上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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親睦偏

セックスはしていますか?

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「…………セックスは?」

 つい訊いてしまった。
 訊かずにはいられなかった。
 ツキの語るデリヘルの仕事の中には、まだそれは出てきていなかったから。

 もしかしたら、と。
 まだ、と。
 淡い希望を捨てられない自分が居たから。

 しかし、きっとそれは訊くべきではなかった。

 仮にセックスをしていなかったとしても大差はないんだし――
 そもそもセックスをしていないわけがなかったし――

 ――ツキが今、とても意地の悪そうな顔をしているから。

「気になります? 気になっちゃいます? ねえ、アキラさん? 私がお仕事でセックスしてるのかどうかが気になって仕方が無い感じですか? そうですよねー……だって、私はアキラさんのことが好きなんですから。そんな子が実は他の人とセックスしまくりだったら嫌ですよねー……♡ 俺だってまだしてないのにって、付き合ってるわけでもないのに寝取られたみたいな感覚になっちゃいますよね……♡」
「っ……」
「……大きくしたらだめですよ? アキラさんが寝取られで歓んじゃう人だったら、それこそ歯止めが効かなくて……バッドエンド直行ですから♡」

 ツキの心内は全くわからない。

 どちらを望んでいるのか。
 何を考えているのか。

 情報は次々と開示されているのに。
 わからないことが増えるばかりで。

 もう、自分の気持ちすらもわからなくなりそうだ。

「えへへっ♡ いい顔してますねー……♡ 実はですよ、アキラさん……デリヘルって、基本的にセックス禁止なんですよ?」
「え……?」
「知りませんでした? 知りませんでしたよね? 逆に知ってたら驚いちゃいますから。利用したことないのに、なんでそんなの知ってるんだって」

 ツキに嘘を言っている様子はない。
 そんな調べればすぐにわかりそうなことで嘘を吐く意味も無い。

 それなら。
 もしかしたら。
 ツキは、本当は――

「でもー……♡」

 それは満面の笑顔だった。

 凶悪で。
 淫蕩で。

 獲物に牙をかけんとする獣のような。
 獲物の精を貪らんとする淫魔のような。

「あくまで禁止されているのって、男性器と女性器の交わりなんですよねー……♡ 言っている意味、わかりますか? ……わかりますよね♡」

 ツキは男性だ。
 どれほど見た目が可憐であろうと、その体の性別は男だ。

 そして、先ほどツキは言っていた。
 ツキのお客さんはその殆どが男性であると。

 つまりは、ツキと客の間ではセックスは禁止されていないも同然ということなのだろう。

 禁止されていないだけで、まだしているかどうかは別の話。
 そんな吹けば飛ぶような考えも浮かんだが、口にする気は起きなかった。

 可能性は0ではないけれど。
 そもそも、ツキの顔が先ほどから真実を語っている。

 ツキは今までに数えきれない人間と交わってきているのだと。

 翠と出会う前から。
 本業と言っているのだから、おそらくは翠と出会った後も。
 もしかしたら昨夜だって、ツキは誰かに抱かれていたのかもしれなくて――

「はー……♡ アキラさんの顔見てたら体が熱くなってきちゃいました、私……♡」

 そして、ツキはそれを目一杯に楽しんでいる。
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