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コスプレえっち
むー×もん
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それはイベント前日のこと
「ぬいくん、このキャラって――」
「うん! 今シーズンの裏覇権アニメ、『悶々とちりぬるを』略してもんちりの主人公『村崎紫雫』ことむーらんだよ!」
「うん、知ってる~。僕は見てないけど、SNSではむらむら野郎って――」
「むーらんはね、優しくて、穏やかで、ミステリアスで、ちょっと抜けてるところもあるんだけど、底の知れないところもあるっていうか、最初の方は主人公なのにのほほんとしすぎみたいな評価をされてたんだけど、この前のCパートで見せた妖しい笑みが意味深すぎて、これから最終話に向けてどうなっちゃうんだろうってみんな気になってるんだよ!」
「うん、知ってる~。ぬいくん、仕事で疲れてても必ずリアタイ視聴してたよね~。僕もぬいくんが嬉しそうにするから隣でいっしょに――」
「やっぱり! ひーくんすっごい似合ってるよ! 笑顔の裏に潜んでる儚さとか、明るい仕草の合間に垣間闇を見せる雰囲気とか、なによりそこはかとなく滲み出てる天才感がすっっごくむーらんだよ!!」
「ありがと~……でも顔とか仕草ってコスは関係な――」
「そうだ! 写真撮ろう! 本番は明日だし、お化粧もしてないけど、それはそれでオフショットっぽくていいし!」
「それはいいんだけど~……ぬいくんのキャラってさ――」
「そうだよ! むーらんの親友でありライバルポジの『門田紋三郎』こともーもん! 今年のベストカップル賞はもう『むー×もん』で間違い無しって言われてるくらい、むーらんに負けず劣らずのカッコイイキャラなの!」
「そうだよね~かっこいいよね~。長身で~スタイルが良くて~男性のかっこよさを凝縮したような顔で~」
「うん……長身で……スタイル良くて……男性のかっこよさを……凝縮……」
「……ぬいくん、どうしてそのキャラにしたの?」
「ゔっ……やっぱり……変……?」
「んーん、変ではないよ。むしろ、そのコス自体はぬいくんのアレンジもあってすっごく良いと思う。かっこいいっていうより、可愛いけど」
「ゔーーっ!!」
本当は喜んではいけないのに、ひーくんに可愛いと言われると無条件に嬉しくなってしまう。
「別にね、責めたり貶したりしたいわけじゃないんだ。ただ、ぬいくんはいつも自分に似たキャラクターのコスをしてたでしょ? 今回はどうしてなのかなって」
これは持論だけれども、好きなキャラよりも似合うキャラのコスプレをした方が楽しい。
その似合うキャラが嫌いだったり苦手だったりしない限りは、似合っているという事実が何倍もコスプレを楽しくしてくれるから。
ではなぜ、今回はその持論を押し曲げたのかと言えば――
「その……ひーくんには、ぜったいにむーらんが似合うって思ったから……それで、ボクも『むー×もん』が好きだから……」
「そうなんだね。ひーくんはコスプレの中でも僕とカップルになりたかったんだね~」
「そっ、それだけじゃないもん! その……ボクともーもんにも、似てるところはあって……」
「そうなの?」
「えっと……もーもんって、何でもできるキャラなのに、むーらんにだけは勝てなくて、いつもおもちゃみたいにいじられてるでしょ……?」
「うん、確かそうだったね」
「……そこが、ボクと似てる……かも……」
「……そっかー」
「ちょっと、流さないでよ! ねえ、ひーくんってば!」
そして迎えたイベント当日。
『むー×もん』のもーもんショタ化二次創作がバズっていたことにより、ボクとひーくんは初めて多くの人に囲まれながらコスプレをすることになったのでした。
「ぬいくん、このキャラって――」
「うん! 今シーズンの裏覇権アニメ、『悶々とちりぬるを』略してもんちりの主人公『村崎紫雫』ことむーらんだよ!」
「うん、知ってる~。僕は見てないけど、SNSではむらむら野郎って――」
「むーらんはね、優しくて、穏やかで、ミステリアスで、ちょっと抜けてるところもあるんだけど、底の知れないところもあるっていうか、最初の方は主人公なのにのほほんとしすぎみたいな評価をされてたんだけど、この前のCパートで見せた妖しい笑みが意味深すぎて、これから最終話に向けてどうなっちゃうんだろうってみんな気になってるんだよ!」
「うん、知ってる~。ぬいくん、仕事で疲れてても必ずリアタイ視聴してたよね~。僕もぬいくんが嬉しそうにするから隣でいっしょに――」
「やっぱり! ひーくんすっごい似合ってるよ! 笑顔の裏に潜んでる儚さとか、明るい仕草の合間に垣間闇を見せる雰囲気とか、なによりそこはかとなく滲み出てる天才感がすっっごくむーらんだよ!!」
「ありがと~……でも顔とか仕草ってコスは関係な――」
「そうだ! 写真撮ろう! 本番は明日だし、お化粧もしてないけど、それはそれでオフショットっぽくていいし!」
「それはいいんだけど~……ぬいくんのキャラってさ――」
「そうだよ! むーらんの親友でありライバルポジの『門田紋三郎』こともーもん! 今年のベストカップル賞はもう『むー×もん』で間違い無しって言われてるくらい、むーらんに負けず劣らずのカッコイイキャラなの!」
「そうだよね~かっこいいよね~。長身で~スタイルが良くて~男性のかっこよさを凝縮したような顔で~」
「うん……長身で……スタイル良くて……男性のかっこよさを……凝縮……」
「……ぬいくん、どうしてそのキャラにしたの?」
「ゔっ……やっぱり……変……?」
「んーん、変ではないよ。むしろ、そのコス自体はぬいくんのアレンジもあってすっごく良いと思う。かっこいいっていうより、可愛いけど」
「ゔーーっ!!」
本当は喜んではいけないのに、ひーくんに可愛いと言われると無条件に嬉しくなってしまう。
「別にね、責めたり貶したりしたいわけじゃないんだ。ただ、ぬいくんはいつも自分に似たキャラクターのコスをしてたでしょ? 今回はどうしてなのかなって」
これは持論だけれども、好きなキャラよりも似合うキャラのコスプレをした方が楽しい。
その似合うキャラが嫌いだったり苦手だったりしない限りは、似合っているという事実が何倍もコスプレを楽しくしてくれるから。
ではなぜ、今回はその持論を押し曲げたのかと言えば――
「その……ひーくんには、ぜったいにむーらんが似合うって思ったから……それで、ボクも『むー×もん』が好きだから……」
「そうなんだね。ひーくんはコスプレの中でも僕とカップルになりたかったんだね~」
「そっ、それだけじゃないもん! その……ボクともーもんにも、似てるところはあって……」
「そうなの?」
「えっと……もーもんって、何でもできるキャラなのに、むーらんにだけは勝てなくて、いつもおもちゃみたいにいじられてるでしょ……?」
「うん、確かそうだったね」
「……そこが、ボクと似てる……かも……」
「……そっかー」
「ちょっと、流さないでよ! ねえ、ひーくんってば!」
そして迎えたイベント当日。
『むー×もん』のもーもんショタ化二次創作がバズっていたことにより、ボクとひーくんは初めて多くの人に囲まれながらコスプレをすることになったのでした。
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