上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

親睦偏

起きました

「……今何時？」
「朝の８時です♪」
「……早くない？」
「めちゃはやです♪」
「……なんで？」

　確か、昨日時点では昼の約束だったはずだ。

「サプライズです♪」
「……頼んでない」
「それがサプライズですから♪」
「……２時間後にまた来て」
「いやでーす♡」
「……」

　脳はまだまだ寝たがっているけれど、ツキはもうこれ以上寝かせてくれそうにない。
　休日は惰眠を貪るのが常だったけれども、こうなっては仕方あるまい。

「……たまには早起きするか」
「全然早起きじゃないですけどね」
「……ん」
「なんですか？　あっ、手握って欲しいんですか？」
「合鍵……渡せ」
「えー……」
「ほら」
「むー……」

　布団から出した手には一向に何も乗せられない。
　ツキは素直に鍵を渡すつもりはないようだ。

「だめだって……ほら……渡せ……」
「そんなむにゃむにゃした状態で言われてもなー……。ほら、ちゃんと起き上がってくださいよ。鍵を渡してほしかったら、私の体をまさぐって、無理やり奪ってください……♡」
「……無理」
「無理じゃないですよ！　ほら、ほらほら、カモン！」
「……じゃあいい」
「えーっ！　なんでですか！　鍵渡したままでいいんですか？　ほらほら、布団から出てきてくださいよ♪」
「いや、今は無理……もうちょい待って……」
「えーっ？　なんでですか？　もう完全に起きてますよね？」
「そうだけど……まだ布団からは出れない……」
「んー……？　そんなに寒くもないと思うんですけど、なんでそんな…………あっ♡」

　ツキの口が三日月型に歪む。
　どうやら気づかれてしまったらしい。

「もうーっ、アキラさんは仕方ない人ですね……♡　それじゃ、お邪魔しまーす♡」
「ちょっ、入ってくんな！」
「遠慮しなくていいんですよ♡　アキラさんも男の人なんですから、朝はお辛いですよね……わかりますよ♡　だから私に任せてください♡」

　何を任せろと言うのだろうか。
　理解したくもないが、少なくとも男の朝に共感できてしまう人には任せたくないとは思う。

　絶対に。

「ほらほら♡　そんなふにゃふにゃな抵抗じゃ私は止められないですよー♡　スッキリしちゃいましょうねー♡」
「っ……だーっ、もうっ！」
「え？」

　背に腹は代えられない。
　このまま侵入を許してはツキに何をされるかわかったものじゃない。

　何とか気合を入れて体を起こし、布団から立ち上がった。

「…………」
「……なんだよ、その反応は。別に、もう前にも見てるだろ」

　ツキは翠の体の一部を見つめたまま硬直していた。
　まるで純情な乙女のような反応はあまりにツキらしくない。

「そうですけど……ここまで堂々とされると、なんか……」
「なんか……？」
「……これからこれでお前を犯すぞって宣言されてるみたいで……メスになっちゃいそうです……♡」
「……メスに失礼なことを言うんじゃない」