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ゴブリン殲滅編
戦闘開始
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暗い洞窟の中の開けた空間で、焚き火を囲んでくつろいでいる集団。
子供と同じ程度の身長。
尖った形状をしている鼻と耳。
焚火に照らされる緑色の肌。
周囲には食い荒らした食料も散らばっており、ゴブリン達がこの洞窟に住み着いているのは間違いないようだ。
「ルマ、準備はいい?」
「うん、いつでもいいよ!」
松明の火に照らされるルマの不敵な笑み。
これから戦闘だと言うのに、まるで緊張感が無い。
ゴブリン相手とはいえ、命の危険が無いわけではないのに。
「気を引き締めて。油断して怪我なんかしたらどうするの?」
「ゴブリンの攻撃なんて当たらないもん。セイだってわかってるでしょ?」
ルマの笑顔からビシビシと伝わってくる自信。
本当は慢心を咎めないといけないのだけれども、頼もしさについ頬が緩みかけてしまう。
「と、とにかく! 少しでも危ないと思ったらすぐに退いてね!」
「はーい」
「ほんとに本当だからね! もう……そ、それじゃあ、皆様もよろしいでしょうか?」
「はい。我々はいついかなる時でも聖女様をお守りいたします……!」
静かな、けれども決意を秘めた声。
兵士長はもちろん、兵士たちからも強い意志が感じられる。
この熱くギラついた思いを受け止めるのは、いつまで経っても慣れる気がしない。
「そ、その信仰に全霊の感謝を……どうか、皆様の勇気に私の身体をくべさせてください。無事全てが終わった暁にはっ……そ、その勇気ある肉体に祝福を……」
「……!」
ごくり、と唾を飲み込む音が洞窟に響く。
皆が何を考えているのかはわかっていたけれども、敢えて触れないことにした。
意識しすぎてこれからの戦闘に支障が出ても困るから。
「ふぅ……じゃあ、お祈りをするねルマ」
「うん。祈って、セイ」
「――貴方の傷は私の身体に。私の生命は貴方の身体に。熱く、硬く、巡る血潮を鎧として、その肉体はあらゆるものを弾く――聖女が認め、聖女が祈ります――戦士の意志が尽きるまで戦えますよう、聖女の祝福をここに――貴方に、我が身を捧げます」
祝詞に込めるのは精一杯の祈り。
どうか無事に、怪我無く、ボクはどうなってもいいから、ルマだけは。
「――ちゅっ」
額に口付けると唇が触れた個所を中心に桃色の波動がズミの肉体に広がっていく。
ルマの肉体が祈りによるアーマーを纏った証だ。
「……いってらっしゃい」
「いってきまーす!」
元気よく走り出すルマ。
合わせて兵士たちが松明を投げ込んで視界を確保する。
「グギャァァァッ!!」
襲撃に気づいたゴブリン達が雄叫びを上げた。
しかし不意打ちでは武器を持つ暇も無く、一匹がルマに拳をそのまま振り上げる。
「ふっ!」
対してルマはスピードを緩めることなく、拳を避けながら脇を駆け抜けた。
「グギッ、イイィッ!?」
それだけで、ゴブリンは倒れてしまった。
すれ違いざま、ルマの持つナイフでほんの小さな創傷を作っただけで。
「アギャッ!? グッ、ギャッ!」
突然倒れた仲間に狼狽え始めるゴブリン達。
それをルマは両手に持ったナイフで1匹、2匹と切り倒していく。
ルマの浄化の力など知る由も無いゴブリンたちは恐怖と混乱を伝染させ、やがてパニックを引き起こした。
闇雲に武器を振り回すばかりで、ゴブリンの死体がどんどんと積み上がっていく。
「アギャアァァッ!!」
そして、逃げ出すゴブリンが表れ始めた。
一匹が逃げれば、それに釣られて次々と――
――大盾を構え、ボウガンを構えた兵士たちの方へと。
「おらぁっ!」
「くたばれ、ゴブリンども!」
大盾に進路を阻まれ、ボウガンを受け、ゴブリンたちが倒れていく。
青い血を流し、苦悶を漏らし、その命を散らされている。
「っ……」
正直に言うと、少し怖い。
普段は優しく敬虔な信徒である彼らの、その内に秘めた暴力性が怖い。
これはルマを、町を、自分を、大事な物を守るための戦いだとわかっている。
その為に奮起しているのだと、理解している。
