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二日目:生まれて生きて、その先に
充実した一日
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「……頭おかしいんじゃねーの?」
「うるさいな! ボク達がゲームのキャラクターじゃないって証拠はないだろ!」
「じゃあ、俺たちキャラクターが死んで、その後プレイヤーも死んだらどうなるんだ?」
「……プレイヤーたちの世界では死という概念が存在しないのかもしれないし」
「なんだ、ただの現実逃避か。通りで荒唐無稽な考えだと思ったぜ」
「ぐぅ……」
何も言い返せなかった。
ほんの少しだけ頭お花畑な論だということは、ボクだって自覚しているのだ。
抄はやれやれという仕草でため息を吐くと、嗜めるような口調で話し始めた。
「死んだ後のことなんて考えても仕方ないって。どうせわからないんだからな」
「それでも気にはなるだろ? ……絶対に、人はいつかは死ぬんだから」
人は必ず死ぬ。
どんな人間であろうとその終着点には死が待っていて、それまでの過程や長さに個人差があるだけだ。
だからこそ、人は死後の世界に思いを馳せるのだろう。
必ず訪れる瞬間だから。
その瞬間まで詳細がわからないから。
だから、死は人の心を惹きつけて離さない。
「死んだ後のことを考えるより、今日をどう楽しく過ごすか計画した方が人生楽しめるって。人生楽しんでれば考える間も無く終わりが来て、死後のことなんてその時になってから考えればいい。だからさ、そういうのは老後にとっとけよ。きっと今の十倍は考えに深みが増す」
抄の言うことは間違っていない。
人生とは一日の積み重ねだ。
楽しい一日を積み重ねればそれは楽しい人生になり、二十年程度しか生きていない自分よりもよっぽど死後の思考にも意味が出てくる。
しかし、ボクにはそれを受け入れる事ができない。
楽しい一日を積み重ねれば楽しい人生になる。
では、無意味な一日を積み重ねているボクの人生はどうなるのか。
楽しんでいるわけでもなく、夢に向かって前進しているわけでもない。
ただ周りに流されて惰性で生きているボクは、死ぬその時にどんな結論を出すのか。
……考えたくもない。
そしてそれが分かっているのに、ボクは一日を変えようともしないのだ。
「なんだ、不満気だなタク。もしかして今楽しくないのか?」
「……どうかな。楽しいかもしれないけど、この一日が人生を豊かにしてくれるかって言うと……」
抄と遊んでいるのは楽しい。
それは間違いない。
でもそれは人生を豊かにするような楽しさじゃない。
そもそもボクは抄に楽しませてもらっているようなものだ。
主体的に一日を楽しく過ごせているわけではない。
死に際に笑うためには。
祖母のように微笑むためには。
もっと日々を充実させる必要があると思う。
「ふーん……。なあタク、ちょっと手を貸してみろ」
「手? なんで?」
「いいからほら」
差し出す間も無く、ボクの右手を抄の両手が包み込んだ。
「っ!」
そのあまりの小ささに思わず息を呑んだ。
伊那西拓の人生において、同年代の女子に手を握られるなんてことは今まで一度もなかった。
握り潰せてしまいそうな小ささも、触り心地の良い感触も、今この瞬間に初めて知った。
イチャつくカップルが人前で手を繋ぎたがるのが不思議だったが、今ならよくわかる。
人前だから繋ぎたくなるんじゃない。
周りに人がいようといなかろうと、手を繋ぎたいから手を繋ぐのだ。
人の心を盲目にするだけの魅力が、この行為には詰まっている。
親友相手だというのに、ボクは自身の体温が高まっているのを感じていた。
「……よっと」
「!?」
急に右手が引っ張られたかと思うと、ボクの指先がブラウスの胸元の隙間から中に差し込まれた。
フニフニとした存在が爪に当たって、更にズブズブと沈んでいく。
「あ、う……ぁ?」
自分が今何をしているのかわからない。
ただ本能が勝手に神経を指先に集中させ、頭の中では柔らかい感触が加速しながら駆け回ってループしている。
