死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

文字の大きさ
17 / 84
初日:知らない誰かと、知っている筈の自分

考えるのは明るい未来

しおりを挟む
「くあぁ……やっぱそんなすぐには書き込みこねえなー……」

 大きく欠伸をすると抄はネコのように伸びを始めた。
 目からは涙が滲み出しており、まだまだ寝足りないという風体だ。

「お前今日一日中寝てたんじゃないのか?」
「いんや? タクが出かけた後すぐに起きた。で、部屋の掃除しといた」
「掃除?」

 言われて部屋を見渡せば、確かに床の隅で大きく育っていた埃の塊が消え、そこら中に落ちていた髪の毛も消えている。
 しかし棚の上やテレビの上には埃が積もっているので、抄の言う掃除とは床に掃除機をかけただけなのだろう。

「これから世話になるからな。掃除くらいは礼儀ってもんだろ」
「世話になるって、まさかここに住むつもりか?」

 抄が家に泊まったことは一度や二度ではないが、長期間の滞在などしたことはない。

「こんな姿で実家に帰れないしな。女性の家を渡り歩くとかもしたことあるけど、この姿じゃそれはできないし……ホテルに連泊できるような金もないから、取れる手段としては……」

 抄は少し考え込むと、ボクに向けて縋るような視線を向けた。

「な、なんだよ、その目は」
「俺に見ず知らずの男の家を渡り歩けって言うのか?」
「っ!」

 少しだけその姿を想像してしまって、ボクは慌てて思考を切り替えた。

「そ、そこまでは言わないけどさ……。でも、ここに住むのだって簡単な話じゃないだろ」

 一泊ならば問題はないが、住むとなると話は変わる。
 居住スペース、生活費、そしてなにより抄の現在の姿だ。

 今でさえまともに顔を見れないというのに住むだなんて……。
 正直、親友相手に間違いが起こっても不思議じゃない。

「じゃあパパでも作れっていうのか? 余裕だぞ、この見た目だったら。お小遣いもらいまくれるだろうからな。お前がそうしろと言うなら、俺は嫌だけどそうせざるをえなくなるぞ」
「いやでも急に二人暮らしは……」
「安心しろ、ちゃんと家賃は払う。一日一揉みでどうだ?」

 そう言って目の前の少女は胸を寄せて見せた。
 ブカブカのシャツでは、肌を隠すどころか谷間がむしろ強調されているような気さえする。

「それじゃあボクがお前のパパじゃないか!」
「おいおいパパって呼んで欲しいのか? その年でオヤジ趣味とは童貞は恐ろしいな」
「ああもう、好きにしてくれ」

 美人は三日で慣れると言うし、しばらく我慢すれば大丈夫だと信じるしかない。
 慣れる前にボクが死んでる可能性もあるが。

「安心しろって。その内バイトでも始めて自立するから」
「せめてボクが死ぬ前に頼むよ」
「それはつまり、あと数十年はニート生活が楽しめるってことだな」

 抄はいとも簡単にそう言ってみせた。
 微塵も冗談を言っているような様子はない。

「……もしもボクが生き永らえたなら、それでもいいよ」
「よし、じゃあ明日はいっしょに出かけるか」
「どうしてそうなるんだよ!」
「どうせ大学に行くつもりなんてないんだろ? だったら家にいるより外に出た方がまだ有意義だ」

 ショウの言うことも尤もらしくはある。
 家で出来ることは大抵外でも出来るのだから、外で情報収集した方がいいかもしれない。

「でもどこに行くんだよ。神社とか寺とか、もしくは教会?」
「俺の服を買うのに付き合ってくれ」

 ああ、この親友はなんて馬鹿らしいことを提案してくれるのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...