上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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エピローグ

ふたりの関係

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「はい、召し上がれ♪」
「いただきます」

 部屋に上がりこんできた日は、ツキはいつも夕食を作ってくれる。
 おかげで翠のQOLは上がってきており、次の健康診断でも良い結果を期待できることだろう。

 献立から性欲が透けて見えているのが少々瑕だが、作ってもらっている立場なので文句は無い。

「美味しいですか?」
「うん、今日も美味い」
「えへへ~♪ 今日もたくさん食べて、たくさん出しましょうね♡」
「……」

 あの日以降。
 初めてツキと体を重ねた日から、ふたりの関係はあまり変わっていない。

 セックスをするようにはなったものの、それだけだ。
 正式に交際を始めたとか、将来の話をしたとか、そういったことは全くない。

 翠が童貞でなくなった後も足繁く通ってくれていることから、進展自体はしているのだろう。
 しかしこうして食事を作ってくれるのも、いっしょに出かけるのも、体を重ねる前にもしていたことだ。

 今のふたりの関係を形容するのであれば、『セフレ』になるだろうか。
 セックスが目的の関係でもないし、『セックスもする友達』の方が正しいかもしれない。

 状況だけを見れば、翠はツキの恋人と言えるのだろう。
 ツキは今も複数の男性と関係を持っているが、それはあくまで仕事上の話である。
 翠がツキにとって特別な人であるというのは、さすがに自意識過剰ではないはずだ。

 問題なのは、その特別な人の意味だ。
 ツキは翠との関係をどう捉えているのだろうか。

「……ツキ」
「? しょうゆですか?」
「いや、別にしょうゆをかけたいわけじゃない。ただ……」
「ただ?」
「……いや、何でもない」

 ふたりは恋人か。
 セフレか。
 友達か。

 この関係の先に何が待っているのか。
 ツキは翠に何を望んでいるのか。

 結婚か。
 都合の良い体だけの関係か。
 末長い交友か。

 何でもいい。
 何を望まれていたとしても、覚悟はとっくに決まっているのだから。

 ツキが自身の生き方を見つめ直してくれた時に、翠の思いは報われている。
 可愛いに依存して生きていくことに躊躇してくれただけで、翠の愛は果たされている。

 今度はツキの思いに翠が応える番なのだ。
 そして、ツキを急かすつもりもない。

 いつか、それとなくでも、その意思を示してくれればそれでいい。

「ん~♪ 我ながら今日の食事は美味しくできましたねー。このカキフライとか、めっちゃ美味しくないですか?」
「ああ、毎日食べたいくらいだな」
「えっ……それって、愛の告白ですか……♡」
「そう捉えてもらってもいいよ……ツキがそう思いたいのなら」
「どきんっ……♡ やだっ……でも、私……」
「……」
「毎日アキラさんに抱かれちゃったら……もうベッドの上でしか生きられなくなっちゃいそう……♡」
「……いや、まったくもって意味わからないぞ、それ」

 その内別れを切り出されるか。
 それとも自然とフェードアウトしていくのか。

 いずれ告白されるか。
 それとも成り行きで一生を共にするのか。

 ツキとの関係がどんな結末になるにせよ受け入れよう。
 どんな最後であっても、ツキが幸せに笑えるのならそれでいい。

 ただ一つ望むとすれば――

 ――ツキに嫌われるような未来だけは、避けたいものである。
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