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出会い偏
大きくしてしまいました
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「アキラさんはここみたいなお店にはよく来られるんですか?」
ここみたいなお店、とは風俗営業店を指しているのだろう。
そういう意味なら、キャバクラには飯田の付き合いで頻繁に行っている。
ないとは思うが、オカマバーを指しているのであれば答えは真逆となる。
オカマバーなんて来たのは今日が初めてだし、好んで行こうとは今でも思えない。
このオカマバーエンジェルには通ってしまうかもしれないが、それもツキが在籍しているからだ。
オカマバー事態に魅力を感じているわけではない。
「キャバクラには上司との付き合いでそれなりに来ていますね」
「そうなんですね。では、結構慣れてたりするんですか?」
「どうでしょうか……。キレイな女性と話してても緊張はしなくなりましたけど、慣れてるとまでは言えないですかね」
「アキラさんはキレイな女性と話すのが苦手だったんですか?」
「いえまあ、キレイじゃなくても、女性と話すのは……その、経験が無いものですから」
「あっ……」
経験が無いから女性と話せないのか。
女性と話せないから経験が無いのか。
その答えは一生わからないだろうし、知りたくもない。
「すみません。私、また空気が読めてなかったですね……」
「いえ、大丈夫です。ツキさんの言葉のおかげで、気持ちはかなり楽になりましたから」
ツキが具体的にどう励ましてくれたかは都合良く忘れてしまった。
それでもツキが童貞を好意的に捉えているのは憶えている。
それだけで今日まで童貞だった意味があると思える、というのは少し大げさだけれども。
「あの……そういうお店で童貞を卒業することは考えなかったんですか?」
そういうお店、とは性的サービスの提供を主としているお店のことだろう。
「考えたことはありますが、多分やらないですね。キャバクラでも回数を重ねてようやく萎縮しないようになったくらいですから。その先は、まだちょっと私には過激すぎると言いますか……」
パワハラセクハラ常習犯の飯田でも、キャバクラよりも過激な店には部下は誘わない。
飯田なりに線引きはしているのだろう。
部下を付き合わせるのは楽しいお酒と会話を主目的とする店までのようだ。
「それに、お店で初めてを経験してしまうというのも、ちょっとどうかなって気持ちがあります。初めては好きな人と、なんて子供っぽいとは思ってるんですけどね……」
「いえ、そんなことありません。とっても素敵な考えだと思います……」
「ははっ、素敵まで言われてしまうとちょっと照れてしまいます……ね……」
「……」
ツキがこちらを見ている。
熱っぽく、濡れた瞳で。
お酒も飲んでいないのに上気した頬で。
ツキが、俺の下腹部を見ている。
「つっ、ツキさん……?」
「えっ? …………っ!?!?」
言われて気づいたのか、ツキは慌てて背を向けると顔を両手で覆った。
背を向けるのなら顔を覆う必要はないと思うのだけれど、気持ちの問題だろうか。
「すっ、すすすすみません!! わっ、私、なんてことをっ!」
「いっ、いえ、大丈夫ですよ。私も散々ツキさんにしてしまったことですから」
見られている側からするとあんなにわかりやすいとは。
これからは視線にはより一層気をつけることにしよう。
「本当にすみません……。その……話の流れで、つい……意識してしまって……」
「っ……!」
ツキは言い訳をしただけなのだろう。
しかし、ツキのような可愛い子を前にして、童貞というのは本当に無力だ。
それを意識されていたというのを意識しただけで、反応してしまって――
ツキはどんな感情でそれを見ていたのか、なんて考え始めてしまって――
「ああ、もう……ほんと、私何やってるんだろう。失礼しました、アキラさ――」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!!」
「え?」
「いや、えと……ま、まだツキさんの顔が赤いみたいなので、もう少し待ってからこっちを向いた方がいいかと思います」
「? そ、そうですか?」
ツキの声色は納得していなかったものの、それでも背を向けたままで手で顔を仰ぎ始めてくれた。
これはアルコールのせいということにしておこう。
些細なことで反応して大きくしてしまったことも。
