女として兄に尽くすよう育てられた弟は、当たり前のように兄に恋をする

papporopueeee

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兄と弟

媚薬について

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「一応訊くけど、危険な物入ってないよなそれ……」
「はい。私が危険な薬を一宏様にお出しするなどありえません」

 媚薬自体が十分に危険なような気がしないでもないが。

 ほんのりプラシーボ程度な効果なら可愛いものだが、
 あまりに効果が過激だった場合はそれは毒と言っても差し支えないだろう。

「主成分は水と片栗粉になります。それに香り付けとして果物の皮のエキスと、興奮作用を持つ材料を少々混ぜ込んであります」
「……興奮作用を持つ材料ってなんだよ」
「今回はお酒を入れました。ただ比率としては多くないため、ご安心いただけるかと」

 そう言って、玲はビンの中身を自身の掌に垂らしてみせた。
 たらーっとゆっくり玲の手に落ちるそれは見るからに粘度が高い。
 
 つまりは性行為用のローションなのだろう。
 果物のエキスやら少量のお酒で性感が大幅に上昇するはずがない。
 玲は媚薬と呼んでいるものの、興奮作用はただのおまけで潤滑液としての役割がメインに違いない。

「私自身の粘膜でのテストも行いましたが、今のところ異常は現れておりません。ただ、一宏様が不安だと仰るのであれば、今宵はこちらは使用致しません」
「いや、別に構わない。玲の好きに使ってくれ」
「承知しました」
「しかし、そんな物まで用意しているとはな……食事の献立といい、随分と気合が入ってるな」
「はい。一昨日の汚名を雪ぐため、一宏様に懸念なくご満足いただけるよう準備をさせていただきました」
「そうか……なるほどな……」

 ようやく玲の思惑に納得がいった。
 栄養価の高い料理は、俺の満足度を上げることが目的だったらしい。

 確かに、一昨日は俺は玲に文句ばかり言っていた気がする。
 俺が不完全燃焼だったと玲が勘違いしてもおかしくはない。

 しかし、俺が文句を言っていたのは玲が度々動きを止めるせいで寸止めを食らわされていたからだ。
 快感の大きさ自体には文句はなかった。

 玲には俺への攻撃力を気にするより、自身の防御力を優先して欲しかったところだ。

「それ、ちょっと触らせてくれ」
「はい。どうぞ、お好きなように」

 掌に媚薬を溜めて、玲が差し出してきた。

 人差し指の腹で粘液を掬うと、玲の手との間に細い橋がかかる。

「ふーん……」

 人差し指と中指で粘液を弄ぶ。

 完全な液体というわけではなく、個体と呼ぶには脆いそれは、確かに潤滑液としては効果が高そうだ。
 少なくとも玲の唾液よりは適しているだろう。
 市販のローションは見たことも触ったこともないが、片栗粉でこれが作れるなら買う必要なんてないようにも思えてしまう。

「……これ使うなら俺も服脱いだ方が良くないか?」
「なりません」
「でも、服がベトベトになったら洗濯する玲にとっても都合が悪いんじゃないか?」
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが、一宏様が私の都合を考慮する必要はありません。着替えも用意してあります。どうか存分にお汚しください」
「……そうか」

 玲の言うことも間違っていない。
 服を着ていれば玲の精液が肌に直接かかることもないし、今日も着たままでもいいだろう。

「では、一宏様。そろそろよろしいでしょうか」
「そうだな。今日は俺に手間をかけさせないようにな」
「かしこまりました。それでは、失礼いたします」

 玲は頭を下げ、長襦袢を脱ぎ、そして俺のズボンに指をかけた。
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