死の間際、あなたは親友ですか?

papporopueeee

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最終日:朝焼けの中、涙を拭って微笑んで

死の淵にて、ふたり

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「ほんっっっとうに! バカだなお前は!」

 それは聞き慣れ始めた声で。

 それは聞き慣れた口調で。

 それは空から降って来た。

「ぐえっ!」

 彼女はボクの上から降ってきた。
 この建物で一番高い場所である屋上の更に上。
 出入り口の屋根から、ボクに向かって飛び降りてきた。

 不意を突かれたこともあり、というか正面から来られても無理ではあるのだが。
 とにかくボクは少女を受け止め切れずに屋上の床に叩きつけられた。

「~~っ、いっつうっ~~~……っ!」

 背中から腰にかけて熱を伴った痛みが広がる。
 息が詰まるような鈍痛は、情けなく声を漏れてしまうほどだ。

 なぜ、ボクは少女からボディプレスを受けているのか。
 頭の打ちどころが悪ければ死ね神に殺される前に死んでいたかもしれない。

「お、痛いか? 痛いってことはまだ生きてるな。死ね神の殺し方は安楽死だもんな?」
「お前、いきなりなにするんだっ――!?」

 ボクの抗議は始まりこそしたものの最後まで紡がれることはなく、少女によって塞がれてしまった。

 彼女は目を閉じている。
 仰向けに倒れるボクの上に乗っかっていて、その両手がボクの胸ぐらを掴んでいる。
 お互いの鼻先が肌に触れそうな程に近くて、でも、唇がつっかえてしまってこれ以上は近づくことができない。

「んっ……」
「……」

 その接触はとても短くて。
 ボクの脳内を真っ白に塗りつぶすのには十分だった。

『……』

 ゆっくりと目を開いた少女と視線が交差する。
 彼女の瞳に映るボクは何とも間抜けな顔をしていて。
 少女もどこか呆けたような表情をしていて。

 しばらく無言で見つめ合っていると、少女の小さな掌によって視線を遮られた。

「なっ、なにをっ……?」
「……こういうときは、目は瞑っておくもんだぜ?」
「んむっ!?」

 少女の吐息がボクの唇を撫でて、ぬるりとしたモノが口の中に入ってきた。

 抵抗する暇もなく。
 拒絶感情を起こさせる間もなく。
 ボクは、少女と深くキスをしていた。

 それは初めての経験で。
 それは予想外の展開で。
 何をしているのかも曖昧になるほどに。
 誰としているのかも気にならないほどに。
 意識がその行為だけに惹かれていく。

「んっ……あむっ、はむ……」

 粘ついた水音と、少しだけ興奮した少女の吐息。

 粘膜と粘膜が直接触れ合って、皮膚を介さない刺激が脳内へと次々に押し寄せてくる。

 何をすればいいのかもわからない。
 どうするべきなのかもわからない。

 ただ、ボクにも男としての矜持が一握りくらいはあったのかもしれない。
 されているだけなのを少しだけ情けなく感じて。
 ボクは口内で動き回るソレに向けて、恐る恐る舌を伸ばした。

「んぁっ!?」

 つついたのはほんの一瞬だけ。
 その一瞬の攻撃だけで、侵入者は一目散に退散していって、被さっていた手も離された。

 再び目が合うボクと少女。
 少女は呆気に取られた表情を浮かべていたが、やがて口を三日月形に歪ませ、ニマニマと笑いだした。

「な、なんだよ」
「いや? ただ少し驚いただけだよ」
「ボクはお前よりも驚いてるけどな」
「それでも、付き合ってくれる気持ちはあるってことだろ? うん、それは正解だよタク。マグロはよくない。前にも言った通り、こういうのはふたりで協力するのが大事だからな。ただ、もし少しでも主導権を握ろうって気持ちがタクにあったのなら……生意気」
「っ――!?」

 それから、ひたすらにボクの口内は犯された。

 性差による筋力差も、力が入らない状況にされてしまえば意味を為さない。
 男としての尊厳も、懐柔されてしまっては脆くなる。
 本気の抵抗も、する気が起きなければ出番が無い。

 少なくともこの分野においてはこの少女には敵わないのだと。
 ボクの体は蹂躙され、わからされてしまった。
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