それでも、その切っ先が自分に向けられる可能性が0では無いのだと、考えてしまう。
子供と同じ程度の身長。
尖った形状をしている鼻と耳。
焚火に照らされる緑色の肌。
周囲には食い荒らした食料も散らばっており、ゴブリン達がこの洞窟に住み着いているのは間違いないようだ。
「ルマ、準備はいい?」
「うん、いつでもいいよ!」
松明の火に照らされるルマの不敵な笑み。
これから戦闘だと言うのに、まるで緊張感が無い。
ゴブリン相手とはいえ、命の危険が無いわけではないのに。
「気を引き締めて。油断して怪我なんかしたらどうするの?」
「ゴブリンの攻撃なんて当たらないもん。セイだってわかってるでしょ?」
ルマの笑顔からビシビシと伝わってくる自信。
本当は慢心を咎めないといけないのだけれども、頼もしさについ頬が緩みかけてしまう。
「と、とにかく! 少しでも危ないと思ったらすぐに退いてね!」
「はーい」
「ほんとに本当だからね! もう……そ、それじゃあ、皆様もよろしいでしょうか?」
「はい。我々はいついかなる時でも聖女様をお守りいたします……!」
静かな、けれども決意を秘めた声。
兵士長はもちろん、兵士たちからも強い意志が感じられる。
この熱くギラついた思いを受け止めるのは、いつまで経っても慣れる気がしない。
「そ、その信仰に全霊の感謝を……どうか、皆様の勇気に私の身体をくべさせてください。無事全てが終わった暁にはっ……そ、その勇気ある肉体に祝福を……」
「……!」
ごくり、と唾を飲み込む音が洞窟に響く。
皆が何を考えているのかはわかっていたけれども、敢えて触れないことにした。
意識しすぎてこれからの戦闘に支障が出ても困るから。
「ふぅ……じゃあ、お祈りをするねルマ」
「うん。祈って、セイ」
「――貴方の傷は私の身体に。私の生命は貴方の身体に。熱く、硬く、巡る血潮を鎧として、その肉体はあらゆるものを弾く――聖女が認め、聖女が祈ります――戦士の意志が尽きるまで戦えますよう、聖女の祝福をここに――貴方に、我が身を捧げます」
祝詞に込めるのは精一杯の祈り。
どうか無事に、怪我無く、ボクはどうなってもいいから、ルマだけは。
「――ちゅっ」
額に口付けると唇が触れた個所を中心に桃色の波動がズミの肉体に広がっていく。
ルマの肉体が祈りによるアーマーを纏った証だ。
「……いってらっしゃい」
「いってきまーす!」
元気よく走り出すルマ。
合わせて兵士たちが松明を投げ込んで視界を確保する。
「グギャァァァッ!!」
襲撃に気づいたゴブリン達が雄叫びを上げた。
しかし不意打ちでは武器を持つ暇も無く、一匹がルマに拳をそのまま振り上げる。
「ふっ!」
対してルマはスピードを緩めることなく、拳を避けながら脇を駆け抜けた。
「グギッ、イイィッ!?」
それだけで、ゴブリンは倒れてしまった。
すれ違いざま、ルマの持つナイフでほんの小さな創傷を作っただけで。
「アギャッ!? グッ、ギャッ!」
突然倒れた仲間に狼狽え始めるゴブリン達。
それをルマは両手に持ったナイフで1匹、2匹と切り倒していく。
ルマの浄化の力など知る由も無いゴブリンたちは恐怖と混乱を伝染させ、やがてパニックを引き起こした。
闇雲に武器を振り回すばかりで、ゴブリンの死体がどんどんと積み上がっていく。
「アギャアァァッ!!」
そして、逃げ出すゴブリンが表れ始めた。
一匹が逃げれば、それに釣られて次々と――
――大盾を構え、ボウガンを構えた兵士たちの方へと。
「おらぁっ!」
「くたばれ、ゴブリンども!」
大盾に進路を阻まれ、ボウガンを受け、ゴブリンたちが倒れていく。
青い血を流し、苦悶を漏らし、その命を散らされている。
「っ……」
正直に言うと、少し怖い。
普段は優しく敬虔な信徒である彼らの、その内に秘めた暴力性が怖い。
これはルマを、町を、自分を、大事な物を守るための戦いだとわかっている。
その為に奮起しているのだと、理解している。
それでも、その切っ先が自分に向けられる可能性が0では無いのだと、考えてしまう。
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