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第三章
第24話 協力者
「……いるなら出て来い。警察呼ぶぞ」
オルとノーキがいなくなった部屋で、キルはひとり声を出した。
するとその声に反応するように、玄関からゆったりとした足音が聞こえる。
その人物は迷う様子もなく、まっすぐキルの居る部屋へやって来た。
その人物は、キルを見るなりにこりと笑う。
「ただいま、キル」
そこに居たのは、キルと同じプロチームに所属する男──ナギの姿だった。
* * *
「ここはお前の家じゃない。つか……ずっと前に無くしてたと思ってたスペアキー。お前が持ってたのかクソ野郎」
キルはベッドに座ったまま、気怠げにため息をこぼす。そんな彼を、ナギはうっとりした表情で見つめた。
「うん、そうだよ。ついでに言うとキルのスマホにGPSも入れておいたよ」
「……いつから」
「かなり前から」
「……きも」
そう言って煙草を吸いだすキルの横顔を、ナギは黙って見つめる。
「で? ノーキの言ってた『協力者』ってお前のことだろ。何でそんなことした? 『これまでの行動を口外することなく、目を瞑ること』なんて条件なんか付けやがって、おれに同情したつもりか?」
ふーっとタバコの煙を吐きながら、キルはナギに目を向ける。ただそれだけの動作にもかかわらず、ナギは光悦した表情でキルを見ていた。
「気づいてくれたんだ、嬉しい。同情じゃないよ。オルとノーキが別れないようにしたかったから、全てのタイミングを見計らって邪魔したんだ」
「……うざ」
「本当はもっとぐちゃぐちゃに壊れたキルが見たかったけど、これも悪くないね。弱ってる姿も素敵だよ」
「……かえれ」
キルは大きな溜め息を吐くと、嫌がらせをするべくナギにタバコの煙を吹きかけた。
だが、ナギは嫌がる素振りを一切見せることなく、むしろ興奮した様子でキルを見つめていた。
「誘ってる? ……いいの??」
「良いわけねえだろ。きもいぞ」
何をやってもナギに喜ばれるという事に気づいたキルは、諦めたように彼から視線を外す。
そんなキルを見つめながら、ナギは心做しか悲しそうに言った。
「高校の時、キルは僕のこと振ったよね。でも、それから僕がどれだけ汚い手を使って君を手に入れようとしても、キルは嫌がっても拒絶はしなかった。ねえ……まだ僕のこと受け入れられない? 愛が伝わらない?」
失恋したばかりだと言うのに、ナギはキルを慰めることなくグイグイ思いをぶつけてくる。
それが鬱陶しくなったのか。キルは黙ったままタバコの火を消すと、ナギを見ずに一言だけ発した。
「……くたばれ」
「……ッ♡」
どこが響いたのか全く分からないが、ナギはとても嬉しそうな表情をしたままキルの背中を追う。
二人はそのまま──暗い部屋へと吸い込まれて行った。
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