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親睦偏
ブティックを巡っています
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「ちょっと、お化粧直しに行ってきますね……♡」
早々に下着の会計を済ませて、一直線に男子トイレへ向かったツキ。
店の近くに設置されたベンチに座って待っていると、ツキは5分程度で戻ってきた。
「お待たせしました……いかがですか、アキラさん……♡」
「……化粧直しに行ってた割には早いな」
「えへへっ……わかってるくせに……♡」
「何がだよ……」
「今、アキラさんの選んでくれた下着履いてるんですよ? 童貞さんの好きそうな、白くて、フリフリの、とっても可愛いやつ♡」
「いや、見えてないんだからわかるわけないだろ」
「さすがにここじゃ履いてる姿は見せられないですよ……そういうのは、ホテルで……ね♡」
「さいですか……」
「自分で選んだ下着を履かせるなんて、俺の女にしてやったって感じですか……♡」
「そんなことは微塵も思ってないし、ツキが選ばせたんだし、勝手に履いてきたんだろ」
「はい、そうです♡ もう身も心も、アキラさんに調教されて奴隷にされちゃってるんです、私……♡ 体が疼いて、勝手にご奉仕しちゃうんです……♡」
「それなら、俺の言うことを少しは聞いてくれよ……」
「あ~これも可愛いなぁ♡ 買っちゃおうかな~♡」
「……」
「アキラさん、大丈夫ですか? 荷物重くないですか?」
「まだ大丈夫だけど……。でも、まだ買うのか?」
スポーティ。
清楚系。
カジュアル。
セクシー系。
その他翠では分類できない様々なジャンル。
ブティックをはしごしながら、ツキは見境なく服を購入していた。
今手に取っているワンピースを買えば、20着目になるだろうか。
「まだまだ買いますよ♪」
「そうなのか……」
「アキラさん、こっちとこっち、どっちが可愛いと思いますか?」
そう言ってツキは左右に持った服を交互に体に当てて見せた。
右手には清楚系のワンピース、左手にはキレイ系のワンピースを持っている。
「……両方かな」
「じゃあ、どっちも買っちゃいますね♪」
「……」
これは、翠にも非があるのだろうか。
お世辞を言っているわけでもないし、ツキにお金を使わせたいわけでもない。
ただ、本当にどちらもツキに似合うと思っているだけなのだが。
「そんなに服を買ってどうするんだ? そこまでの量となると、2,3回も着たらシーズン変わっちゃうだろ」
「いいんですよ、それでも……私の可愛いは、もうすぐ終わっちゃうんですから」
「……え?」
「だから、今の内にたくさん可愛い服を着ておきたいんです……えへへっ……」
その顔は以前にも見たことがあった。
いつものツキらしくない、憂いを帯びた陰のある表情。
それは確か、ツキとの2回目のホテルでのことで――
『でも、そんな人だって心の内では色々悩んだりしてるんですよ。
むしろ、そういう人の方が、心の中はぐちゃぐちゃだったりするかもしれません』
脳裏に思い出されたツキの言葉が、頭の中で重く反響していた。
早々に下着の会計を済ませて、一直線に男子トイレへ向かったツキ。
店の近くに設置されたベンチに座って待っていると、ツキは5分程度で戻ってきた。
「お待たせしました……いかがですか、アキラさん……♡」
「……化粧直しに行ってた割には早いな」
「えへへっ……わかってるくせに……♡」
「何がだよ……」
「今、アキラさんの選んでくれた下着履いてるんですよ? 童貞さんの好きそうな、白くて、フリフリの、とっても可愛いやつ♡」
「いや、見えてないんだからわかるわけないだろ」
「さすがにここじゃ履いてる姿は見せられないですよ……そういうのは、ホテルで……ね♡」
「さいですか……」
「自分で選んだ下着を履かせるなんて、俺の女にしてやったって感じですか……♡」
「そんなことは微塵も思ってないし、ツキが選ばせたんだし、勝手に履いてきたんだろ」
「はい、そうです♡ もう身も心も、アキラさんに調教されて奴隷にされちゃってるんです、私……♡ 体が疼いて、勝手にご奉仕しちゃうんです……♡」
「それなら、俺の言うことを少しは聞いてくれよ……」
「あ~これも可愛いなぁ♡ 買っちゃおうかな~♡」
「……」
「アキラさん、大丈夫ですか? 荷物重くないですか?」
「まだ大丈夫だけど……。でも、まだ買うのか?」
スポーティ。
清楚系。
カジュアル。
セクシー系。
その他翠では分類できない様々なジャンル。
ブティックをはしごしながら、ツキは見境なく服を購入していた。
今手に取っているワンピースを買えば、20着目になるだろうか。
「まだまだ買いますよ♪」
「そうなのか……」
「アキラさん、こっちとこっち、どっちが可愛いと思いますか?」
そう言ってツキは左右に持った服を交互に体に当てて見せた。
右手には清楚系のワンピース、左手にはキレイ系のワンピースを持っている。
「……両方かな」
「じゃあ、どっちも買っちゃいますね♪」
「……」
これは、翠にも非があるのだろうか。
お世辞を言っているわけでもないし、ツキにお金を使わせたいわけでもない。
ただ、本当にどちらもツキに似合うと思っているだけなのだが。
「そんなに服を買ってどうするんだ? そこまでの量となると、2,3回も着たらシーズン変わっちゃうだろ」
「いいんですよ、それでも……私の可愛いは、もうすぐ終わっちゃうんですから」
「……え?」
「だから、今の内にたくさん可愛い服を着ておきたいんです……えへへっ……」
その顔は以前にも見たことがあった。
いつものツキらしくない、憂いを帯びた陰のある表情。
それは確か、ツキとの2回目のホテルでのことで――
『でも、そんな人だって心の内では色々悩んだりしてるんですよ。
むしろ、そういう人の方が、心の中はぐちゃぐちゃだったりするかもしれません』
脳裏に思い出されたツキの言葉が、頭の中で重く反響していた。
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