死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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一日目:いつものふたりで、いつもどおりに

初めての痛み

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「タクは知ってるか分からないけどさ……処女の女性には、処女膜があるんだよ」
「へえー……ってそれくらい知ってるよ!」
「いーや、わかってないね。タク、お前は知識としてはわかっていてもその本質を理解できていないんだ」

 抄はポテトを口の中に放り込むと、もう一本をその細い指でつまんだ。

「いいか? 処女の女性とセックスするってことはさ、その膜を破るってことなんだ。俺が……自分のチンコでさ」

 ポテトが赤いケチャップの海に沈んでいく。
 黄色の先端に赤くドロドロとしたソースが付着して、ぽたぽたとテーブルに赤が滴り落ちた。

「……言われなくてもちゃんとわかってるよ」
「そうか? 俺は……男だからわからないんだ」
「え?」
「初めてのセックスって……自分の体の一部を、内側を破られるのって、どれくらい痛いんだろうな」

 抄はつまんだポテトをボクの口の中にねじ込んできた。

 口の中に塩味と酸味が広がって、パサパサとした食感が水分を奪っていって。
 ボクはそれを簡単には呑み込めなかった。

「しかもさ、相手は医者とかじゃあないんだぜ。ただのどこにでもいる、特別な知識なんて一つもない男だ。それが、自分の肉をぶち破るんだ。なあタク、どう思うよ。そんなの、痛いに決まってるよな?」

 そう言って笑った抄の唇は小さく震えていて、顔色は青ざめている。

 自身が女性になってしまったことで、余計にリアルに想像してしまっているのかもしれない。
 処女を失う痛みを。

「つまり、ショウは処女膜を破るのが……相手に痛い思いをさせるのが怖いってことなのか?」
「怖い……もちろん怖い。でも、それ以上に嫌なんだよ。もう二度とあんな思いはしたくない」
「二度とって……経験があるってことか?」
「一回だけな。本当は怖かったから嫌だったんだけど、あまりにも食い下がってくるもんだから……勢いに押されてホテルに行っちまった。知ってるか、タク。女性って好きな人と裸で触れ合うと、ドーパミンが大量に分泌されて痛みを感じないんだってさ」

 乾いた吐息を零しながら、自重気味に笑う抄。
 それを見て、ボクは何も言えなかった。

「……そんなの嘘だって、誰だってわかるよなぁ。どうして抱いちまったんだろうなぁ」

 過去の後悔を吐露する姿は実物以上に姿を小さく見せ、過去を見る瞳はその大きな黒目を曇らせている。

「いざ始まってみれば、当たり前のようにその子は痛がってたよ。俺の体に爪を食い込ませて、綺麗な顔を歪めて、可愛いなって思ってた目からはボロボロ涙を流してた。悲鳴を漏らすまいと必死に耐えながら、悲痛なうめき声を耳元で囁いてくれてたよ」
「……」

 想像しただけのボクですら胸が苦しくなるのなら、張本人だった抄はどれほどの思いだったのだろうか。
 それを今、どんな気持ちで思い返して語ってくれているのだろうか。

「俺がよっぽどひどい顔をしてたんだろうな。その子は無理やりな笑顔を作りながら痛くないって言ってくれたよ。大丈夫、気持ちいい、嬉しいって。痛いのは自分だっていうのに、その子は健気にも俺を、微塵も痛みなんて感じていない男を気遣ってたんだ。血を体の内側から流しながらな……。それで俺は完全に折れた。後にも先にも俺が最後まで出来なかったのはその一回だけで、それから俺は処女相手にセックスはしないって決意を固くしたってわけだ」
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