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親睦偏
振り返りました
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淡い好意を寄せていた相手であるツキ。
ツキは少女然としていて。
オカマバーという夜の店の従業員としては異質で。
そんなツキに惹かれていて。
ツキと出会った次の日、目を覚ますと隣には裸のツキが居た。
状況を見れば、ツキと性行為を行なったのは一目瞭然だった。
何か事情があっただけで何もなかったと強がっていた時もあったが、そんなわけがない。
ツキの態度もいかにもナニかがあったという様子で、
酔った勢いで出会ったばかりの相手に童貞を捧げてしまったとショックを受けていたけれども、
結局はツキの工作だったらしい。
ツキ曰く、童貞では無いと勘違いさせることで躊躇を無くさせて抱かせるという作戦だったとかなんとか。
まるで悪意を煮詰めて固めたかのような思考だが、その根底にあるものは好意なのだからタチが悪い。
ただ、ツキの工作自体が嘘という可能性もある。
本当はもう童貞ではなくなっているのに、嘘の希望を見せることで反応を楽しんでいる可能性はある。
状況を信じるならば、翠はもう童貞ではない。
ツキを信じるならば、翠はまだ初めてを保てている。
ツキの隣で目を覚ました直後ならば何かしらの状況証拠も探せたかもしれないが、今となってはツキの証言しかあてにできるものがない。
『アキラさんが信じたい方を信じるべきじゃないですか?』
昨日のツキの言葉。
全くもってその通りだ。
童貞なんてのは結局は当人の心の持ちようだ。
初めては好きな人と、なんて理想を捨てられない男は、
都合の悪いことには目を瞑っているのがきっとお似合いだ。
結論としては、川崎翠は未だ童貞であるということでいいだろう。
残念なことに、まだ幼い理想を叶えられるチャンスがあるということだ。
そしてツキの言葉を信じたばかりだが、ツキ当人はとても信用のおける人物では無かった。
ツキは翠と同性だった。
つまりは男性だった。
その股間には男性器が付いていて、興奮時にはとても良く機能していた。
それだけならまだいい。
オカマバーに勤務している時点で、それは予測できていたことだ。
問題は、ツキは意図的に少女だと誤解するような振る舞いをしていたということだ。
あれではまだ筋骨隆々としたオカマであるちひろたちの方がマシだ。
最初から男だとわかっていれば、そもそもホテルに行くことも……
『……やっぱり、私が男だからですか?』
思い起こされるのは、ツキの悲しげな顔。
あれは演技だったはずだ。
哀れみを誘って、油断させて、結果として翠は後ろから襲われて拘束された。
その後のツキの態度からも、ツキの本性は性に奔放な性格で、むしろ男として拒絶されるほどに興奮を覚えていて……
でも、ツキの性格が昔からそうだったのかどうかは定かでは無くて。
もしかしたら、ツキが心ない言葉によって傷ついた過去もあったのかも知れなくて。
「……いや、なんでツキの味方してるんだよ」
ツキと敵対しているというわけでもないが、ツキにひどいことされてきたのは間違いない。
拘束されたし、セクハラでは済まされない性的加虐を受けている。
だから、ツキのことは恨みこそすれ同情や謝罪の感情を持つなんてありえないはずなのに。
それなのに、ツキを憎むことも嫌いになることも、どうにもできそうにない。
「……顔がいいってのは得だよな、ほんと……」
女性と比較してみても、ツキの顔は可愛らしい。
というか、あまりに翠の好みだ。
成人を迎えているとは思えないようなあどけなさ。
守りたくなるような可憐さ。
そこにあんな演技をされれば、そりゃ童貞はイチコロだろう。
ツキが童貞で承認欲求を満たすのもわかるというものだ。
そして、そんなツキは己の欲を満たすだけに留まらず、翠の中身までぶち壊そうとしている。
ツキは少女然としていて。
オカマバーという夜の店の従業員としては異質で。
そんなツキに惹かれていて。
ツキと出会った次の日、目を覚ますと隣には裸のツキが居た。
状況を見れば、ツキと性行為を行なったのは一目瞭然だった。
何か事情があっただけで何もなかったと強がっていた時もあったが、そんなわけがない。
ツキの態度もいかにもナニかがあったという様子で、
酔った勢いで出会ったばかりの相手に童貞を捧げてしまったとショックを受けていたけれども、
結局はツキの工作だったらしい。
ツキ曰く、童貞では無いと勘違いさせることで躊躇を無くさせて抱かせるという作戦だったとかなんとか。
まるで悪意を煮詰めて固めたかのような思考だが、その根底にあるものは好意なのだからタチが悪い。
ただ、ツキの工作自体が嘘という可能性もある。
本当はもう童貞ではなくなっているのに、嘘の希望を見せることで反応を楽しんでいる可能性はある。
状況を信じるならば、翠はもう童貞ではない。
ツキを信じるならば、翠はまだ初めてを保てている。
ツキの隣で目を覚ました直後ならば何かしらの状況証拠も探せたかもしれないが、今となってはツキの証言しかあてにできるものがない。
『アキラさんが信じたい方を信じるべきじゃないですか?』
昨日のツキの言葉。
全くもってその通りだ。
童貞なんてのは結局は当人の心の持ちようだ。
初めては好きな人と、なんて理想を捨てられない男は、
都合の悪いことには目を瞑っているのがきっとお似合いだ。
結論としては、川崎翠は未だ童貞であるということでいいだろう。
残念なことに、まだ幼い理想を叶えられるチャンスがあるということだ。
そしてツキの言葉を信じたばかりだが、ツキ当人はとても信用のおける人物では無かった。
ツキは翠と同性だった。
つまりは男性だった。
その股間には男性器が付いていて、興奮時にはとても良く機能していた。
それだけならまだいい。
オカマバーに勤務している時点で、それは予測できていたことだ。
問題は、ツキは意図的に少女だと誤解するような振る舞いをしていたということだ。
あれではまだ筋骨隆々としたオカマであるちひろたちの方がマシだ。
最初から男だとわかっていれば、そもそもホテルに行くことも……
『……やっぱり、私が男だからですか?』
思い起こされるのは、ツキの悲しげな顔。
あれは演技だったはずだ。
哀れみを誘って、油断させて、結果として翠は後ろから襲われて拘束された。
その後のツキの態度からも、ツキの本性は性に奔放な性格で、むしろ男として拒絶されるほどに興奮を覚えていて……
でも、ツキの性格が昔からそうだったのかどうかは定かでは無くて。
もしかしたら、ツキが心ない言葉によって傷ついた過去もあったのかも知れなくて。
「……いや、なんでツキの味方してるんだよ」
ツキと敵対しているというわけでもないが、ツキにひどいことされてきたのは間違いない。
拘束されたし、セクハラでは済まされない性的加虐を受けている。
だから、ツキのことは恨みこそすれ同情や謝罪の感情を持つなんてありえないはずなのに。
それなのに、ツキを憎むことも嫌いになることも、どうにもできそうにない。
「……顔がいいってのは得だよな、ほんと……」
女性と比較してみても、ツキの顔は可愛らしい。
というか、あまりに翠の好みだ。
成人を迎えているとは思えないようなあどけなさ。
守りたくなるような可憐さ。
そこにあんな演技をされれば、そりゃ童貞はイチコロだろう。
ツキが童貞で承認欲求を満たすのもわかるというものだ。
そして、そんなツキは己の欲を満たすだけに留まらず、翠の中身までぶち壊そうとしている。
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