死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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一日目:いつものふたりで、いつもどおりに

それは人を愛する行為

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「でもさ、交際する気がなくてもデートくらいはしても良かったんじゃないか? 向こうだって告白するのに勇気を振り絞ったのかもしれないし。デートしてみたらショウの気持ちが変わるってこともありえるだろ? 仮に相手が、しょ、処女だったとしても、ベッドまで行かなければ――」
「いや、セックスしないんだったらデートする意味ないだろ」
「……は!?」

 その様は冗談を言っているわけでもなく、頭がおかしくなったわけでもなく、当然の常識を語るようだった。

 ボクのただひとりの親友がこれほどまでに性欲に振り切れていたなんて……知りたくなかった。

「い、意味ないってどういうことだよ!」
「言葉通りの意味だけど。俺がナンパするのはセックスしたいからで、他意はないって。だから向こうにセックスする気がなかったらすぐ手を引くし、ナンパしたいから彼女は作らない。タクは驚いてるけど、ナンパする人間なんて頭の中まっピンクのそういうやつしかいないんじゃないか?」
「いや、確かに男が女性に声をかけるのは下心ありきなのかもしれないけど……それにしたってストレートすぎないか?」
「そうかー?」

 男同士の話だとしても、そこまで下衆な感情を開けっ広げにするものだろうか。
 デート=セックスだなんて、ボクには色々と刺激が強すぎる。

「いやだって……っ、セックスだぞ? 女性に声をかけるのはセックスしたいからですとかっ……そんな、そんなっ……あまりに軽薄すぎないか!?」
「逆に!」

 抄がビシっとボクに向けてポテトを突き付けてきた。
 しかし冷えて萎れたポテトはふにゃっと折れてしまっている。

「逆にだぜ。俺はタクがセックスを特別視しすぎていると思うけどな。一応言っとくけど、子作りじゃないんだぜ? 避妊はちゃんとしてるって」
「それは大前提だろ!」

 避妊せずに不特定多数とのセックスを繰り返していたら、それはもうサイコパスの領域だろう。

「だったら猶更だ。確かにセックスは互いに裸になるし、公衆の面前で出来ることではないし、何より急所を擦り合わせる行為だ。だけどそれだけなんだよ。明かりを消せば羞恥は軽減できる。公衆の面前でできないことはセックスだけじゃない。急所を擦り合うのだって、リスクを負って何かを得ると考えればそこまで特別じゃないだろ?」
「それは……そうかもだけど……」

 抄の価値観は、正直ボクには理解し難い。
 言っている事がわからない訳ではないし、抄の論に対してなるほどと頷ける部分もある。
 それでも、それをすんなりと受け入れる事ができないのは何故なのだろうか。

 セックスを気軽に申し込む抄も。
 それを承諾する女性がいるということも。
 ボクの中で常識として落とし込むことができない。

「でもやっぱり、仲を深めた男女ならまだしも、初対面の相手とそんな……」
「そこも逆なんだよ、タク。初対面だからこそ、セックスなんだ」
「どういうことだ?」
「いいか、セックスは繊細なコミュニケーションだ。さっきはああ言ったけど、裸になるのが恥ずかしくないわけじゃない。慣れてる俺だって、人前で衣服を脱ぎ捨てれば少しは身構えちまうんだよ」

 しょっちゅうボクの家で薄着になっている抄が言っても説得力はなかった。
 しかし抄は冗談を言っているわけでもなさそうなので、真面目な顔をして相槌をしておくことにした。

「セックスは握手や会話と同じカテゴリーなんだ。ただ、それらよりも難しく、代わりに深く相手を理解することができる。セックスはそういう行為なんだ。だから、初対面こそセックスなんだ」

 抄の態度は至って真面目だ。
 セックスはコミュニケーションの一つであると、熱を入れて力説している。

 ボクの気持ちもそれに動かされ始めている。
 もしかしたら抄の言葉の方が正しいのかもしれないと。

 ただ一つだけ言わせてもらえるのならば、ここはファミレスであり時間は昼間だ。

 何度も何度もセックスと口にするスーツ美少女は人目を集めており、先ほどからチラチラと見られていることに、抄は気づいているのだろうか。

「おい、聞いてるか? タク」
「っ!」

 抄は身を乗り出してボクに抗議の意思を示してきた。
 こっちを見て、こっちの話に耳を傾けろと。

 そんなことより、顔が近いよ……ショウ……。
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