「……うん。よし、これでタクの今日一日は充実したって言えるな!」
「うるさいな! ボク達がゲームのキャラクターじゃないって証拠はないだろ!」
「じゃあ、俺たちキャラクターが死んで、その後プレイヤーも死んだらどうなるんだ?」
「……プレイヤーたちの世界では死という概念が存在しないのかもしれないし」
「なんだ、ただの現実逃避か。通りで荒唐無稽な考えだと思ったぜ」
「ぐぅ……」
何も言い返せなかった。
ほんの少しだけ頭お花畑な論だということは、ボクだって自覚しているのだ。
抄はやれやれという仕草でため息を吐くと、嗜めるような口調で話し始めた。
「死んだ後のことなんて考えても仕方ないって。どうせわからないんだからな」
「それでも気にはなるだろ? ……絶対に、人はいつかは死ぬんだから」
人は必ず死ぬ。
どんな人間であろうとその終着点には死が待っていて、それまでの過程や長さに個人差があるだけだ。
だからこそ、人は死後の世界に思いを馳せるのだろう。
必ず訪れる瞬間だから。
その瞬間まで詳細がわからないから。
だから、死は人の心を惹きつけて離さない。
「死んだ後のことを考えるより、今日をどう楽しく過ごすか計画した方が人生楽しめるって。人生楽しんでれば考える間も無く終わりが来て、死後のことなんてその時になってから考えればいい。だからさ、そういうのは老後にとっとけよ。きっと今の十倍は考えに深みが増す」
抄の言うことは間違っていない。
人生とは一日の積み重ねだ。
楽しい一日を積み重ねればそれは楽しい人生になり、二十年程度しか生きていない自分よりもよっぽど死後の思考にも意味が出てくる。
しかし、ボクにはそれを受け入れる事ができない。
楽しい一日を積み重ねれば楽しい人生になる。
では、無意味な一日を積み重ねているボクの人生はどうなるのか。
楽しんでいるわけでもなく、夢に向かって前進しているわけでもない。
ただ周りに流されて惰性で生きているボクは、死ぬその時にどんな結論を出すのか。
……考えたくもない。
そしてそれが分かっているのに、ボクは一日を変えようともしないのだ。
「なんだ、不満気だなタク。もしかして今楽しくないのか?」
「……どうかな。楽しいかもしれないけど、この一日が人生を豊かにしてくれるかって言うと……」
抄と遊んでいるのは楽しい。
それは間違いない。
でもそれは人生を豊かにするような楽しさじゃない。
そもそもボクは抄に楽しませてもらっているようなものだ。
主体的に一日を楽しく過ごせているわけではない。
死に際に笑うためには。
祖母のように微笑むためには。
もっと日々を充実させる必要があると思う。
「ふーん……。なあタク、ちょっと手を貸してみろ」
「手? なんで?」
「いいからほら」
差し出す間も無く、ボクの右手を抄の両手が包み込んだ。
「っ!」
そのあまりの小ささに思わず息を呑んだ。
伊那西拓の人生において、同年代の女子に手を握られるなんてことは今まで一度もなかった。
握り潰せてしまいそうな小ささも、触り心地の良い感触も、今この瞬間に初めて知った。
イチャつくカップルが人前で手を繋ぎたがるのが不思議だったが、今ならよくわかる。
人前だから繋ぎたくなるんじゃない。
周りに人がいようといなかろうと、手を繋ぎたいから手を繋ぐのだ。
人の心を盲目にするだけの魅力が、この行為には詰まっている。
親友相手だというのに、ボクは自身の体温が高まっているのを感じていた。
「……よっと」
「!?」
急に右手が引っ張られたかと思うと、ボクの指先がブラウスの胸元の隙間から中に差し込まれた。
フニフニとした存在が爪に当たって、更にズブズブと沈んでいく。
「あ、う……ぁ?」
自分が今何をしているのかわからない。
ただ本能が勝手に神経を指先に集中させ、頭の中では柔らかい感触が加速しながら駆け回ってループしている。
「……うん。よし、これでタクの今日一日は充実したって言えるな!」
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