R18二次創作が禁止されたオタクたちの行く末を憂う

papporopueeee

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終わりの終わり

 会議室の半分ほどを巡ったところで、周りがざわつき始めた。
 周囲を観察すると、皆が一様にスマホを凝視している。

 ガチャの更新でもあったのだろうか。
 そう思いゲームを起動すると、画面いっぱいに表示されるお知らせ。

「……なっ!?」

 普段から文字が読めないだなんて揶揄されるほどお知らせを読まない俺たちユーザー。
 そんな俺たちでも決して無視できない文言がそこには書かれていた。

「きゃっ……キャラの削除!?」

 ゲームに登場する中でもそれなりに人気のあったキャラクター。
 そのキャラクターがゲームから削除されると、お知らせには書かれていた。

「な……なんでそんな……?」

 長い長いお知らせのその文章。
 隅から隅まで書かれた遠回しなその文面を要約すると、理由は簡潔だった。

”対象キャラクターのR18同人誌が公開されていたため”

 それは信じられない言葉だった。
 このゲームがR18二次創作を禁止しているのは周知の事実だ。

 だから俺たちはオフラインでこうやってこそこそ集まっている。
 ビクビクしながら、スケベブックを交換している。

 それなのに、いったい誰が公開なんて……。

 SNSで検索してみると、その答えはいとも簡単に見つかった。

 無断転載だ。
 違法アップロードサイトにR18同人誌がアップされていたのだ。

「くっそ……!」

 やりきれない。
 これでは俺たちはなんなんだ。
 少しでも企業に迷惑をかけないようにと、努力しているのに、これじゃあ……!

「…………え?」

 何気なく視線を振ると、同人誌が目に入った。

 それはこの会議室内で頒布中の同人誌で。

 それは件の無断転載された同人師で。

 サークル主は声を押し殺して泣いていた。

 個人で楽しんでいるだけなら。
 描いた作品を自分一人だけで楽しんでいればきっとこんなことにはならなかった。

 俺には彼を責められない。
 責めることなんて、できるわけがない。

 俺たちは、同じ穴のムジナだ。

「っ……くっ!」

 見ていられない。

 もしも自分が同じ目に遭ったらと思うと、こんな場所にはとても居られない。

 帰ろう。
 とにかく今日は帰って、そして今度こそ一人だけで、個人の範囲内であれば何も問題は――

「あー、いたいた。ねえ、ちょっと待ってくださいよ」

 肩を誰かに掴まれた。

 振り返ってみれば、そこにはスケベライブ映像のサークル主が立っていた。

「な、なんですか?」
「その鞄のキーホルダー、あなたの推しカプですよね。実は僕も同じカプを推してるんですよ。いやー、マイナーなカプを好きになっちゃうと苦労しますよね。表ですら全然作品ないでしょ? だから機会を逃したくなくて……ぜひ作品を交換しませんか?」

 そう言って彼は目の前にスマホを差し出してきた。

 画面の中では推しカプがスケベな格好でライブをしている。
 一糸纏わぬ姿で、モザイクも無しに。
 頬染め差分まで……。



 会場を出た俺の手には、一枚のディスクが握られていた。
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