まともな言い訳を思いつけなかったことも。
全部カルーアミルクのせいにしておこう。
ここみたいなお店、とは風俗営業店を指しているのだろう。
そういう意味なら、キャバクラには飯田の付き合いで頻繁に行っている。
ないとは思うが、オカマバーを指しているのであれば答えは真逆となる。
オカマバーなんて来たのは今日が初めてだし、好んで行こうとは今でも思えない。
このオカマバーエンジェルには通ってしまうかもしれないが、それもツキが在籍しているからだ。
オカマバー事態に魅力を感じているわけではない。
「キャバクラには上司との付き合いでそれなりに来ていますね」
「そうなんですね。では、結構慣れてたりするんですか?」
「どうでしょうか……。キレイな女性と話してても緊張はしなくなりましたけど、慣れてるとまでは言えないですかね」
「アキラさんはキレイな女性と話すのが苦手だったんですか?」
「いえまあ、キレイじゃなくても、女性と話すのは……その、経験が無いものですから」
「あっ……」
経験が無いから女性と話せないのか。
女性と話せないから経験が無いのか。
その答えは一生わからないだろうし、知りたくもない。
「すみません。私、また空気が読めてなかったですね……」
「いえ、大丈夫です。ツキさんの言葉のおかげで、気持ちはかなり楽になりましたから」
ツキが具体的にどう励ましてくれたかは都合良く忘れてしまった。
それでもツキが童貞を好意的に捉えているのは憶えている。
それだけで今日まで童貞だった意味があると思える、というのは少し大げさだけれども。
「あの……そういうお店で童貞を卒業することは考えなかったんですか?」
そういうお店、とは性的サービスの提供を主としているお店のことだろう。
「考えたことはありますが、多分やらないですね。キャバクラでも回数を重ねてようやく萎縮しないようになったくらいですから。その先は、まだちょっと私には過激すぎると言いますか……」
パワハラセクハラ常習犯の飯田でも、キャバクラよりも過激な店には部下は誘わない。
飯田なりに線引きはしているのだろう。
部下を付き合わせるのは楽しいお酒と会話を主目的とする店までのようだ。
「それに、お店で初めてを経験してしまうというのも、ちょっとどうかなって気持ちがあります。初めては好きな人と、なんて子供っぽいとは思ってるんですけどね……」
「いえ、そんなことありません。とっても素敵な考えだと思います……」
「ははっ、素敵まで言われてしまうとちょっと照れてしまいます……ね……」
「……」
ツキがこちらを見ている。
熱っぽく、濡れた瞳で。
お酒も飲んでいないのに上気した頬で。
ツキが、俺の下腹部を見ている。
「つっ、ツキさん……?」
「えっ? …………っ!?!?」
言われて気づいたのか、ツキは慌てて背を向けると顔を両手で覆った。
背を向けるのなら顔を覆う必要はないと思うのだけれど、気持ちの問題だろうか。
「すっ、すすすすみません!! わっ、私、なんてことをっ!」
「いっ、いえ、大丈夫ですよ。私も散々ツキさんにしてしまったことですから」
見られている側からするとあんなにわかりやすいとは。
これからは視線にはより一層気をつけることにしよう。
「本当にすみません……。その……話の流れで、つい……意識してしまって……」
「っ……!」
ツキは言い訳をしただけなのだろう。
しかし、ツキのような可愛い子を前にして、童貞というのは本当に無力だ。
それを意識されていたというのを意識しただけで、反応してしまって――
ツキはどんな感情でそれを見ていたのか、なんて考え始めてしまって――
「ああ、もう……ほんと、私何やってるんだろう。失礼しました、アキラさ――」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!!」
「え?」
「いや、えと……ま、まだツキさんの顔が赤いみたいなので、もう少し待ってからこっちを向いた方がいいかと思います」
「? そ、そうですか?」
ツキの声色は納得していなかったものの、それでも背を向けたままで手で顔を仰ぎ始めてくれた。
これはアルコールのせいということにしておこう。
些細なことで反応して大きくしてしまったことも。
まともな言い訳を思いつけなかったことも。
全部カルーアミルクのせいにしておこう。
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