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兄と弟

睦言

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「はっ……はっ……」

 ようやくと言っていいほどに時間をかけて、玲は性器を根元まで飲み込んだ。

 それは玲が丹念に性器に唾液を塗したおかげであり。
 玲が唾液と指で穴をほぐしたからであり。
 玲が苦痛と快感に耐えながら腰を沈めたからだ。

 玲はよくやっている。
 自身の体格に見合わない性器を持つ兄に奉仕するために頑張っている。

 しかしだからと言って、これで夜伽が終わったわけではない。

「玲」
「んくっ……っ、は、はいっ……」

 声を出すだけのわずかな動きでも快感が響いているのか、玲は返事をするのもやっとという様子だ。

「俺が動いていいのか?」
「っ……い、いえっ……一宏様にそのようなこと、さっさせるわけにはっ……いっ、ひぅっ……!」

 玲の喘ぎ声に苦痛が混じっていたのは、あくまで挿入途中までだ。
 完全に挿入された今は。
 その声にはわずかばかりの忠誠心と、快感への悶えしか残っていない。

「……だったら、玲が早く動いてくれ」
「はっ、はいっ、ぃっ……ただいま……すぐに……んぅっ!」

 玲の言葉と態度は裏腹だ。
 口ではすぐに動くと言っておいて、体は俺に密着して少しでも動かすまいと必死になっている。

 口でさせていた時とは真逆の状況。
 あれだけ人の事を舌で悶えさせておきながら、性器を挿入しただけで玲はこの有様になってしまう。

 入れられた経験なんて、当然ながら俺にはない。
 だから、これが玲特有の問題なのかはわからない。

 それでも、玲は普通よりも性的刺激に敏感なのだと思う。
 挿入に限らず、その前の段階から。
 興奮時の玲は、乳首や性器への刺激ですぐに声をあげてしまうのだから。

「はっ……ふっ……んくっ……んっ、んぅっ!」

 何もしていないのに、玲は一人で気持ちよさそうだ。
 こっちは挿入前からずっと焦らされっぱなしだというのに。

 男性器はただ包み込んで締め付けておけば気持ち良くなれるわけではない。
 摩擦が必要なのだ。
 特に潤っていて、柔らかい粘膜と擦れ合う刺激を男性器は好んでいる。

 今の俺はまさに待てを言い渡された犬だ。

 玲の中は柔らかな粘膜がきゅうきゅうと締め付けてきて、
 じゅぷじゅぷと水音が聴こえるくらいに湿っていて、
 少しでも腰を動かせば快感が得られる状況にあるのに、
 俺はそれをお預けされている。

 しかも、よりにもよって玲に待たされているのだ。

「玲」
「すっ、すぐに……ひっ……ふっ、んっ……いっ、いまぁっ、す、ぐぅっ……」
「…………ふっ」
「ひやぁぁぁっ!?」

 少しだけ。
 ほんの数センチ、玲の腰を打ち上げる。

 それだけで玲は蕩けた悲鳴をあげた。

「玲、いつまで待たせる気だ? 俺は別に自分で動いてもいいんだぞ?」
「っ……だっ……だめっ、です。そ、そんなこと、い、いけません……!」
「だったら、俺はどうすればいいんだ? ずっと朝までこうしていればいいのか?」
「うっ、動きます……わ、私が……一宏様に、ご、ご奉仕を……んぅっ!」

 発破をかけることでようやく決心がついたのか。

 玲は俺の首に回した両腕に力を込めて、
 胸をピッタリと密着させながら、
 少しずつ、その腰を浮かし始めた。
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