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兄と弟

準備が終わった後、本番の直前

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「はーっ……はーっ……。一宏様、準備が整いました」

 玲の準備を見ているのにも飽きて、目を瞑り始めて、それから数分ほど経った頃に声をかけられた。
 射精後の程よい疲労感もあり、あと数分遅かったら寝てしまっていたかもしれない。

 目を開けると玲は変わらず四つん這いで、何も纏っていない。
 目にわかる違いと言えば、性器が完全に勃起していることと、浮いた腰からとろりとした粘液が滴っていることだ。

「お待たせして申し訳ありません。すぐにお入れしてよろしいでしょうか?」

 目を瞑る前には落ち着き払っていた玲の声。
 今は声には艶が混じっており、吐息からも興奮しているのがわかる。
 待たされていたのはこっちのはずなのに、玲の方が待ちきれないようにも見えた。

「いいよ。こっちもまだ勃ってるから」

 待ちぼうけを食らい眠りかけていたにもかかわらず、性器は自立できるくらいの硬さを保っている。
 それくらい、性欲が溜まっているということなのだろう。

 俺はジャージの上だけを脱いだ。
 まだシャツを着ているので、玲もこれくらいなら何も言ってこない。

「それでは……失礼いたします」

 四つん這いのまま、玲が近寄ってくる。

 性器に顔を寄せて、まだ唾液で潤っているのを確認した後に、ダメ押しとばかりに唾液を垂らして。
 玲は硬くなっていても小さい性器を揺らしながら、寝転がる俺の腹の上に跨った。

「あっ!」

 跨った時の反動で、玲の勃起した性器が俺の腹に触れた。

「もっ、申し訳ありません!」

 謝罪する玲とは対照的に、
 腹筋の上でバウンドした性器はビクビクと震え、
 腹との間に糸を引きながら、
 まるで勝ち誇るかのように直立している。

「……気にしなくていい。それより、早く入れてくれ」
「はっ、はい。すぐに……」

 また性器が触れるような粗相をしないようにだろう。
 玲は左手で自身の性器を包みこみ、右手で俺の性器を握り、そして腰を浮かせた。

 くにくにと、硬さを確かめるように鬼頭に玲の指が絡み付いて――
 やがて、玲はゆっくりと腰を下ろし始めた。

「っ……」

 漏れた吐息はどちらのものだったか。
 もしかしたら、両方共だったのかもしれない。

 鬼頭が穴の淵に触れているのがわかる。
 穴はヒクヒクと開閉を繰り返しているが、開いているときでも先端がようやくねじ込めるくらいの大きさだ。

「もっ、もう少々っ……おっ、お待ちくださいっ……もっ、もう少しっ、でっ……あっ!」

 ぬるりと、俺の性器が玲の手元から逃げ出した。
 角度が悪かったのだろう。

「も、申し訳ありません。すぐに、もう一度……」

 玲はすぐさま俺の性器を握り込んで、再び自身の穴へと当てがった。
 しかし性器はまたしても玲へと挿入されることはなく、滑って抜け出してしまう。

「っ! も、申し訳ありません……もっ、もう一度……!」

 声色から玲が焦っているのがわかる。
 どことなく泣きそうなようにも聞こえる。

 この調子だとまた失敗するだろう。
 そもそも、玲は挿入を不得手としているのだ。

 それは玲に落ち度があるわけじゃない。
 単純に、俺の性器のサイズと玲の体格が合っていないのだ。

 自分以外の勃起した男性器なんて、玲のしか見たことがない。
 だから自分のが大きいのか、それとも玲のが一際小さいのかは俺にはわからない。
 それでも、俺の性器が玲が口で咥え込むのもやっとな大きさなのは事実だ。
 小柄な玲に入れにくいサイズなのは間違いない。

「あっ!」

 予想通り、またも性器は玲に挿入されることはなかった。
 ここまで上手くいかないことは珍しいが、その原因は分かりきっている。

 このまま見ているだけではいつまで経っても夜伽が終わらない。
 仕方ないので、俺は玲を手伝うことにした。
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