上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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親睦偏

泣き止みました

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「……ごめんなさい」

 翠の下ですんすんと泣き続けていたツキ
 照れくさい頭なでなでの甲斐も虚しく、ツキはしばらくの間泣き止まなくて。
 ようやく泣き止んだかと思えば、耳に届いたのは謝罪だった。

「まだ謝るのか……」
「だって……」
「まったく……せっかく俺ので可愛く鳴かせてやろうと思ってたのに、そっちの泣きは予想していなかったな」
「……」
「……」

 下ネタなんて言う性格でもないのに。
 ツキがあまりに落ち込んでいるものだから調子が狂って、つい口が滑ってしまった。

 ツキにはスルーされるし、場も凍り付くし、今すぐ逃げ出したい気分だ。
 というか、いつもは下ネタマックスなツキなのだから何かしらの反応をして欲しかった。

「アキラさんが初めてです……」
「……それは、ツキが涙を見せたのがか?」
「セックスの最中にクソ寒いギャグで私の気分も体も萎えさせたことがです」
「あ、そう…………すいませんでした……」
「くすっ……」

 ツキの唇から漏れ出た吐息が耳をくすぐった。
 クソ寒い下ネタのおかげで、ツキは笑顔を取り戻してくれたらしい。

 ツキにはどんな表情よりも笑顔が似合うと思う。
 どんな時でも、ツキには自然と笑顔になれるような気持ちでいて欲しい。
 翠のために泣いてくれるのも嬉しいけれど、笑ってくれるのなら寒いギャグの1つや2つくらい安いものだ。

「私の涙なんて、色んな人が見ていますよ。ひどいことされるの好きですから……いっつも泣くまでいじめられちゃうんです」
「……」
「あっ……もしかして今、嫉妬してます? アキラさんとこんなことしてる最中に、別の男の人の話したから」
「……別に?」
「こういう時は素直に嫉妬してるって言ってくれた方が、私は嬉しいですよ? 束縛されてる感じがして……♡」
「……調子、戻ってきたみたいだな」

 まだテンションは落ち着いているけれど、声は段々と元気を取り戻している。
 普段の天真爛漫なツキよりも、落ち着きのある今の方が可愛いとか言ったらまた泣いてしまうだろうか。

「そうですね……アキラさんには泣かされちゃいましたけど、同時に愛してくれてもいますから。アキラさんの全部がダイレクトに伝わってきて……ああ、この人は本当に私のことが好きなんだなって思ったら、涙も引っ込んできちゃいました……」
「いや、そんなツキが言うほどではないけど……」
「照れてるんですか? 嘘吐いたってだめですよ……。体温も、鼓動も、息遣いも感じ取れて……その上粘膜が触れ合ってるんですもん。ぜーんぶ、包み隠さず伝わっちゃいますよ……♡」

 ツキの手が背中に回ってきて、抱き寄せられた。

「っ……」
「はぁっ……♡」

 密着する胸板。
 互いの体を伝導する体温。
 互いの耳に吹きかけられる吐息。
 互いの心臓に響き合う鼓動。
 
 確かにツキの言う通り、これでは嘘なんて吐けそうになかった。
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