキルさんに詰寄る。もちろん彼の言う通り、キルさんも今の状況は理解しているはずだった。
しかしどうだろう。ノーキの口から『協力者』という言葉を聞いた瞬間、キルさんは何故か絶望した様子でノーキを見つめた。
そして小さく声を震わせたのだった。
「……おれは今回の話を、平塚さんにしか伝えていない。まさか、平塚さんは、おれを裏切ったのか?」
この時、初めて見せたキルの絶望の表情に、俺のノーキは思わず目を剥く。
どうやら彼にとって、平塚という男の存在は、とても大きいらしい。
だが、そんな絶望から救い上げるようにノーキは続けた。
「平塚さんじゃないです。
一応、協力者からは『情報提供する代わりに自分の名前は出すな』と言われているので伏せますが」
「……はっ。ならコレも言わない方が良かったんじゃねェの」
キルさんは心做しか安心した様子を見せながらも、すぐさまノーキに言い返す。
だが、キルさんのちょっとした煽りを前にしても、ノーキは至って淡々としていた。
「流石に──目の前で絶望してる人が居たら、これくらいしたくなりますよ」
「……」
ノーキは当然の事だ、とでも言うように堂々と答える。
分かりにくいかもしれないが……これもノーキの優しさのひとつでもあるのだ。
どうやらキルさんにも、その優しさが伝わったらしい。
「はあ……やっぱウザイな、お前」
キルは突然、大きな溜め息と共に大きく伸びをし始める。
だが……次々に発せられるキルさんの言葉に、いつの間にかトゲは無くなっていた。
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