57 / 149
追及偏
思考に耽りました
しおりを挟む
それはあまりにも軽い告白だった。
意を決さず。
緊張も照れもなく。
それこそ一緒にご飯を食べに行くくらいの気軽さで、ツキは告白してきた。
そもそも、先ほどからずっとツキの好意はだだ漏れだったのだから、今更硬くなるという方がおかしいのかもしれない。
「…………」
「……アキラさん?」
ツキの告白を受けることには全くと言っていいほどにリスクがない。
セックス無し。
キス無し。
別れてはいけないというような制約もなし。
そんなのは男友達との交友となんら変わらないのではないか。
強いて挙げるならば、周囲に言いふらされた場合にあいつはホモだと噂されるくらいだろうか。
「…………」
「……?」
リスクが無いのならば、ツキの告白は受け得だ。
ツキとの縁が続くことはこちらとしても嬉しいことだし、今日のような強引な性行為への誘いがなければ不満もない。
ここで機嫌を取っておくことも後々プラスに働くだろうし、別れ話を切り出してもツキはそれを拒否しないと言っている。
だから論理的に考えれば、ここはツキと付き合っておくのが無難だ。
それが最も良い選択肢だ。
それは、わかっているはずなのに――
「………」
「あのー、黙られるとちょっと困ってしまうんですけれど……」
理性はツキの告白を受けろと言っている。
しかし本能がその選択を受け入れることができなくて――
結果として、何も返せずに黙っていることしかできない。
肉体的接触が無いと、ツキを拒絶する理由が無くなってしまう。
セックスを理由にツキを拒絶することができなくなってしまう。
したがって、本能が告白を受け入れてくれない理由は肉体的理由ではなく、精神的理由ということになってしまう。
「アキラさーん……? おーい……?」
はたして、川崎翠は本当にバイセクシャル予備群なのか。
ツキの論を覆すことはできない。
少々極端な論理だけれども、それを真っ向から否定することは今の翠にはできない。
少なくとも、今この瞬間はアキラはバイセクシャルではないことは確かで――
『今バイセクシャルではないというだけで、アキラさんは私を拒絶するんですか?』
ツキの言う通り、
本能がツキと付き合うことを拒絶しているのはそれだけの理由なのだろう。
今までに男性と付き合ったことが無い、
男性に恋をしたことがないというだけで、
翠はツキを拒絶している。
だからきっと、
もしも切っ掛けがあれば、
簡単にバイセクシャルに目覚める可能性はあって――
「あんまり無視するんだったら、無視できないようにしちゃいますよー……♡」
その最大の切っ掛けが、今目の前に居る少年なのだろう。
意を決さず。
緊張も照れもなく。
それこそ一緒にご飯を食べに行くくらいの気軽さで、ツキは告白してきた。
そもそも、先ほどからずっとツキの好意はだだ漏れだったのだから、今更硬くなるという方がおかしいのかもしれない。
「…………」
「……アキラさん?」
ツキの告白を受けることには全くと言っていいほどにリスクがない。
セックス無し。
キス無し。
別れてはいけないというような制約もなし。
そんなのは男友達との交友となんら変わらないのではないか。
強いて挙げるならば、周囲に言いふらされた場合にあいつはホモだと噂されるくらいだろうか。
「…………」
「……?」
リスクが無いのならば、ツキの告白は受け得だ。
ツキとの縁が続くことはこちらとしても嬉しいことだし、今日のような強引な性行為への誘いがなければ不満もない。
ここで機嫌を取っておくことも後々プラスに働くだろうし、別れ話を切り出してもツキはそれを拒否しないと言っている。
だから論理的に考えれば、ここはツキと付き合っておくのが無難だ。
それが最も良い選択肢だ。
それは、わかっているはずなのに――
「………」
「あのー、黙られるとちょっと困ってしまうんですけれど……」
理性はツキの告白を受けろと言っている。
しかし本能がその選択を受け入れることができなくて――
結果として、何も返せずに黙っていることしかできない。
肉体的接触が無いと、ツキを拒絶する理由が無くなってしまう。
セックスを理由にツキを拒絶することができなくなってしまう。
したがって、本能が告白を受け入れてくれない理由は肉体的理由ではなく、精神的理由ということになってしまう。
「アキラさーん……? おーい……?」
はたして、川崎翠は本当にバイセクシャル予備群なのか。
ツキの論を覆すことはできない。
少々極端な論理だけれども、それを真っ向から否定することは今の翠にはできない。
少なくとも、今この瞬間はアキラはバイセクシャルではないことは確かで――
『今バイセクシャルではないというだけで、アキラさんは私を拒絶するんですか?』
ツキの言う通り、
本能がツキと付き合うことを拒絶しているのはそれだけの理由なのだろう。
今までに男性と付き合ったことが無い、
男性に恋をしたことがないというだけで、
翠はツキを拒絶している。
だからきっと、
もしも切っ掛けがあれば、
簡単にバイセクシャルに目覚める可能性はあって――
「あんまり無視するんだったら、無視できないようにしちゃいますよー……♡」
その最大の切っ掛けが、今目の前に居る少年なのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる